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1人でイルミネーションを見る気持ちの話。

あえて「知人」とでもしておきましょうか。
変わり者がいましてね。


彼はクリスマスの時期になると、
横浜の赤レンガ倉庫までイルミネーションを
見に行くそうなんです。

1人で。


未だに「本当に1人なんか?」と
疑っている節はありますが、

まぁ、彼曰くそうらしいです。



その反面。

私は1人で見るイルミネーションほど
嫌なものはないと思っていました。


この時期になると「綺麗だと言ってくれ」と
言わんばかりに、

ありがた迷惑なほど街が彩られていきます。


見たくないのに、
否応でもこの目に入ってしまうほど。


1人であんな無数の光を見ていると、
その一つ一つに孤独な自分が映る気がして
嫌気が差してくるわけです。

それが、私の「1人イルミネーション」を
嫌う所以でした。



しかし不思議なもので、
最近はイルミネーションを目にする度
こう思います。


あぁ、あの人はこういうものを見て
綺麗だと思うのだろう。と。


そうなると、今度はこの光が愛おしいような
気がしてくるのです。


彼の感性が美しいと思うのは
きっとこういうものなんだと考えると、
少し彼に近づけた気がします。


その気持ちは私の孤独をより色濃く映しながら、
彼への愛おしさを膨張させていきます。



その膨らみで内側から破裂しそうな痛みは
きっと「愛おしい」と呼ばれているもの
なのでしょう。


私は1人でイルミネーションを見るのは嫌いです。
相変わらず。だって寂しいもん。


でも、それを見て思い出す人のことは
嫌いじゃなかったりします。


むしろ、好きだったりします。

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