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在宅医療クリニックの理念ができるまで1

こんにちは! さつきホームクリニックの広報です。

いろいろな企業様にミッションや理念があるように、さつきホームクリニックにも理念があります。

この理念ができあがるまでにおよそ1年をかけ、試行錯誤したその制作過程では、さまざまな学びや気づきがありました。

この記事では、広報ブランディングの一環として、どのように理念を形にしていったのかをまとめたいと思います。

開院5年目であらためての理念づくり

もともと、さつきホームクリニックには、2016年の開院以来掲げてきたミッション・理念がありました。

すでにあるのに、なぜリニューアルする必要があったかというと、

・宇都宮市のほかに、鹿沼市や益子町など拠点が増え、スタッフも増員したことで、クリニックの土台となる理念をしっかり見つめ直す必要があった

・同時期にWebサイトのリニューアルが進行中で、そのサイトコンセプトの軸となるメッセージが必要だった

からです。

さつきホームクリニックで作ろうとしていた理念イメージ

さつきホームクリニックの理念は、ミッション・ビジョン・バリューそしてステートメント(キャッチコピー)から成り立っています。

ミッションとは、使命や役割。

ビジョンとは、ミッションを果たすための中長期的目標。

そしてバリューとは、一人ひとりが発揮すべき価値。

そしてステートメント(キャッチコピー)は、それらの理念をまとめて、キャッチーに分かりやすいフレーズに落とし込んだものになります。

理念を作るにあたり、理事長からはじめに伝えられたイメージは以下でした。

①患者さまファースト
②スタッフ、社会、顧客など当クリニックに関わるすべての人に呼びかけるもの
③心に響くもの、誰が聞いても自分のこととして受け止められるもの
④明るくてほっとするもの

とくに、②や③の誰にでも伝わるものというあたりは、医療・介護・福祉の業界が複雑に絡んでいる在宅医療専門のクリニックである、さつきホームクリニックの特色がよく出ている部分なのではないかと思います。

さつきホームクリニックの理念の位置づけ

院内・院外、個人・組織を問わず、当クリニックに係るどの立場からも指標となりうる理念であることが求められていました。

理念作り① キーワードを集めて分類する

理念を作るにしても、正直初めは何から手をつけていいか分かりませんでした。

が、理事長の言葉やさつきスタッフとのやりとりの中で聞こえてくる言葉の中にそのヒントがあるのでは? と考え、まずはキーワードをひたすら集めることに。

毎朝クリニックで行われているカンファレンスや、院外で開催された講演会・勉強会などで理事長が話した内容などを書き起こし、短いセンテンスにしました。

そして、内容に合わせて細分化したりグループ化したりを繰り返していきました。

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言葉の整理には、XMindというマッピングツールが直観的に使えました

次に、それぞれの言葉がミッション・ビジョン・バリューのピラミッド型階層のどこに当てはまるかを考え分類。

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上の図は、制作過程で実際に出来上がってきた理念のピラミッド階層です。まず、一番したの階層にそれぞれ3つの大きなグループがあり、そのグループから浮かび上がってきたフレーズを具体的な言葉に落とし込んでいきました。

元になっている言葉は基本的にすべて理事長の言葉や想いですが、改めてテキストとして整理されると、理事長自身も新たな気付きがあったようです。

ここまでは、さつきホームクリニックを立ち上げた理事長の想いを整理してきました。そして次の段階としてやる必要性が見えてきたのは「スタッフの声をきくこと」でした。

理念作り② 第1回理念学習会「動機づけ」

さつきで働いているスタッフたちがどういった価値観をもっているのかを聞くために、理事長による「理念学習会」を行うことにしました。

さつきホームクリニックは、医師・看護師・リハビリテーション・連携室(MSWやケアマネ)・サポートチーム(算定や事務など)・法人マネジメント(バックオフィス)と、それぞれの部署が連携をとしながら在宅サービスに取り組んでいます。

それぞれに仕事内容が違うのはもちろん、資格のありなしや背景、経験、立場が大きく違うことから、スタッフ一人ひとりが考えていることや思っていること、視点もまた異なるのが大きな特徴でもあります(そういった多面的な視点を持てることが組織としては強みでもある)。

なので、学習会は、各職種に分かれたグループごとに開催することに。

第1回の理念学習会は、主に理事長から「理念」とはなんなのか、なぜさつきホームクリニックに、今、「理念」が必要なのか、という語りかけから始まりました。簡単にいうと、スタッフ一人ひとりに当事者意識を持ってもらうための、動機づけともいえます。患者さまと向き合い、日々の業務に忙しいスタッフたちにとって、「組織」について考える機会は今ままでほとんど無かったといえます。だからこそ、まずはさつきのトップである理事長が「理念」を持つことがどれだけ大事なことなのかを理事長の声で直接伝えることがもっとも響く方法になりました。具体的には、

・ミッション・ビジョン・バリューの役割(ピラミッド構造)
・有名企業様(国内外問わず)が掲げるステートメントやミッションをクイズ形式でみる
・今までの理事長の言葉からまとめた、さつきのミッション・ビジョン・バリューのラフをみていく

などを軸に理事長が話しながらも、スタッフの発言を挟み、双方向で意見をやりとりできる環境でした。

また、すべての会で動画を撮影したり、学習会の後に「理事長の話の中で、一番印象に残ったり共感したりしたフレーズは何だったか?」というアンケートをとったりすることで、学習会の後も個別に考えを深められる機会を持てるようにしました。

理念作り③ 第2回理念学習会「大切にしている価値観は何か?」


第1回理念学習会後のアンケート内容を見返しながら、それぞれのスタッフが、こちらの想像を超える熱量で、「さつきがどうあるべきか」を考えていることが伝わってきました。

そこで「もう一歩進んだスタッフたちのリアルな声を聞いて、理念を支えるバリューに落とし込みたい」と考え、2回目の理念学習会を開くことにしました。

開催するにあたっては、ある程度自主性をもって全員に参加してもらうこと、話し合ってもらうこと、時間内に自分たちで答えを見つけ出してもらうこと、などが大切。忙しい合間をぬって参加してもらうので、できる限り効果的な時間にしなければなりません。

各グループから1名ずつ出て、職種横断でディスカッションすべきか、誰が仕切るべきなのか、どのように進行してゴールをどこに持っていくべきなのか、いろいろと考えました。結果、第2回理念学習会は以下のようなルールで開催することに。

・職種チームごとに開催。時間は一時間
・理事長は参加しない
・ファシリテーター役は固定で一人(チーム外部の人間・自分)
・書記が固定で一人(チーム外部の人間)
・事前に「仕事をする上で大切にしたい価値観」を全スタッフに2~3個考えてきてもらう

学習会をなぜ開催しているのかといった「目的」と具体的な「手順」、達成基準である「ゴール」をホワイドボードに書いておきました

2回目の学習会が、1回目の学習会と大きく違うのは、スタッフたちが自主的に動く必要がある、ということです。

学習会の始めには、まずファシリテーターから、学習会の目的や、やることの具体的な流れを説明しました。(目的意識のすり合わせ・やることインプット)
そして、スタッフそれぞれが考えてきた「仕事をする上で大切にしたい価値観」をふせんに書いてもらいます。(みんなで作業する一体感・緊張感のほぐれ)
ふせんに書き終わったらそれぞれに自分のふせんに書いたことやどうしてそう思ったのかを発表し、分からないことがあれば質問しあいます。(全員が話せる場づくり、正解のない自由な発言)
ふせんの内容をみて、似通った内容のものを分類していき、いくつかのグループをつくります。このとき、行き詰まりそうになったら、ファシリテーターが手助けします。(当事者として意見の整理、客観的視点の介入)
2~3のグループができたら、グループにタイトルをつけて、読み上げ、自分たちのチームがかかげるバリュー(大切にしていること)はこれで合っているのかを全員で確認しあいます。(チームの一員である認識、チームとしての達成感)

以上のような流れを全チーム行っていきました。

リハチームのふせん分類
診療サポートチームのふせん分類

振り返ってみると、第2回理念学習会の開催による収穫はかなり大きく、実際のバリューにもそのフレーズがたくさん活かされています。

いつも同じ場所で、たくさんコミュニケーションをとりながら仕事を進めている同僚でも、あらためてそれぞれの考えを言語化してみると、同じことを目指している安心感があったり、目標が明確になったりと、参加したスタッフにとっても、いろいろと良い効果があったようです。
チームのケアとしても有効な手段であると感じました。

さて、ここまでの過程を通して、たくさんの「想いが形になったフレーズ」を集めることができました。ここから本格的に、キャッチコピーをはじめ理念を言語化していく作業へと移っていきます。

組織理念の作り方2 へ続く…




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