見出し画像

全国水族館の旅㉒すみだ水族館

水族館は博物館であり学術施設。自然科学の研究と教育の場です。一方で、都会の水族館ではデートスポットとしての側面が強く注目されています。場合によっては、水族館で結婚式が執り行われることもあります
研究教育のみならず、様々な場面で人々の生活と関わる水族館。デートスポットとしてのオススメ水族館の魅力を語っていきたいと思います。


東京のデート向き水族館No.1は?

都会の水族館デートが盛んな地域と言えば、やはり首都・東京です。多くの水族館は17時で閉館となりますが、デートスポットに選出される施設は17時以降も営業していることが多いです。夕方に水族館はとてもムーディーで、カップルにとって特別な一時を提供してくれます。

筆者の独自のデータ分析から導き出した結論。
デートスポットとして有名な東京の水族館の中で、最もデート向きな施設は墨田区の「すみだ水族館」です。日本最高峰のタワー・東京スカイツリーと同じエリアにあることで有名です。

高さ約634 mを誇る東京スカイツリー。その足元には、学術性が高くデート向きな水族館があります。

ここでデートスポットの対抗馬としてあがってくるのが、マクセルアクアパーク品川と池袋のサンシャイン水族館です。どちらも素晴らしい水族館ですが、筆者なりに比較したところ、デートコースとして考えた際の総合力では、すみだ水族館が一歩上と判断しました(もちろん人によって好みが違うので、一概にNo.1は決められません)。

3館とも、水族館としての魅力は互角!
ですので、筆者はデートの利便性に基準を置き、すみだ水族館に大きく加点しました。

東京都民の方ならおわかりだと思いますが、池袋や品川は人の流れがめちゃくちゃ激しいです。それに対して、平日の夜ならば、サンシャインや品川駅前に比べると押上駅周辺の人口密度はそこまで高くはなく、水族館にて静かでムーディーなデートを楽しめます(逆を言えば、賑やかな街が好きな人には池袋が向いてるのかもしれません)。
すみだ水族館は展示の学術性とエンターテインメント性が両立しているうえに、ビル内とは思えないほどフロアが広々としています。まさに、生き物好き同士のデートには最適の場所!

スカイツリーの商業施設ソラマチには、飲食店がたくさん入っています。カービィカフェは大人気です!

そして、同エリアに大型商業施設ソラマチがあるので、飲食店やレジャースポットがたくさん。さらに、極めつけのデートコースとして、スカイツリー展望台という切札があります。スカイツリーの混雑に関しては、平日の夜に行くことである程度解消されるので、ドラマのような夜のスカイデートが楽しめるかも?

ソラマチには超多様な業種の店舗があります。池袋のサンシャインにも引けをとりません。

では、東京のデートスポットにも選抜される水族館のムードを体験していきたいと思います。押上駅からエスカレーターを登り、ソラマチのいろいろなお店を見ながら進んでいきます。

押上駅からエスカレーターを上がって水族館方面へ進みます。都市型の水族館だからという理由で小さいと思われがちですが、すみだ水族館は結構広いです!
水族館は20時まで営業しています。夕暮れ時に行くのもよし、ディナーを食べてから行くのもよし、デートプラン次第で楽しみ方は無限大です。

「天空の塔」の足元に広がる海の世界!

ムードと学術性を両立! お勉強デートを楽しもう

デート前提で話を進めて来ましたが、すみだ水族館は学術的な展示も多く、生物マニアの人が存分に楽しめる施設となっています。理想的なのは、生き物好きな理系の学生カップルのデートでしょうか。おそらく、デートよりも生物観察の方に夢中になると思われますね(笑)。

すみだ水族館は、学術性が高い展示施設です。普通に水族館好きの人が勉強しに来ても楽しめるでしょう。
初手から幻想的な雰囲気の漂う美しい水族館。やや暗めで優しい照明も、水族館がデートスポットに選ばれる理由だと思います。

最初の展示エリアは「自然水景」。一般企業との協力事業によって創出された、芸術的な水槽の数々に魅せられます。優しい緑と水に彩られた世界が、空間一体に広がっています。
水槽の中の世界は、恵みが循環する地球の生態系の縮図です。調和のとれた環境を水槽の中に見ることができ、水と生命のつながりを強く感じられます。あまりの美しさに、脳も心も満たされるでしょう。

「自然水景」エリア。すみだ水族館の延床面積は広く、開放的でリラックスできます。他の人とぶつかるリスクも少ないので、デートには最適ですね。
本エリアでは、水によって巡る生命の営みを感じることができます。芸術作品のごとく美麗な水と緑の世界に魅せられます。
「自然の賢さと美しさを学ぶこと」をテーマに生み出された数々の水槽。魚たちと水草が織り成す循環システムを学びましょう。

カップルから人気の水棲生物の1つがクラゲです。ぷかぷかとたゆたう姿には強力なヒーリング効果があり、見ているうちに頭の中が空っぽになります。そうすると、クラゲたちの姿がより新鮮に感じられると思います。
本館ではクラゲ展示エリアの照明や水槽の形状に工夫が施されており、デートにぴったりな雰囲気が演出されています。

多種多様なクラゲたちの展示エリア。照明の工夫により、クラゲの妖しさと魅力が際立っています。
展示水槽は曲面を備えているものが多いです。クラゲたちも泳ぎやすそうです。
種類の異なるクラゲが並ぶ特殊な水槽。大きなブラックシーネットルも可愛いイオリクラゲもきれいで素敵。

クラゲ展示の目玉は、長さ約7 mに及ぶ大型水槽「ビッグシャーレ」です。上方がフルオープンの水盤水槽であり、漂う無数のミズクラゲたちの妖艶さを引き立てています。
カップルで楽しむなら最上とも言うべき豪勢な水槽。素敵なデートの思い出になること必至です。

長さ約7 mの水盤水槽「ビッグシャーレ」。約500匹のミズクラゲたちが漂っています。
ビッグシャーレの照明は七色に変化します。見とれて時間を忘れてしまいそうです。
階段上のデッキに立てば、ビッグシャーレを上方から見渡せます。クラゲと一緒に浮遊している気分ですね。

次なる展示はサンゴ礁の環境。多くの生き物の成長や繁殖場所であるサンゴの森は、まさに生命の揺りかごです。命が生まれ、育まれる場所の環境を6面クリアな水槽で多方向から見ることができます。

「サンゴ礁」ゾーン。生物多様性の宝庫であるサンゴの海にはどんな海洋生物たちがいるのか、ゆったり観察してみましょう。
キイロハギたち色彩鮮やかな魚たちが水槽内を舞います。サンゴ礁の世界は常にカラフルなのです。
チンアナゴ水槽。チンアナゴだけでなく、ニシキアナゴやホワイトスポッテッドガーデンイールも飼育展示されています。
大きなネズミフグ。サイズの大小に関わらず、全てのフグは可愛いです!

東京は河川の多い都市です。都会の水域と聞いたら濁っていて汚いイメージがあると思いますが、実は都内を流れるいろいろな川に着目してみると、予想以上に多くの生き物が棲んでいるとわかります。
その事実を、本館の展示から知ることができます。首都圏に棲む水棲生物たちの姿、とても関心をそそられますね。

日本の広い範囲に分布するビリンゴ。スカイツリーの手前にある北十間川にも生息しています。
ミヤコタナゴ。東京で発見されましたので、都(ミヤコ)の名を与えられました。残念ながら、東京の個体群は絶滅しており、野生種は千葉や栃木に生息しています。
首都の名を冠するトウキョウサンショウウオ。めちゃくちゃ可愛い!

デートスポットとしての側面ばかり強調しましたが、すみだ水族館は抜群の学術性を誇る生物学の教育施設です。スカイツリーの間近にある北十間川にて生物観察のワークショップの開催、さらには墨田区の子供たちに向けた出前授業も実施されています。
これらの活動についても、キャプションで学ぶことができます。水族館スタッフの環境保全への努力には本当に敬服します。

すみだ水族館では、たくさんの生き物の保全活動や、一般の方々への環境教育も実施されています。地球環境保全に携わることも、博物館施設のお仕事なのです。

幻想的な展示空間で育まれる愛情と探究心

上階エリアの展示が終わったら、長いスロープを下りていきましょう。下層階に見えるのは、広大な展示フロアとたくさんの生き物たち。ここから先の観覧がさらに楽しみになりますね。

長いスロープを歩いて下層階へ。展示フロアの様子が俯瞰できます。
スロープから見下ろすと、たくさんのマゼランペンギンたちの遊泳する姿が見えます。どの子も元気いっぱいに躍動しています。
ミナミアメリカオットセイの水槽も上方から見えます。遊泳スピードはとても速いです。

スロープを下り終えた先は、ちょうど「オットセイトンネル」の付近。ここはミナミアメリカオットセイの飼育水槽の中を覗ける空間です。力強い鰭脚類の泳ぎを間近で感じられます。

オットセイの水槽の中が覗ける「オットセイトンネル」。オットセイたちは高速で泳ぎ続けているので、待っていれば必ず現れます。
トンネルの中から見上げたミナミアメリカオットセイ。精悍でかっこいいです。

オットセイの水槽の近辺には、江戸時代を思わせる華やかな金魚の展示水槽がたくさんあります。東京は金魚の名産地であり、スカイツリーの位置する墨田区では養殖が盛んに行われていました。
「金魚は見て愛でて楽しむ魚」という原点を感じさせてくれるかのように、本館の金魚展示はとっても華やかなです。間違いなくデートで盛り上がります。

立ち並ぶ水槽と金魚型のランタン。この区画の向こうにも水槽があり、金魚の展示エリアは広く設けられています。
金魚の展示水槽には様々なバリエーションが見られます。とても華やかなので、こちらもデート向けな展示と言えますね。
キャプションと一体になった水槽。こちらはヒブナは、金魚の祖先的な位置づけのフナ類だと言われています。
すみだ水族館で生まれたエドニシキ。丸い体型が特徴的な関東産の金魚です。

金魚ゾーンを抜けると、広大なマゼランペンギンの展示水槽が出現します。とてもたくさんのペンギンたちが広い水中空間を泳ぐ様は圧巻であり、可愛さよりもかっこよさを感じます。普段の印象とは異なる勇ましいペンギンの姿に、誰もが見惚れてしまいます。

水槽内を優雅に泳ぐマゼランペンギンたち。水中を飛んでいるかのような躍動感です。
マゼランペンギンの水槽でお仕事中の飼育員さんたち。お仕事風景に会うことができるも、本館の素晴らしい特徴の1つですね。
ペンギンと飼育員さんの相関図。それぞれの人と個体のラブラブ度(?)がよくわかります。

ペンギン水槽の隣には、クラゲの飼育コーナーがあります。ここでは、スタッフさんのクラゲ飼育作業を間近で見ることができます。水族館の飼育員を目指される方には、たくさん見て学んでいただきたいですね。

クラゲの飼育区画。水族館スタッフさんの仕事が直接見られる貴重な展示です。餌やりなどの作業がどのようにして行われているのか学びましょう。
成長ステージごとの赤ちゃんクラゲたちが、水槽ごとに比較展示されています。誕生後どのくらいの日数でどれほどの大きさになるのか、明瞭に知ることができます。
成体と同じ外観に育った子供のミズクラゲたち。ちっちゃなクラゲは超可愛いですね。

そして、近くに立ち並ぶ水槽には、小笠原諸島の水棲生物たちが展示されています。すみだ水族館は小笠原村と連携して生態系の保全に取り組んでおり、世界遺産・小笠原の生命を本エリアで紹介してくれています。当地の生物たちを観察しながら、小笠原の旅行計画を企ててみるのもいいかもしれません(笑)。

可愛いアオウミガメの幼体。小笠原の父島にはウミガメの保護センターが存在します。
小笠原諸島の固有種オガサワラヨシノボリ。当地の淡水環境に棲んでいます。
オガサワラクロベンケイガニ。小笠原諸島は一度も大陸や他の島とつながったことがないので、固有種をたくさん有しているのです。
小笠原での環境保全活動に関する展示。回収した海洋プラスチックをアクリル廃材とミックスし、アクセサリーなどに生まれ変わらせます。

小笠原諸島の海洋生物の世界は、とてもスケールが大きいです。本館には、小笠原の海の雄大さを表す「小笠原大水槽」が設けられています。
強そうなシロワニをはじめ、約45種類の生き物たちが舞う巨大水槽。はるかな小笠原の生命力にあふれる水の大空間には、誰もが魅了され見入ってしまうと思います。

小笠原大水槽。世界遺産・小笠原の大海洋をイメージした、広大な水の展示空間です。
大きなシロワニ。名前に「ワニ」とついていますが、見ての通りサメです。ちょっと怖そうな顔が素敵!
あまりにも巨大な小笠原大水槽は、上階のフロアからもみることができます。あらゆる角度から、多種多様な海洋生物を観察しましょう。

学術性と迫力の両立。まさに、都市の中の雄大なる学びの場です。
ここで、改めてデートスポットとしての観点に立ち返りますと、下層階のフロアでもたくさんのキラキラなスポットがあります。加えて、館内カフェもありますので、心ゆくまでカップルでゆったりと過ごせます。存分に楽しんだら、そのままスカイツリーへとハシゴしましょう!

上下のフロアをつなぐスロープ。通路内は眩い照明演出でムードアップされています。壁面にはクラゲの水槽が配されていて、さらに幻想的な雰囲気を醸し出しています。
館内の飲食店「ペンギンカフェ」。フードやドリンクを買って、カップルで小笠原大水槽を眺めて優雅に過ごしたいですね。

すみだ水族館 総合レビュー

所在地:東京都墨田区押上1-1-2

強み:様々な角度から生き物たちの姿を観察できる開放的な展示の工夫、ミステリアスな水棲生物たちと館内の特殊ムード演出が織り成す幻想的な展示空間、水棲生物の飼育や保全についての知に触れられる学術性の高さ

アクセス面:誰もが知る観光名所の東京スカイツリーと同立地ですので、アクセスの良さは極上です。電車だけでも、東武スカイツリーライン・都営浅草線・東京メトロ半蔵門線・京成電鉄など選択肢がたくさんあります。すみだ水族館に近いのは押上駅ですが、とうきょうスカイツリー駅からでも容易く歩いて到達できます。もちろんスカイツリーへは都内の多くの場所から路線バスがたくさん出ていますし、上野や浅草からタクシーに乗ればすぐに着きます。

東京が誇る、超ハイクオリティな都市型水族館です。家族連れやカップルを楽しませるエンターテインメント性だけでなく、とても高い学術性を有する飼育展示施設です。数々の展示キャプションから、飼育スタッフさんたちの生き物と自然への愛を推し量ることができます。
鉄板のアイドルであるペンギンたちに加え、愛らしさ抜群のアオウミガメの赤ちゃんや怖そうなシロワニといったユニークな面々も来館者を惹きつけます。加えて、クラゲの飼育風景まで見られるのは、生き物好きにとって嬉しい限りです。
先に述べた通り、学術性とデートスポットとしての魅力があふれる絢爛な水族館です。展示生物の魅力と館内のムード演出の相乗効果により、非日常の空間を存分に堪能できると思います。

水族館観覧を終えた後は、夜のスカイツリーへ。夜天で神々しい光を放つ姿は、まさにファンタジー世界の巨塔そのもの!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?