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ならいごとの旅

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世界の小さな村を訪ね、保存食や手仕事など昔ながらの知恵を学ぶ旅の記録
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#染色

発酵と植物と色の研究室「古代染色ラボ」全5回の記録ノート

古代染色ラボの最終回でした。 乳酸発酵の媒染剤、お歯黒を作るところから始まり、型染めの型作りと、小紋糠から糊づくり、そして、灰汁づくりと、色と植物を追求する実験室。ラストは生薬をテーマに、麦灰と稲灰の色のサンプルをとりました。 第1回 「お歯黒」 昭和初期まで使われていたというお歯黒は、1ヶ月の乳酸発酵で鉄を溶かして作る媒染剤。歯を染めるだけでなくいい天然の媒染剤。2ヶ月間乳酸発酵させたお歯黒を持ち寄り、お茶とクロモジのお歯黒媒染をしました。 第2回 「灰汁」こんにゃく作

お歯黒と灰汁から作る古代染色ラボ~発酵と植物と色の研究室~

古代の色を研究するメンバーが自主的に集まった古代染色の実験室をしています。 昭和初期まで使われていたというお歯黒を見たことありますか?乳酸発酵で1ヶ月かけてつくるんですが、歯を染める以外に、むちゃくちゃいい天然の媒染剤なんです。草木染めしたことある人は、天然の媒染剤がほとんどないことに気づくはず。でも染色講座はあっても媒染剤を作る講座はないんですよね。 それを自分たちで研究しながら手作りしようというメンバーが集うマニアックな実験室「古代染色ラボ」が9月に始まり、月一ベース

植物と灰汁作りの知恵を探求する〜おばあちゃんのベロメーターをめざして〜

強い灰汁と、弱い灰汁80代以上のおばあちゃんたちに知恵の聞き書きをしていると、必ず出てくるのが灰汁のお話。染色のみならず、発酵食品の仕込みや、こんにゃくの凝固剤にも使われてきた灰がいかに生活の中で活かされ、重要な役割を担っていたのかに気づきます。 野生の麹菌を採集するとき、こんにゃくを固めるとき、藍のスクモを作る時にも灰汁を入れます。籾殻やクヌギ、樫の木、椿、藁。地域の気候や環境(たとえば、林業が主な地域では樫、蕎麦が美味しい地域は、そば殻など)によっても違います。昔は「は

古代染色ラボ(全5回)〜発酵と植物と色の研究室〜

2020.9.15 募集締め切りました。 === 発酵と植物と染色の知恵をテーマに毎回研究室のラボ形式で実験するメンバーを募集します。講師がいて、教えてもらったことを学ぶのではなくて、昔の文献をひもとき、自分たちでやってみて学ぶ形です。参加費は最低限の材料費と資料代をいただいています。 (研究会では媒染剤や技法を深掘りしますが、作った媒染剤などを使っての草木染色は各自で楽しんでください。奈良産キハダや染色用生薬の小分け販売もしています。) 定員:各回5名 料金:200

ならいごとの旅 in 台湾(4)ふくろうの森と藍文化の復興

「1匹のふくろうのためにここに森を買いました。」 卓也小屋は苗栗三義の山奥にひっそりと佇むこの世界から忘れられた山荘。 三義駅からは公共交通がなく、タクシーで山を登ること20 分。そこには堆肥を使った有機農業、大陸から伝わる客家の藍染めの服作り、多くの生命を育む水源、自然生態と調和した暮らしがありました。温かく、懐かしい伝統的な農村を彷彿とさせる桃源郷が広がります。 鄭オーナー夫妻が一匹のフクロウに出会い定住することになったというこの土地は、実はふくろうだけでなく、鷲やか