【用語解説】文化的景観

【用語解説】では普段の記事とは別に使わないと忘れそうだなと思ったものについて、どのようなものかとそれに対する考えだけを書きます。文化的景観は2004年の文化財保護法の一部改正によって加わった新しい概念であり、特に重要なものを都道府県又は市区町村の申出に基づき,「重要文化的景観」として選定する。

文化財保護法二条
「五 地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの(以下「文化的景観」という。)」

岩手県一関市の農村景観、滋賀県近江八幡の水郷、愛媛県宇和島市の棚田など多くの農村、漁村の風景が重要文化的景観に選ばれる。

重要文化的景観選定基準


一…(1)水田・畑地などの農耕に関する景観地(2)茅野・牧野などの採草・放牧に関する景観地(3)用材林・防災林などの森林の利用に関する景観地(4)養殖いかだ・海苔ひびなどの漁ろうに関する景観地(5)ため池・水路・港などの水の利用に関する景観地(6)鉱山・採石場・工場群などの採掘・製造に関する景観地(7)道・広場などの流通・往来に関する景観地(8)垣根・屋敷林などの居住に関する景観地
二…前項各号に掲げるものが複合した景観地

これについての考え

このようなものが存在することに喜ばしさと同時に危うさを感じる。具体例を挙げると例えば湿地の中には移動するものがある。
これは、湿地を成している水源が枯れるとそこの湿地は消滅し、新たな水源から水がわくということが繰り返されることによるものだが、現在ではこのサイクルが断たれている場所がある。
なぜかと言えば、たとえ希少な生物が存在する地域であったとしてもその希少種が存在する現在湿地である場所以外の場所を開発してしまうことで山の保水力が低下したり、新たな湿地ができなくなるためだ。
また、メガソーラーの建設などそもそもこの概念の意味があるのか疑わしい事例が現代においても頻発している。
さらに言えば里山とは暮らしの場であり「景観」ではないということだ。例えば下草狩り(林に生えた雑草を刈り取ること)を行うとしても、本来であればその草は肥料など様々な方法で利用されてきましたが、景観の維持を目的とした下草狩りでは刈られた草が利用されないという点で仮に景観が維持されても内部ではもともとそこにあった環境とは違ってきます。また、景観の維持を目的とした下草狩りの持続性にも疑問が持たれます。
このような問題の解決には里山の認知の向上とブランド化により里山を利用することによりメリットを得られるシステムが必要となるでしょう。

参考資料
文化的景観 | 文化庁 (bunka.go.jp)
まちづくり都市金沢 山出保

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