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認知症 第13話(父親2回目の行方不明)

熱中症に気をつけなければならない7月の暑い季節だったと思う。仕事が終わる頃、自分の携帯に着信が入った。
「〇〇病院ですが〇〇さんのご家族ですか?
道路脇で自転車を置いて座り込んでいるところを通行人が救急車を呼んで病院に運ばれてきました。夜間通用口が開いてますので、ゆっくり慌てないで迎えに来てください。」
勤務先から50kmぐらい離れた病院のため高速を使い、夜間通用口から入ると忙しそうな看護師が、「点滴して寝てるので暫くして起きたら帰りましょう。会計は窓口が閉まっているので後日この紙を持って払いに来てください。乗っていた自転車は消防署で預かっているみたいなので確認して取りに行ってください」とテキパキと丁寧に対応してくれた。
ここへ来るには長さ1kmぐらいある大きな橋を渡らないと来れない場所だったが、父親に聞くと橋は渡ってない、どうしてここにいるのかわからない状態だった。
翌日、消防署まで公共機関を使って自転車を取りに行き、10km以上ある道のりをサイクリングしながら回送した。電動自転車なのにバッテリーが空だったので更に疲れたのを覚えている。

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