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【完全版】マルチクラブオーナーシップ(MCO)のオーナー/投資家リスト一覧

最近ヨーロッパを中心に世界のサッカーを席巻している中東やアメリカの大富豪達。彼らは複数のクラブを運営するマルチクラブオーナーシップ式で経営をおこなっています。
今回は複数クラブを経営している運営母体をまとめてみました。


結論:

かなり長いため、気になった点をまとめました。
・MCOは大きく3パターンで、①中東系ファンド②アメリカ系投資ファンド③各国の実業家。
・アメリカ系の会社は不動産やメディア、消費財など多様なアセットに投資をおこなっている。スポーツでもバスケットボールやアメフトクラブなどサッカー以外に出資していることが多い。
・スポーツリーグ自体に投資しているケースも多い。
・クラブだけでなく、スタジアムや複合施設などの箱物にも合わせて投資している。
・中東ファンドは他スポーツへの投資は現状まだ少ない。


777 Partners

https://www.777part.com/

所有クラブ:
2018年:セビージャFC(7.5%/金額不明)
2021年:ジェノアC.F.C.(99.99%/1億5,000万ユーロ)
2022年:レッドスターFC(フランス3部)
2022年:ヴァスコ・ダ・ガマ(70%/7億レアル)
2022年:スタンダール・リエージュ(100%/5500万ユーロ)
2022年:メルボルン・ビクトリーFC(少数株式/870万豪ドル)
2023年:ヘルタBSC(64.7%)
2023年:エバートンFC(94.1%)

概要:
マイアミに拠点を置くアメリカの投資会社。2015年に設立。

その他の投資:
2019年、ロンドンのバスケットボールチーム、ロンドン・ライオンズを買収。その後、ブリティッシュ・バスケットボール・リーグ(BBL)に700万ポンドで45%取得。
スポーツ以外ではカナダのフレア航空とオーストラリアのボンザ航空を所有している。エンタメ領域では映画スタジオのSTX Entertainmentに投資。


Sports Republic

所有クラブ:
2022年:サウサンプトン(80%)
2022年:ギョズテペS.K.(トルコ/70%)
2023年:ヴァランシエンヌ(フランス)

概要:
ロンドンのスポーツ投資会社で、ブレントフォードでサッカーディレクターを務めていたラスムス・アンカーセンと、プライベート・エクイティ会社KKRのパートナーだったヘンリック・クラフトによって設立。

その他の事業:
サッカーユース育成アプリのTonsserやスポーツストリーミングサイトのSport Buffの株式も取得している。

City Football Group

所有クラブ:
Manchester City (100%)
2014年:Melbourne City (100%)
2019年:Mumbai City (65%)
2021年New York City (80%)
2017年Montevideo City Torque (100%)
2020年:Troyes (フランス/100%)
2020年:Lommel (ベルギー/99%)
2017年:Girona (47%)
2022年:NACブレダ(オランダ)
2019年:Sichuan Jiuniu (46.7%)
2014年:Yokohama F. Marinos (20%)
2022年:Palermo (94.9%)
2022年:Bahia (90%)
City Football Academy
City Football Marketing
City Football Services
City Football Japan
City Football Singapore
City Football China
City Football India
Co-op Live Arena
CFG Stadium Group
Goals Soccer Centers


概要:
言わずとしれたシティグループ。イギリスに本社を置き、アブダビ・ユナイテッド・グループが81%、アメリカのシルバーレイクが18%、中国のチャイナ・メディア・キャピタルとシティック・キャピタルが1%を所有する3つの組織によって運営されている。アメリカ、オーストラリア、インド、日本、スペイン、ブラジル、ウルグアイ、中国、ベルギー、フランス、イタリアのクラブなど世界中に投資。
バルセロナの元経済副会長フェラン・ソリアーノが元々バルサで実現したかった構想をシティで実現。ブランディングの観点から買収したクラブに「City」をつけさせる場合もある。
女子サッカーにもかなり積極的で、シティー・フットボール・グループの10クラブのうち4クラブが女子チームを擁している。

その他の投資:
以前投資していたアメリカの5人制サッカー事業Goals Soccer Centersの単独経営権を取得し、事業利益を拡大する。

e-sports:
GEN.Gとの業務提携やフォートナイト(Fortnite)プレイヤー、コンラッド・スクラム氏とeスポーツチーム契約締結したりと、積極的に事業を展開している。

Kroenke Sports & Entertainment

所有クラブ:
2018年:Arsenal F.C.,Arsenal W.F.C.
2003年:Colorado Rapids

概要:
アメリカのスポーツ・エンターテインメントの持株会社。 アーセナルF.C.とアーセナルW.F.C.等のサッカークラブの他4つのスタジアム、2つのesportsチーム、、テレビ、19の雑誌、4つのラジオ局等、スポーツとメディアをかけあわせた事業展開をおこなっている。サッカー関連でいうと、エミレーツ・スタジアムやアーセナルのトレーニングセンターなど、不動産も保有しているのが特徴。

その他の投資:
アメリカの投資会社らしく、サッカー以外にもNBAのデンバー・ナゲッツ、NHLのコロラド・アバランチ、NFLのロサンゼルス・ラムズなどにも投資。

David Blitzer

所有クラブ:
Crystal Palace
G.D. Estoril Praia(ポルトガル)
AD Alcorcón(スペイン)
S.K. Beveren(ベルギー)
FC Augsburg(ドイツ)
ADO Den Haag(オランダ)
Brøndby IF(デンマーク)

概要:
アメリカの投資家。
2017年に Harris Blitzer Sports & Entertainment を設立し、スポーツ領域に投資。純資産は20億ドルと推定。
サッカー関連ではGlobal Football Holdingsを設立。
2015年に初めてクリスタル・パレスに投資した後、Global Football Holdings傘下でヨーロッパ中に投資。

その他の投資:
NBA のフィラデルフィア 76ers、NHL のニュージャージー・デビルズの共同経営パートナー。
リーグ関連では、新たなバスケットボールリーグであるSlamBallを設立。
また、スノーボーダーでショーン・ホワイトと提携して、オレゴン州を拠点とするスポーツキャンプ運営会社We Are Campを1,000万ドルで買収、タイガー・ウッズと連携して新ゴルフリーグTGLのジュピター・リンクス・ゴルフクラブの立ち上げをそれぞれ行うなど、インフルエンサーと組んで様々な事業を手掛けている。

John Textor

所有クラブ:
2021年:クリスタル・パレス(40%/8600万ポンド)
2022年:ボタフォゴ・デ・フットボル・エ・レガタスSA(90%)
2022年:RWD Molenbeek(80%)
2022年:Lyon(77.49%)

概要:
アメリカの実業家。ストリーミングテレビサービスFuboTVの元会長。デジタルメディアとエンターテインメントの分野での功績が認められ、「ハリウッドのバーチャルリアリティの第一人者」というニックネームで呼ばれている。
イーグル・フットボール・ホールディングス(Eagle Football Holdings Limited)の大株主で複数クラブを運営。クリスタル・パレスに関しては、先程のデイヴィッド・ブリッツァーとともに共同オーナーとして経営。

Pacific Media Group

所有クラブ:
2016年:OGCニース(フランス/80%/2300万ユーロ)
→2019年にINEOSグループに1億ユーロで売却
2017年:Barnsley Football Club(イギリス/80%/630万ポンド)
2019年:FC Thun(スイス)
2020年:KV Oostende(ベルギー)
2021年:AS Nancy(フランス)
2021年:Esbjerg fB(デンマーク)
2021年:FC Den Bosch(オランダ)
2022年:FCカイザーラウテルン(ドイツ)

概要:
ポール・コンウェイ、チエン・リー、グレース・フンを中心とした中国とアメリカの投資家が集まったコンソーシアム。
当初、アジア×エンタメ領域(中国向けアニメ、ビデオゲーム、マーチャンダイジング等)に投資。
フランス1部ニースの買収に関わった際に、フットボールビジネスのポテンシャルを認識し、スポーツ=ポートフォリオの一角という立ち位置からスポーツメインの投資へと切り替えた。
フットボールのビジネスチャンス(=放映権)として最も大きいプレミアリーグへの参入を目指し、2017年12月にバーンズリーの株式80%を£6.3mで取得。
ちなみにニースに関しては19年に1億ユーロで売却時に5倍近くのリターンを出し、そこから二年半で6つのクラブを買収。

サッカースタイル、ビジネススタイルともに特徴がある。
・データを駆使した経営
・スカウティングやトレーニングデータを最重視。
・前線からハイプレスをかけるサッカースタイル
・アカデミー組織や若手に投資

一方ピッチ内での結果がなかなか伴っておらず、批判も出ている。

Red Bull

所有クラブ:
2005年:Red Bull Salzburg
2005年:New York Red Bulls
2009年:RB Leipzig
2019年:Red Bull Bragatino、Red Bull Bragatino II、FC Liefering

概要:
レッドブル社は世界的な飲料メーカーでスポーツ事業に大きな投資をしている。
成功の1つの要因として各クラブの戦術の統一化が挙げられる。
具体的にはラルフ・ランゲロック氏の縦にスピーディに仕掛けるスタイルを採用。
施設にも投資を行っており、最新鋭の機器を用意し、選手の能力向上にうってつけの設備となっている。
買収時にはレッドブル・ザルツブルク、ドイツのRBライプツィヒ、とともにクラブ名を変更して、レッドブルブランドの強化に活用。

Bill Foley:

所有クラブ:
2022年:Bournemouth (England)
2023年: Lorient (France)

概要:
金融サービスを専門とするアメリカの実業家、元弁護士。プレミアリーグのAFCボーンマスとフランスリーグ1のFCロリアンの株式を所有するブラックナイト・フットボール・アンド・エンターテインメントのマネージング・ジェネラル・パートナー。フォーブス誌によると、2023年現在、推定純資産は16億米ドル。

その他:
アイスホッケーのベガス・ゴールデン・ナイツを保有。

Nassef Sawaris & Wes Edens:

所有クラブ:
2018年:Aston Villa (England/55%/3,000万ポンド)
→2019年に単独オーナーに。
Vitoria Sport Clube (Portugal/46%/500万ユーロ)

概要:
ウェズリー・ロバート・イーデンスは、アメリカのプライベート・エクイティ投資家。ナセフ・サウィリスも投資家であり、エジプトで最も裕福な一族の末裔で、アディダスの株式6%を保有。二人は、スポーツ投資会社Vスポーツの共同オーナーで、アストン・ヴィラやビトリアS.Cを保有。ちなみにアストン・ヴィラを買収する際は3000万ポンドの未払い債務を肩代わりし、ヴィラ・パークの改修プロジェクトには1億ポンド以上の費用が想定されているなど、かなりの投資をしている。
Vスポーツはラスベガスにサッカーチームを結成するプロジェクトも進行中。

その他:
NBAのミルウォーキー・バックスの共同オーナー。

Evangelos Marinakis

所有クラブ:
Nottingham Forest (England),
Olympiakos (Greece)
リオ・アヴェF.C(ポルトガル/2,050万ユーロ)

概要:
エヴァンゲロス・マリナキスは、ギリシャでメディア、船舶系の事業を行っている事業家。
オリンピアコスのオーナーの傍ら、スーパーリーグギリシャの会長とヘレニック・フットボール連盟(HFF)の副会長を務めたりと、リーグ運営にも携わっていた。

Gino Pozzo

所有クラブ:
2014年:Watford (England)
Udinese (Italy)

イタリアの実業家。父親がウディネーゼのオーナーで、大学卒業後はすぐにウディネーゼでキャリアを積んだ。
25人から30人からなる国際スカウトチームを運営し、選手の移籍で収益を上げるプレーヤートレーディング型のビジネスモデルを構築。

Daniel Kretinsky

所有クラブ:
West Ham United (England),
Sparta Prague (Czech Republic)

概要:
ダニエル・クジェチンスキーはチェコの実業家で、ウェストハムの株式27%を約2億ポンドで取得し、第2位の大株主となった。純資産は約50億ポンドで、チェコのACスパルタ・プラハのオーナーでもあり、ウラジミール・クーファル、トーマス・スーチェク、アレックス・クラルといったチェコ出身の選手をウェストハムに招聘する際にも影響力を発揮。

RedBird Capital

所有クラブ:
2022年AC Milan (Italy/12億ユーロ)
2020年Toulouse (France)

概要:
ニューヨークを拠点とする投資会社。2014年設立で、運用資産は100億ドル以上。消費財、金融サービス、電気通信、メディア、テクノロジー、スポーツなどに投資。
同社は近年、サッカー市場での存在感を大きく高めており、ACミラン、トゥールーズの他にもリバプールのオーナーであるフェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)の株式10%を取得し、リバプールの株式も保有。
『マネーボール』で有名なオークランド・アスレチックスのビリー・ビーン副社長に就任。

その他:
アメフトリーグであるXFLを1500万ドルで買収。2023年12月、XFLとUSFLを合併し、2024年からユナイテッド・フットボール・リーグ(UFL)としている。

Qatar Sports Investment

所有クラブ:
2011年:Paris Saint-Germain (France)
FC Braga (Portugal/21.7%)

概要:
フランスの巨人パリ・サンジェルマン(PSG)とフランスリーグ1のCEO兼会長であるナセル・アル・ケライフィ。
ドーハを拠点とするbeIN Media Groupの最高経営責任者でもある。
カタールの王族であり、総資産は80億ドル。彼の経営するQSIがFCブラガの株式21.7%を取得してオーナーになった。


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