#9 この冬のナナカマドの実
みなさん、こんにちは!
新年から大きな地震、事故が起き、様々な思いで毎日を過ごしている方も多いことかと思います。被害に遭われた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
冬の札大キャンパス
1月に入り、札幌らしいまとまった雪が降るようになりました。本格的な冬を感じる景色です。
今年度、解体工事が進められていた2号館は、年末までに地上部分がなくなりました。正門通りから見えるキャンパスの景色もずいぶん変わりましたね。
この冬のナナカマドの実
サッカー場の東側には1970年に第1回女子短期大学部卒業記念として植樹されたナナカマドがあります。ナナカマドは、房状に付く赤い実と真っ白な雪景色とのコントラストが美しいのですが、夏の猛暑のせいでしょうか、この冬はほとんど実が付いていません。
昨年の今頃と比べると、この違いです。
昨冬は、1月末から2月にかけ、このナナカマドの実を求めてツグミやヒレンジャク、キレンジャクなどの野鳥がやって来ていました。今年も彼らの訪れを楽しみにしていたのですが、この状況では難しいかもしれません。
ちなみにナナカマドの実は、毎年秋にはすっかり赤く色づきます。美味しそうにも見えますが、鳥が食べに来る気配はまったくありません。冬を迎え、辺りが雪で覆われても、まだ実は残っています。
ところがこの後、突然鳥たちが訪れ、短い期間で実を食べ尽くします。昨冬も2月頃にはすっかり実がなくなっていました。
なぜ、なかなか実を食べに来ないのか。調べてみると、ナナカマドの実には微量の毒成分が含まれるとのこと。それが冬の寒い時期に凍ることで分解され、食べられるようになるのだそうです。また、保存料も含まれているため、長い間腐らずに枝に残っているのだそう。
厳冬期の食べ物が少ない中、果実食の鳥たちにとっては、待ちに待ったご馳走なのでしょうね。ナナカマドの実が少ない中、今年はどこで何を食べているのか、十分な食べ物を得ることができているのか、気掛かりです。
6号館に飛ぶ3羽の鳥
さて、みなさんもご存じのとおり、6号館の窓ガラスにはいつも3羽の鳥が飛んでいます。猛禽類らしい姿形と、白と黒のはっきりとした色合いから、オオワシがモチーフでしょう。3羽のオオワシは野鳥の衝突防止対策として貼られたシールです。
鳥にとっては空が続いているように見えるのか、建物の窓ガラスに野鳥が衝突するという話はしばしば聞きます。この対策として窓ガラスにシールを貼るなどし、窓ガラスの存在を鳥に知らせる手法があり、鳥獣保護区や国立公園など自然豊かな場所に建てられた建物でも同様の工夫を見かけることがあります。
6号館のこのシール、遠目に見てもずいぶん大きく見えます。4階で窓の内側から大きさを測ってみると、翼の先から先まで(「翼開長」といいます)約1.6m。なかなか大きいです。
では、実物のオオワシはどのくらいの大きさでしょうか。図鑑によると翼開長は2.2m~2.5m。このシールより一回りも二回りも大きいですね。人の身長よりも大きいのです。
オオワシは、サハリンやカムチャッカ半島などから北海道~本州北部に渡ってくる冬鳥で、生息数が少ないことから天然記念物や国内希少種として指定され、保護されています。道東を中心に海岸や漁港近くなどで越冬し、主として魚、時に水鳥等も食べます。日本においては北海道での越冬数が多く、北海道らしい鳥のひとつとも言えます。
さすがに札大の近くでみられるような鳥ではありませんが、6号館を見上げるたびに、大空を舞う雄大なオオワシの姿を思い起こさせます。
おわりに
さて、冬ならではのレジャーと言えば何でしょう。スキー・スノーボード?それともスケート?かまくらづくりや雪合戦、雪上鬼ごっこも楽しいです。雪の中、露天風呂で温まるのもいいですね。中には冬のキャンプにチャレンジする方もいるかもしれません。
お勧めしたいのは、スノーシューでの自然散策です。冬の森は未知の世界、歩いていれば体もポカポカ温まります。
当面、厳しい寒さが続きますが、みなさんのお好きな方法で楽しい冬を過ごしてくださいね。
※「大学の森」での散策時、この季節は特に次の点に注意しましょう。
頭上からの落枝や落雪に気を付けてください。風の強い日や雪が多く降った時は、倒木の危険もありますので、むやみに森に立ち入らないようにしましょう。
安全のため、歩道以外の場所にむやみに立ち入らないようにしましょう。
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「うろうろてくてく、サツダイしぜん散歩」は、札幌大学のWEB版広報誌「リンデン通信」のマガジンの一つで、2カ月に一回の頻度で更新します。
キャンパス内で撮影した季節の写真とともに、私たちの周りにある身近な自然をご紹介しています。
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