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きみはどんなママがいいですか?

土曜の朝から30時間、ひたすらゲラよんでるんですが、まだ5章です。
BGMは「ゲラとワイシャツと私〜♪」 でお届けします。

たまたまだけれど、北海道への帰省のタイミングが弟夫婦と重なった。弟の奥さんは小学生の時からの知り合いなので(百人一首選手つながり)、わりと気兼ねない関係です(と私は思っている)。

実家には今、4人の子どもがいる。
姪っ子が2人と甥っ子が1人。それに我が家の息子氏。

その姪っ子と甥っ子たちのママは(つまり弟の奥さんは)、とても優しい人です。

保育園で働いてることもあって、子どもたちへの接し方が本当に素晴らしくて。
私みたいに大きな声で叱ることもなく、叱らなきゃいけないタイミングでも、ちゃんと彼女たちの意見を聞いてから注意する。
子どもが話しかけたら、必ず手をとめて話を聞いてあげている。
言葉づかいも綺麗だし、声も小さめで品がいい。
かといって、慇懃無礼な人では全然なくて、嫌味がなくて気さくで明るくて
小学生の時からそうだったけれど、みんなに好かれるタイプの人です。

もう、ほんと、おでこを床につけて「ははーっ」てひれ伏したいくらいに、素敵なママでして。息子と歳が近い2人の姪っ子たちも、ほんとうに素直で可愛いのですよ。

で、彼女および彼女の子どもたちと数日過ごして、私は思ったね。

やっぱ、子どもは親の鏡だなあって。

(甥っ子はまだ赤ちゃんなので除外するとして)、小1と小4の姪っ子2人は、本当に素直にすくすくと気持ちのいい女の子に育ってる。礼儀正しいけれど、ちゃんと自分の意見も言える。夏休みの宿題も計画的に進んでいるらしい。

ふと我が愛する息子を振り返ると

近所じゅうに轟く声で、クレヨンしんちゃんエロワードを100回くらいリピートし、べたべたお尻とおっぱい触ってくる。靴は脱いだら揃えない。本を読んだら読みっぱなし。服を脱いだら脱ぎっぱなし。掃除をしたら家じゅうから脱ぎ捨てた靴下が出てくる。お前は毎時脱皮しとんのかってくらい、家のあちこちから丸まった靴下が出てくる。靴下もなんならズボンも脱いでるのに風呂入りたがらない、シャンプー嫌がる、ご飯食べたがらない。なのに、鉛筆与えたらかじる。消しゴム与えたら噛み切る。ってか、鉛筆の芯が丸裸になるところまでかじるのやめれ。
夏休みの宿題はもちろん進んでないどころか把握してないし、毎日の日記は数日先までテキトーに書き終わってる。今日家族みんなに釣りに行ったんだけど、昨日の夜の時点で既に『ママといっしょにつりぼりにいきました。たのしかたっです』って書いておくのやめれ。小さい「っ」をどこに書けばいいのかがまだわかっていない。
最近の口癖は「ママだってやってるじゃん! 僕だけに言わないでよ」。1日に30回くらい、これを言う。で、そういった不平不満の声量、とにかくでかい。
もう今の時点で絶対に周防名人にはなれんやつ。
しかもいやなことあったらすぐ泣き叫ぶ。首絞められた鶏かってな勢いで泣く。泣き叫んだまま家出した回数過去に3回。児童相談所に通報される日も多分近い。

……やっぱ子どもは親の鏡だわあ……。

例えて言うなら、しずかちゃんちのママからしずかちゃんが育ち、
ジャイアンちのママからジャイアンが育ってるってくらい、鏡なわけです。


で、素敵ママと素敵姪っ子たちの姿を見て、私、ほんのり反省したわけですよね。私も、もうちょっと彼に優しく話しかけようかなとか。そもそももう少し、声、小さくしようかなとか。「くっそ、このゲラぜってー間に合わねーじゃん」ってひとり言いうのやめようかなとか。服を脱いだら畳もうかなとか、本を読んだら本棚に入れようかなとか。

私は素直なことだけが取り柄なので、このあたりは結構真摯に思ったんですよ。

で、息子氏に聞いてみた。

「ねえ、えいちゃんは、●●ちゃんママみたいに、優しい感じでお話してくれるママだったらいいなって思う?」

息子氏は、ちらっと目をあげて即答したね。

「そんなの、いいに決まってる」

お。
私はすぐに打ち返した。

♀「じゃあ、ママ、●●ちゃんママみたいに、えいちゃんに優しく話しかけるようにしてみようかと思うんだ」
♂「え? まじで? ほんとにできんの?」
♀「うん。頑張ってみようかと思うのね」
♂「へー(にやにや)」
♀「そうしたら、えいちゃんも、●●ちゃんみたいに、ママに気持ちよくお返事してくれたりするかな」

息子氏、ここでちょっと考える。

♂「ママが優しくなるかわりに、えいちゃんもちゃんとするってこと?」
♀「うん」

息子氏、今度は熟考する。
結構な沈黙が流れた後、彼は言った。

♂「いい」
♀「え?」
♂「やっぱいい」
♀「……」
♂「僕もちゃんとしなきゃいけないなら、ママが優しくなくてもいい」

♀「……」

♂「ママ、今までどおりでいいよ。僕も今までどおりにするから」

……

…………

……………………

♀「ちっ」

心の中で打ったつもりの舌打ちが、壮大に漏れました。
そんな私を、彼はにやにやしながら見てた。

優しく品のあるママへの道は、いずれにしても遠い。


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