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カウチェオ-ナムパオ国境を自転車で越えた話

国境。ボーダー。日本という島国で暮らしていたので、陸地に国境線があって自転車で越えられるのが不思議だった。
事前に下調べしても、ベトナムとラオスの国境を陸路で越えた体験談はほとんど出てこない。そのためドキドキしながら国境を越えた。

僕が越えたのはカウチェオ(ベトナム)とナムパオ(ラオス)の国境だ。


出発前日

ラオスに入国するためにはワクチンの接種証明書か抗原検査の陰性証明書が必要らしい。なんてことだ。
下調べが苦手な僕は接種証明書を日本から持ってきていなかった。なので国境の近くの街、ビンで病院に行くことにした。
いきなり外国人(僕)が行って検査してくれるだろうか、長時間待つことになるだろうか、病院のシステムもよくわからないので不安があった。

なんて書いてあるのか、なにも分からない

翌日、ビン市民病院に行って看護師さんに事情を説明すると、ここでは陰性証明書が出せないからビン国際病院に行ってね!と言われた。看護師さんの制服がアオザイで、ベトナムだ!!!と思った。
たらい回しの序盤だなと思いながらビン国際病院に向かう。
窓口のシステムも何もわからないので、とりあえず近くにいた看護師さんに相談すると英語で質問攻めに。
「日本から!?自転車で!?1人で!?とりあえずついてきて!」と頼もしい。
このお姉さんに任せれば大丈夫だと確信したので、大人しくついていく。病院の中を移動していると、若い看護師さんが集まってきて、you are very handsome と言われた。ここがこの記事のハイライトなので、これ以降は後書きです。
8万ドン、およそ500円ほどで抗原検査をしてもらい、看護師さんと自撮りをし、ニコニコでビン国際病院を後にした。

準備も整い、いざラオスに向けて自転車を漕ぎ始めた。
ラオスとベトナムの国境は安南山脈の稜線沿いに引かれている。つまり20kmほど自転車で坂道を漕ぎ続けなければいけない。

荷物11kg、水2kg、自転車14kg、僕70kgの合計約100kgを坂の上まで引っ張り上げる。ペダルは重い。でもゆっくりでも漕いでいれば大丈夫と思いながらペダルを踏み込む。

道を少し外れたところに泉があった。ベトナムの川は濁っているイメージだったけど、ここまで上流に来ると澄んでいる。思う存分浴びた。思わず飲みたくなったけど、我慢。

標高が上がっていくと未舗装の道が増えてくる。工事をしているみたいで、土砂を積んだダンプカーが砂煙を上げながら通り過ぎていく。

暑さと疲労でぼーっとしながら漕いでいると、突然犬に吠えられた。猛然と犬が走り寄ってくる。犬に吠えられて追いかけられると、本能的に怖い。
多分飼い犬で、不審な野郎を家の近くから追い払おうとしているだけだから、噛まれることはないだろうと分かってはいても、めちゃくちゃ怖い。
ギアを重くして、必死のスプリントをして犬をふり切る。火事場の馬鹿力ですごい速度が出た。
その後も2回ほど犬に追い立てられたけど、いずれも被害はなかった。でも怖い。

いよいよ国境に近づいてきた時、強面のおじさん2人に道を阻まれた。ここを通りたかったら金を払え的なやつか?とドキドキしていると、握手を求められた。
疑ってごめんおじさん。
「よくここまできたな!ラオスはすぐそこだ!」的な感じのことを言われ、背中を叩かれる。ベトナムの人は本当に優しい。旅をベトナムから始めて本当に良かったな。

登り始めて2時間。ようやく国境に辿り着いた。いよいよ二か国め、ラオスに入国だと気持ちが高まる。


国境近くの食堂で昼ごはん。牛もつを辛く煮込んだものが美味しかった。

自転車を外に置いて、国境管理所の中でパスポートを提示しスタンプを押してもらう。そのパスポートを見せて、自転車で国境を通り過ぎた。
トラックで通り抜ける人がほとんどだったので、自転車で止められないか心配だったけれど大丈夫だった。
国境は軍事的にピリピリしているのかと思っていたが、全然そんなことはなく、緩い雰囲気。人もまばらで、のどかだった。

自転車で50mぐらい進むと、ナムパオ国境検問所が見えてくる。見るからに、建物が古い。そしてボロい。ベトナムとラオスの国力の差を早くも感じつつ、入国審査をしてもらう。
苦労してとった陰性証明書の提示を求められることもなく、あっさりと入国できた。本当はアライバルビザを取りたかったのだが、ここではできないと言われてしまったのでビザなしでの入国。

と、いうことで特にドラマチックなこともなくあっさりと国境を越えることができた。荷物検査もなかった。ここまで緩い雰囲気なのはベトナムとラオスの関係が良好だからだと思う。

ラオスに入り、ベトナムのSIMカードが使えなくなったのでラクサオの街でラオスシムを購入。両替も済ませて、ラオスの旅が始まった。





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