里山ツアーにはどんなお客さんがくるの?
これまでの経緯
オランダとインドで2年間有機農業を学び、ブータンで農村調査団に加わる。水牛を貸し合いながら田畑を耕し、共同で家を建て、種子を保存し、物々交換で生きるひとびとともに、半年間暮らしました。半世紀前の日本がそうであったように、アジアの農村には支え合う暮らしの風景がありました。
そして、帰国したのが2011年。日本人の価値観が変わったあの頃、私はインドにいました。震災当時、ダラムサラにいた私は、難民であるチベットの人たちの祈りを聞いていました。日本のためにと募金を集める僧たち。帰国後、生きるための労働とは何か、昔ながらの暮らしの中に受け継がれた本当に生きるために必要な知恵や技術を知る旅に出ました。
<マップから探す旅の記録>
あれから7年。全国の農村の民たちから学んだ伝統農法のこと、手仕事のこと、保存食のこと・・・失われつつある知恵を国内外に伝える活動をしています。通訳ガイドはその活動の一つ。
お客さんはどんな人?
これまで、いろんなお客さんがおられましたが、わざわざ私のページを探して依頼される方はみなさん個性的。大学の先生、日本史マニアの弁護士、茶道の先生、国立公園のレンジャー、農家、料理研究家、作曲家、テキスタイルアーティストなどなど。
国籍はけっこうバラバラですが、ドイツ、イギリス、アメリカ、オーストリア、ニュージーランド、シンガポールと欧米が多数。そして、年齢層は、意外にも若い方も多いのです。20代の方もちらほらいらっしゃいます。
日本の文化をよりディープに知りたい、外国人が行かない日本の田舎を訪ねたい、お茶を輸入したいので農家を紹介してほしい、醤油のつくり方を知りたい、日本の漢方・生薬について知りたい、と具体的な目的をもっている方も多いです。
どうやって行き先をコーディネートするの?
それぞれの関心にあわせて、旅程を提案するところから始まります。エージェントさんからの依頼の場合は、ある程度の訪問先が決まっている場合があるので、前後の行程をヒアリングしていきます。
人数、年齢層、関心のあるテーマ、絶対行きたい場所(あれば)、アクティビティのレベル(体験したいか、見るだけでよいか)、交通手段(タクシー、ハイキング、公共交通など)、宿のレベル、食事制限。そして、大事なのが予算。
そして、本当に予約する気があるか、金額を提示し、先に払ってもらいます。これ重要。いろいろ提案しすぎて、やっぱり、やめます、と言われたら苦労も水のアワなので・・・。「今のところアポとれそうだけど、人気なので確保できない。支払いが確認できたら予約します」と言ってみると、本当に行きたいならすぐ払ってくれたりします。保留されるくらいなら意思が薄いので、何日までに返事がないと、キャンセル扱いになりますよ、と連絡しておきます。
まあ、そんなこんなで。
ここまでのハードルをクリアできた方は、ほぼ100%、里山ツアーの趣旨を理解してくださるいい方です。
地元の人が食べる物を食べたい、ありのままの暮らしを知りたい、そして、地元の商品を買いたい、自分の国で紹介したい、と熱心に話を聞いてくれます。
これまでにあった面白い依頼
よくあるのが、料理系。コンニャクのつくり方を知りたい、というのが何度かありました。あとは、お茶の加工や味噌・醤油など和食の調味料を作っているところが見たいというのはけっこうあります。
珍しいので言うと、アメリカで生薬の生産をされていて、生薬の本も出版されている方が、日本の植物について知見を得たいという依頼もありました。
そして、今、コーディネートしているのは、オランダの農業団体からの視察。日本の全国の有機農家やビール工場、農業機械メーカー、茶農家、酒蔵等、食と農の施設をめぐる旅。これは、けっこうディープです。
マニアックなのもいいのですが、そればかりが目的ではありません。観光地にも行きたいし、おしゃれな宿にも泊まりたいがオススメはないか、などなど、多様なニーズへの対応が求められます。
ただ観光地を紹介するよりも、そんな日本の昔ながらの暮らしの知恵や現代の日本にそれがどう伝わっているのか、モダンな要素も取り入れながら日本をディープに伝えて行けたらと思っています。