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ならいごとの旅

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世界の小さな村を訪ね、保存食や手仕事など昔ながらの知恵を学ぶ旅の記録
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#アジア

Asian Foodlore Journeys "客家土楼"世界最大のシェアハウスで学ぶ保存食の知恵

客家土楼は300人で暮らす世界最大のシェアハウスなんです。知ってました? 福建省に行くと、こういう円形の土壁に囲まれた建物がごろごろあります。 防災設備はもちろんのこと、お寺、飲食店、日用品店、宿、銭湯、結婚式場、酒場にいたるまで完備。みんな農家であり、商売人であり、保存食や加工品を軒先で販売されています。 籠城してもこの中で生きていけるだけの自給できるアパートなんですよね。なので、保存食がめちゃおもしろいです。 そんな土楼で、保存食の知恵を学び、数えきれない数の家族た

ならいごとの旅 in 台湾(5)台湾茶を学べる素敵な農家たち

台湾の多様な茶のカタチには多様な楽しみ方アリ台湾の農家さんを訪ねていると聞かれるのは、「日本にいったらお抹茶の体験はあっても、煎茶の体験ができるところがない。日本人は抹茶しか飲まないのか?煎茶は楽しまないのか?」ということ。日本の茶道というと型となって伝わっているのですが、たしかに、抹茶以外の煎茶や玉露、かぶせ、碾茶など、多様な茶が味わえる茶館のような場所は少ないのではないでしょうか? 台湾では、茶芸館で茶を飲みながら寝転がってるひとがいたり、茶農家さんのところに遊びにいく

ならいごとの旅 in 台湾(4)ふくろうの森と藍文化の復興

「1匹のふくろうのためにここに森を買いました。」 卓也小屋は苗栗三義の山奥にひっそりと佇むこの世界から忘れられた山荘。 三義駅からは公共交通がなく、タクシーで山を登ること20 分。そこには堆肥を使った有機農業、大陸から伝わる客家の藍染めの服作り、多くの生命を育む水源、自然生態と調和した暮らしがありました。温かく、懐かしい伝統的な農村を彷彿とさせる桃源郷が広がります。 鄭オーナー夫妻が一匹のフクロウに出会い定住することになったというこの土地は、実はふくろうだけでなく、鷲やか

ならいごとの旅 in 台湾(3)畑の中心で食卓を囲むひとびと

台湾で4年半前に始まった生産者とつながる畑の食卓イベントを主催するグループ「稻田裡的餐桌計劃-幸福果食」を訪ねて来ました。 幸福果食は4人のスタッフとボランティア(ここでは、「夢行者(夢を実践する者)」というそう)運営する農業支援の会社。 4年半を通じた活動で、台湾中の約300の農家とつながり、毎週どこかの農家のところでイベントを開催しています。 私が今回参加したのはそのイベントの一つでもあり、4年半前のイベントのはじまりとなった記念すべき地での晩餐会。 中山休閒農場に

ならいごとの旅 in 台湾(2)住み開きの種子博物館で植物とともに生きる暮らしを学ぶ

受け継がれるタネを訪ねる物語「たねはどうしていますか?」 旅先で畑仕事をしているおじいさん、おばあさんを見かけるとつい聞いてしまいます。きっかけはブータン王国で農業インターンをしていたときに見た種採りの光景でした。 きゅうりやなす、かぼちゃ、果実から取り出された色とりどりの種たちが桶に入れられ、ずらーっと並んでいました。トウモロコシは5種類、マメは10種類以上、用途別に使い分けしながら屋根裏に保存します。屋根の下は煙でいぶされるので、保存がきくのです。 じゃあ、にんじん

ならいごとの旅 in 台湾(1)薬草を学ぶ旅

アジアの農村で自然とともに暮らす知恵の聞き書きをしています。 前回記事では中国の発酵やお茶をテーマに書きましたが、多民族国家台湾の民俗文化も実に多様で面白いです。 原住民の暮らしと薬草薬草王国台湾でも特に薬草を生産しているのが台東。 原住民族が多い東は在来種の宝庫だったりします。 こちらの薬草園では、有機認証を取得している農園で200種類の薬草を生産し、商品加工をしたり、体験教育をしたりしていますが、とくに印象的だったのが、薬草バイキング! ここで提供されている薬草カ

【中国フードツアー #02】茶馬古道の山中で菌ハンターに出会った

今、雲南はキノコラッシュ。キロ8000円ほどになることもあるのだとか。 中国語でキノコを「菌子」といいますが、「良い菌あります」という看板を見かけたらそれは菌ハンターのお家。村のハンターたちが早朝から籠を背負って山へ出かけていくのです。 たいがい、菌ハンターはバイ族のおばあちゃん。村人は子供でもキノコを見分けられるという。菌ハントへ連れて行ってもらいました。 標高2000mで早くも息切れし、付いてゆくのに精一杯でした。 途中であったばあちゃんたちは、早朝から山のてっぺ