#10 近づく春
みなさん、こんにちは!
この春で本学を卒業する学生のみなさん、卒業おめでとうございます!
まだまだ一面に雪残るキャンパスですが、日増しに強くなる日差しに、近づく春を感じる季節です。
3月上旬、屋根に積もった雪が少しずつ解けて、あちこちにつららができていました。
つららから滴る水の音やきらめきにも、また春を感じますね。
まつぼっくり、いろいろ
野球場の近くに、大きなカラマツの木があるのを知っていますか。
カラマツの木の下には、折れた枝と一緒にまつぼっくりが落ち、真っ白な雪原の上で目立ちます。
大きさは2~3cm程。小ぶりでかわいいカラマツのまつぼっくりですが、よくよく近くで見てみると、これがバラの花のように本当に美しいのです。持ち帰って、部屋に飾りたくなるくらいです。
せっかくなので、キャンパス内でカラマツ以外のまつぼっくりも拾ってみました。キャンパス内にはまつぼっくりを付けるマツやトウヒ等の木が10種類近くあります。冬でも手軽に拾えるものの中から4種類集めてみました。
枝に付いた小さいものがカラマツ、コロンとした一番オーソドックスな形のものがアカマツ(またはオウシュウアカマツ)、細長いものがアカエゾマツ、がっしりとごつめのものがキタゴヨウ。大きさや形は様々です。
ちなみに、まつぼっくりはタネそのものではありません。タネはまつぼっくりの層状になっている鱗片の隙間に挟まっています。これらのまつぼっくりは、まだ樹上にあるうちに乾燥して開き、隙間の小さなタネが風で飛ばされて散布されるのです。
実は、まつぼっくりの中には開かないタイプもあります。例えば、高山で見られるハイマツはほとんど開きません。このまつぼっくりは、ホシガラスという鳥がバラバラにしてタネを取り出し、その場で食べるほか、持ち運んで貯食することでタネが散布されることが知られています。
かさを開いて地面に転がるまつぼっくりは、タネを守り育て、旅立ちを見送った後の役目を終えた姿です。この後、土に還っていくところではありますが、手に取って眺めてみると、意外な発見があるかもしれませんね。
大学の森にも、近づく春
さて、この冬は木々の実りが少なかったためか、大学の森も静かでした。
いたるところについたキツネと思われる動物の足跡とカラスの鳴き声のほかは、時折、朽ち木で餌を探すキツツキの木を叩く音が聞こえる程度で、小鳥の姿は昨シーズンと比べるとまばらでした。
そんな静かな冬の終わり、大学の森の入口にあるヤナギの木は、いち早く芽吹きを初めていました。
下の方にある枝に近づいて見ると、ふわふわした銀白色の穂がたくさん。穂にぎっしり生えている1本1本の毛はかなり細く、そっと撫でてみると手触りはつるつるとしています。
このふわつるの穂は、花の始まりです。雄しべや雌しべといった受粉に必要なものは、まだ現れていません。開ききるにはもう少しだけ時間がかかります。
すぐ隣にあるバッコヤナギも硬い冬芽の殻を押し退けるように、白い穂をのぞかせていました。
これらのヤナギは葉が開く前に花を咲かせるタイプのヤナギです。早春に先駆けて咲くことで、花粉を運ぶ虫たちにたくさん訪れてもらうことができるのだそう。振り返れば、1月頃には既につるふわの花穂が見え始めていました。厳しい寒さの中でも、ひっそりと、しかし着実に、新しい春への準備をしていたのですね。
おわりに
もうすぐ新年度のスタート。出会いと別れの季節でもあります。生き物たちは春への準備を進めているようですが、みなさんの準備は進んでいますでしょうか?まだまだ少々冷えますが、みなさんに穏やかで晴れやかな春が訪れることを願っています。
※「大学の森」での散策時、この季節は特に次の点に注意しましょう。
頭上からの落枝や落雪に気を付けてください。風の強い日や雪が多く降った時は、倒木の危険もありますので、むやみに森に立ち入らないようにしましょう。
安全のため、歩道以外の場所にむやみに立ち入らないようにしましょう。
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「うろうろてくてく、サツダイしぜん散歩」は、札幌大学のWEB版広報誌「リンデン通信」のマガジンの一つで、2カ月に一回の頻度で更新します。
キャンパス内で撮影した季節の写真とともに、私たちの周りにある身近な自然をご紹介しています。
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