見出し画像

説きふせられて

ある日友達のツイッターのアイコンが、見知らぬ外国人になっていた。
ヘッダーも哀愁の漂う外国人に変わっていて、後日聞いてみたら、とある映画を見て一目惚れして変えたらしいとのこと。

友達が一目惚れしたという「説きふせられて」という映画を私も見てみた。
ゆず茶を入れて、深夜2時から見始めた。こういう静かな、重厚感のある、知る人ぞ知る系映画を見るのは久し振りだ。
初っ端から外国人の名前が大量に出てきて、すぐについていけなくなる。内容を全く理解できないまま映像綺麗だなーという感情だけでしばらく眺める。ヒロインの女の人の顔が段々友達に見えてくる。少し似てるような気がした。ヒロインの顔は随分と老け込んでいる…というかたくさんの苦労が刻み込まれているような顔だった。友達はそんな疲労感いっぱいの顔では無いけれど…。
ああ、この映像も友達は見たのだな…なんていちいち意識してしまう。映画越しに友達の気配を感じて、一人で照れた。

友達、随分渋い映画を見るなぁ…。負けてらんないな…。私も一時期教養を高めようと、古くて難しそうな映画を片っ端から見てる時期があった。
映画の途中で「海軍にろくな奴はいない」というようなセリフがでてきて、実際に海軍である兄を思い出す。兄もなかなかやばいオーラを放っていた。あながち間違いではないな…なんて考え始め、綺麗な映像そっちのけで、気まずい兄の姿を追いかけ始めてしまった。

ヒロインの相手役(ヒーロー)が出た辺りでようやくストーリーが理解できるようになり、映像に没入していつしか兄の姿は消えていった。
ヒーローが登場するたびに友達のアイコンを思い出す。友達のアイコンはヒーローの顔の画像だった。斜めを向いていて、映画の中でヒーローが斜めを向く度にアイコン画像が脳裏でチラついた。

映画を見終わる。面白かったなぁ…と満たされた気分だった。
作中の人物のウジウジ加減に野次を飛ばしたり、度重なるすれ違いにぎゃあっと叫んだり。ネタバレするけど、こういういかにもハッピーエンドにならなさそうな映画がハッピーエンドになると、とても嬉しい…。リアルに希望が持てそうです。

しかしこんな時間まで起きてるのは良くない…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?