見出し画像

最高だよ、ルアンナムター

11月27日。旅を始めてちょうど1ヶ月経った日に、僕はルアンナムターに到着した。ラオス北部の秘境。秘境、辺境、奥地、ワクワクする言葉だ。
ルアンナムターから峠を一つ越えたら中国だ。ルアンナムターという名前をラオス通の友人から聞いた時から惹かれるものを感じ、遠いけれど行ってみようと思った。
前日に泊まったウドムサイの記録は↓


結論から言うと、ルアンナムターは、すごかった。とてもよかった。
食と人の関わり方や、食材の持つエネルギーを感じて圧倒されてしまった。
僕はルアンナムターに5日いたが、その間ルアンナムター市場とナイトマーケットに毎日通い詰めた。あまりにも面白かったので。
この面白さをうまく言葉にできるか自信はないのだが、とにかく書いてみよう。

バスにボコボコ揺られてルアンナムターについた翌日、早速市場に向かった。
ラオス北部の伝統料理、カオソーイを食べるためだ。ルアンナムターのカオソーイが一番美味いらしい。ワクワクしながら市場に入ると、立ち込める『いきもの』の匂いが僕を襲ってきた。
生臭い。鹿の解体をするときの、そこに命がたちこめるような匂いだ。
向かって右手側に肉屋が立ち並んでいるが、
日本の肉屋とは全く違う。部位がざっくりとカットされていて、ついさっき屠殺されたんだろうなと言うのが丸わかりだ。耳や豚足、モツが常温で並べられて、注文が入ると大きな中華包丁で切り分ける。
ペプシのペットボトルに血がなみなみと入っていて、リサイクルだなあと思った。

肉のコーナーの左手には生簀がある。魚がバシャバシャと泳いでいて、飛び出さないようにネットがかかっている。
近くにはハンモックが吊るされていて、7歳ぐらいの少年がのんびりと昼寝をしていた。
肉、魚コーナーを抜けると乾物、惣菜のエリアになってくる。惣菜はラオス料理がほとんどだけれど、たまにワッフルが売られていたりもする。中国に近いので、揚げ餃子のようなものも売られていた。
小皿にもられたラープには生唐辛子が突き立っていてなんだか可愛い。

ルアンナムター市場はすごい。心から思う。
エネルギーに満ちているけれど、全くカオスではないのだ。見る限り傷んだものは置かれていないし、陳列も美しい。商品ごとにきちんと区画が分かれていて、比較しやすいようになっている。
食材もすごいのだ!この上なく新鮮で『早く料理してください!』とこっちに訴えてくるような食材が山ほど積まれている。ついさっき畑から抜かれてきましたよ!と訴えかけてくる。最高だ。

ここは観光地ではなく、地元の人の生活の場なので、あまり写真を撮るのもふさわしくないなと思った。そのため適切な写真がないのが歯がゆい。現実はもっともっとすごい。

市場の北側にはずらっとカオソーイ屋さんが並んでいる。
薪でお湯が沸かされていて、天井は長年の煤で真っ黒だ。ちびっこをあやしながら店番をするお姉さんや、長椅子で寝そべってハエを追い払うおばさんがいる。
ドキドキしながら、カオソーイヘーン(汁なしカオソーイ)を注文。
お姉さんがささっと作ってくれた。

そして出てきました。汁なしカオソーイはルアンナムターのこの市場でしか食べられないらしい。郷土料理の極みだ。
一口食べる。美味い。美味い。めちゃくちゃうまい。
猛然とひき肉とネギと麺を絡めて啜る。粗塩がアクセントになっていて、箸が止まらない。肉味噌、薬味、幅広の米麺というシンプルな構成なのに深みがあるのはトゥアナオ(ラオスの納豆)が入っているおかげだ。中国料理の麺料理にも近いものを感じるが、圧倒的なミニマリズムと米麺によって生まれるタッチの軽さが素晴らしい。

もうね、この市場と日本の僕の家の間にどこでもドアを設置したいですよ。本当に。鮮度のいいバナナの葉、花、青パパイヤ、生唐辛子、各種ハーブ、皮付きの豚肉、まるまる一羽のアヒル、カエルなどなど、もう最高です。

よくわからない食材がね、たくさんあるんですよ。こんなに嬉しいことはない。
未知がこんなにもたくさんあって、奥深いなあとしみじみした。
きっとこの市場でお買い物をしているみなさんは家に帰って料理を作って、食べるんでしょう。畑から市場へ、そして食卓へと行く流れがシンプルで、良い営みがひたすら続いているなあと感じます。
きっとカオソーイ屋さんのお姉さんは毎日カオソーイを作って、子供を育てて、やがて子供は大きくなり、カオソーイ屋を手伝い、、その流れがずーっと続いてきたルアンナムター市場に尊さを感じました。

道端で売っていたフルーツの酢漬け。
これにかけられる焼いた唐辛子、ホアジャオ、砂糖、塩、何らかの旨味の入った粉が美味しい。ラオスのフルーツは日本のものと違って、そこまで甘くない、野生みの強い味のことが多い。品種改良がされていない味がする。
そのためそのまま食べるよりも謎の粉をかけて食べるのがとても美味しい。

バナナ。太くて短いこのシルエットのバナナがすごく美味しい。
甘みが強く、柔らかいけれど歯応えがあって、マンゴーのような芳香がする。
日本のバナナとは全く違う。これが5000キープ、約四十円で手に入るのは南国の特権だなあ。

ナイトマーケットで購入したバイマックルーとバッタをからりと揚げたもの。美味い!!!!カオニャオに抜群に合う。もちろんビールにも合う。バイマックルーの苦味と爽やかさが昆虫との相性抜群だ。

こんな感じでお惣菜が売られている。
ラオスを旅して3週間、全て外食しているけれど一向に胃もたれする気配がない。日本で3食外食すると味が強すぎてかなりしんどくなってくる。
外食と家庭料理がほとんど変わらないというか、素朴さを残している料理がほとんどなので嬉しい。このことについては『レストラン/食堂』論としてもうちょっと深く考えて今度書きたい。

ココナッツミルクの優しい甘みがいい。すごく美味しい!となるわけではないが、安らげる美味しさ。ぬるいのがまた、味わい深いね。

ナイトマーケットの様子。17時ぐらいから21時ぐらいまでのんびりとやっている。店の犬に襲われそうになって、本当に怖かった。
お姉さんの制止がもう少し遅かったら本気で飛びかかってこられたと思う。吠えられた時にびっくりして素早く振り返ったのが良くなかった。

ラオスに入国して、ローカルなラオス料理を食べ続けて、旅をしてきた。
美味しいと思えない料理もあった。辛すぎたり、この味付けは薄くないか?と思ったり。ミントの後味のえぐみも好きではなかった。
でも、「そういうものだから」と自分に言い聞かせてラオス料理を食べ続けるうちに、体がラオス料理を美味しいと感じるようになってきた。
蒸したカオニャオの香り、生唐辛子のスパッとした辛さ、乳酸発酵の酸味、レモングラスとミントの香り、ライムの酸っぱさなど。ラオス料理特有の美味しさを体で理解できて嬉しく思っている。
慣れ親しんだ日本の食文化から離れて、知らない国の知らない料理、食文化にダイブしてみる。その料理の価値を自分の物差しで判断せず、「これは百点である」と決めてそっちに自分を馴染ませていく。
いまだに生唐辛子を丸齧りしながらラープを食べる勇気は出ないけれど、自分の中に新しい美味しさの軸が生まれたことを嬉しく思っている。本当に、ルアンナムターはいいところだった。

ラオスに自転車で入国した話


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?