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「まちづくりには正解がない。だから面白い」菊地弘記さん(1996年卒)

第16回目は、1996年に札幌大学法学部法学科(当時)を卒業され、現在は札幌駅前通まちづくり株式会社で、経営・企画グループ・グループ長として勤務されている菊地弘記さんに大学時代の思い出やお仕事についてインタビューしました。

札幌大学について


札幌大学在学中の思い出

Q:どんな学生でしたか?とくに心に残っていることなどがあれば教えてください。

▲札幌駅前通まちづくり株式会社の菊地さん

私は札幌出身ですが、大学には全国各地から学生が集まります。同じクラスになった友人やアルバイト先が一緒だった友人など、たくさんの友人たちから刺激を受けました。一人暮らしの友人の家にもよく遊びに行きました。今でも付き合いが続いている友人も多いです。卒業後は友人を訪ねて旅行したり結婚式に呼ばれたりして、全国各地へ行く機会にも恵まれました。彼らとの出会いは私の人生の宝物ですし、また札幌に居ながら交友関係が広がったのも有難いことですね。

▲サツダイ生だった頃の菊地さん。アルバイト先にて。
▲クラスメイトと一緒にカナダへ卒業旅行に行った時の一枚

3年次にゼミナールが始まってからは、その仲間と行動を共にする機会が増えました。企業法務の土井勝久教授のゼミでしたが、教授もゼミの仲間もとにかく集まることが大好き。講義もそこそこに、週に一回のゼミの後は大体みんなで飲みに行っていました。4年次になり、卒論も佳境になったころ「ゼミの先輩方に来ていただいて同窓会をやってみよう」という話で盛り上がり、私たちの学年が幹事となって企画したことがあります。卒業生名簿を手に、ゼミの先輩方一人ひとりに連絡し、会場探しやホテルとの交渉なども分担して、ゼミ初の同窓会を無事実現させることができました。初めてのことばかりで大変でしたが、教授や先輩方から「集まるきっかけをつくってくれて本当にありがとう」と大変喜んでいただくことができて。社会人として活躍されている先輩方との出会いは学ばせていただくことばかりで、少し早く「社会」を経験したおかげで後々の就職活動でも堂々と振る舞うことができたと感じています。

キャリアについて

Q:大学を卒業されてから現在までのご経歴や、現在のお仕事の具体的な内容を教えてください。

▲札幌駅前通まちづくり株式会社の会議室で取材させていただきました。

アルバイト先での出会いから

話は遡りますが、私は高校3年生の頃から自宅近くのスーパーマーケットでアルバイトをしており、大学の4年間もずっと同じ店で働きました。社員の方と同じくらいの日数を働いていましたので、ほとんどのセクションを経験し、中でも食品や酒類を扱うコーナーを長く担当しました。そこで、食品や酒類を卸す業者の営業担当者の方と仲良くなり「こういう仕事があるんだな」と知りました。就職活動について考える中で、当時の私は金融や不動産などの業界よりも、生活に身近な食品やそれらを運ぶ物流業界によりリアリティを感じていました。様々な企業の試験を受けましたが、最終的にアルバイト先に来ていた営業の方の人柄にも影響され、(その方の勤め先である)食品や酒類を扱う専門商社に就職することになりました。

▲2度の転職を経て現職へ。「これまで本当に多くの人に助けていただきました。何かの形でお返していかなければと思いながら日々仕事をしています」と菊地さん。

札幌支社に配属され、札幌駅前から大通り、すすきのエリアを担当する営業マンになりました。デパートや飲食店に卸す業務用の酒屋さんが主な営業先です。注文を取るだけでなく、例えばデパートのお中元やお歳暮のカタログへの商品提案やフェアの企画提案なども行いました。何年か続けていると、取引先の方から信頼していただけるようになり、デパートや飲食店の担当者から「一週間催事を任せるから企画を組んで」とお願いされるようにもなりました。それがきっかけでワインの勉強を始めて、在職中にワインアドバイザー(現在の呼称はソムリエ)の資格を取りました。

ちょうど6年働き、そろそろ転勤があるかなという時期に、たまたま営業先の部長に「転職するならうちに来ないか」と声をかけていただきまして。前職と比べると規模感も業種も全く異なる会社でしたが、大変尊敬している方からのお誘いでもあったため、悩んだ末、思い切って転職することにしました。

「会社とは」「働くとは」を考えながら

そこは当時すでに創業90年以上の老舗で、駅前の物産店運営を中心に不動産業や小売業(コンビニエンスストア)などを展開する会社でした。私を誘ってくださった方がその後社長に就任したことで、すぐ隣で会社経営というものを学ばせていただきました。社長はよく「会社は収益を上げることだけが目的ではない」ということをお話されていました。会社は、世の中に雇用を生み出し、経済を活性化させ、そして社会に貢献していくことが重要なんだと教えてくれました。企業の社会的役割について考える社長の価値観に共感しましたし、そういう経営者の隣で働くことができたことは、かけがえのない幸せでした。

しかし10年ほど経った時、その社長が病気で突然倒れてしまいまして。その後会社の経営体制がガラリと変わることになり、もう一度転職することになりました。

▲札幌駅前通まちづくり株式会社の経営・企画グループ・グループ長の菊地さん

まちづくりには正解がない

現在勤務する札幌駅前通まちづくり株式会社は、札幌駅前通地区のエリアマネジメント活動を行っている団体です。

「エリアマネジメント」とは、特定のエリアにおいて、良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等による主体的な取り組みのことです。
 
「まちづくり」「にぎわいづくり」と言っても、そのエリアの特性によって取り組みかたは様々です。このエリアはオフィス街なので、まちの主役は近隣で働くビジネスパーソンや都心を訪れる方々、またビルオーナーなどになります。そういった方々が「この街で働いて気持ちが良いな」とか「ここに来るとワクワクするよね」などと思っていただけるような仕組みづくりを進めています。街の魅力が上がると、ビルオーナーの方々にとっては「魅力的なテナントが入居する」「家賃収入が安定・向上する」といったメリットにも繋がります。

▲就職してからずっと都心部をフィールドに仕事をしてきたという菊地さん。愛着のあるエリアを今度は内側から支えていく仕事に。

具体的には、公共空間である「札幌駅前通地下広場(チ・カ・ホ)」や「札幌市北3条広場(アカプラ)」の管理・活用のほか、チ・カ・ホの壁面を活用した広告事業、さらにまちの環境美化や防犯・防災対策、イベントの企画運営などの事業を通じて、地域の皆さんや行政とともに、官民協働で継続的かつ恒常的なにぎわいづくりと、地域価値の向上に取り組んでいます。

「まちの魅力」を数値化することは難しいため、まちづくりはゴールがない、正解も一つではないという部分に最初は戸惑いました。しかし逆に考えると、アプローチの仕方も人の数だけありますし、やりがいの大きな仕事です。理念やビジョンを共有しつつ、社員それぞれが個性を生かし、まちと共に成長していけるような仕事をしていきたいと考えています。

札幌大学の後輩に向けたメッセージ

Q:札幌大学の後輩や同窓生に向けてメッセージをお願いします。

今、コロナ禍を経てリモートワークなどの新しい生活スタイルが定着してきました。しかし、世の中は人で成り立っていますので、アナログ的な付き合いは決してなくなりません。こういう時代だからこそ、人と人との付き合いについて考える時間を大事にしてもらいたいです。

年上の人の前では緊張してしまうという学生さんもいるかと思いますが、ありのままで大丈夫です。例えば、言葉遣いが少しおかしいからと言って、それだけで「ダメな人間だ」と思われることはありません。それよりも、失敗を含めてたくさん経験することの方が大切です。当然ですが、私自身も昔は皆さんと同じ学生でしたので、よく分かります。弊社にも「卒業研究のために話を聞きたい」という学生さんがたくさんいらっしゃいますが、私たちの世代にはないスキルをお持ちの方も多く、とてもしっかりしている印象を受けます。

成功は失敗からしか生まれません。ぜひ何事にも自信を持って挑戦してくださいね。

TOPICS

菊地さんが勤務する札幌駅前通まちづくり株式会社から、以下の主催イベントのご案内をいただきました。

SAPPORO PARALLEL MUSEUM 2024

サッポロ・パラレル・ミュージアムは、まちなかとウェブで展開することで、世界中のどこからでもアクセス可能な展覧会として2021年にスタートしました。3回目となる今回は札幌駅前通の6会場での作品展示のほか、札幌で活動する作家のグッズなどが購入できるミュージアムショップやスタンプラリー、トークイベントなど、まちとアートを楽しむ機会をつくります。

イベント概要

会期|2024年2/3(土)-2/11(日祝)11:00-19:00
出展作家|石井海音/内田聖良/佐藤壮馬/平山匠/山本卓卓&三野新/横山裕一
会場|赤れんが テラス/札幌駅前通地下歩行空間/sitatte sapporo/大丸札幌店/D-LIFEPLACE 札幌/(仮称)北海道ビルヂング建替計画〈仮囲い〉
主催|札幌駅前通地区活性化委員会

詳しくは公式サイトおよびインスタグラムをご覧ください。

「わたしと藻嶺」について

「わたしと藻嶺」は、卒業生の皆さんが大学時代の思い出を共有し、それぞれの卒業後の活躍を応援する場です。さまざまな分野で活躍するサツダイOB・OGの皆さん、ぜひ取材させていただけないでしょうか?取材にご協力いただける方、また卒業生をご紹介していただける方は、札幌大学企画部入試・広報課までご連絡ください。本メディアに関するご質問やご意見、ご要望などもお寄せください。

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