ばらばらに砕け散った欠片
欠片の分だけ刃は増え
増えた刃が突き刺さる
刺されたそれは
我が身を引き裂かれたというのに
何も言わず
ぼうっと立ち尽くしている

その顔に痛みは見えず
遠く 夢を見ているよう
しかし
裂けたところから
幾筋もの赤い糸が
だらり だらり
垂れている
夢ではないぞと
語っている

目があった
しかしそれは何物も映さなかった
耳があった
しかしそれは何物も捉えなかった
口があった
しかしそれは何物も発さなかった
心があった
しかしそれは何時も動かなかった

そこにあるだけのなまくらだった

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