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もしも私が女優なら

noteフレンド新行内紀子さんとのコラボマガジン「プリン屋さんとフランスかぶれ」用に書いたエッセイです。今回のお題は『もしも私が女優なら』!


もしも私が女優なら、とびっきり性格の悪い女優になる。


女優の私は素行不良でスキャンダルまみれ。結婚を再三再四くりかえし、子育てもほったらかして行きたいときに行きたいところへ行き、やりたいときにやりたいことをして、言いたいことを言いたい放題。

遅刻の常習犯で、遅れてきても愛想の一つも振りまかない。「あの女優とは同じ現場になりたくない」と陰口を叩かれ、ご機嫌が悪ければその辺のものを投げつけるし、ご機嫌がよければよいで反応するのに困るような笑い話をして人々を当惑させる。癇癪もちで酒癖も悪く、かと思えば突如ヴィーガン気取り。付き人は1週間も持てば長いほう。だから年中“付き人募集中!”


でも。それでも。


「あいつがいなくてはこの映画は成り立たない」

「人間としては大嫌いだけどどうしても一緒に仕事をしたい」

「演技の神様から生まれたような女優だ」

プライベートでは蛇蝎のごとく嫌われているのに仕事のオファーは引きも切らない。ミステリーから時代劇、ドラえもんの実写版まで、ジャンルを問わない演技力で私が出演した作品はことごとくヒットし、綺羅星のごとき監督やプロデューサー達がこぞって私を使いたがる。

数多くの傑作と悪名を残し、最後は撮影中に毒だか銃だかで暗殺され人々から「さもありなん」と思われワイドショーで悪行の数々と名作の数々を連日紹介されるのだ。

私を殺した暗殺者が誰か? 

容疑者が絞り切れないほど私に恨みを持つ者は数知れない。結局暗殺者は見つからず「生み出しておきながらその神をも超える演技力に嫉妬した演技の神様が殺したのかもしれない」とさえウワサされる。暗殺により未完になった映画は“伝説的な未完の映画”として大ヒット。私は芸能史に燦然とその名を刻むのであった━━


・・・・・・・

なーんて。

今回紀子さんが提案してくれたお題『もしも私が女優なら』。

色んな夢が広がるお題だったけど、夢のお話だと思えばこそ現実の自分とはまっさかさまに正反対の女性として生きてみたいと思いました。

人当たりの良さだけを頼りに生きてきた自分とは逆に、そういうものは一切なくても人々から求められる人生ってどんなだろう。そんなことを思って書きました。

悪いけど魅力的な女・・・でも生きるのしんどそう~ やっぱ凡人がいいかも、と書いているうちに思えてきました。今が幸せってことで。

ちなみに付け加えますと、以前出版社にいた頃何人もの女優さんとお仕事したことあるのですが皆さん礼儀正しくて感じいい人ばかりでした。あと女優の肌の透明感、いったいどうなってるの?! 向こう側透けて見える?というレベル。問題は顔立ちよりも肌質だな、とつくづく思ったものでした。

本日は以上です☆

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