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白いスタジアムと大きな青空

ひととき


最初は彼女だと思わなかった。僕は一緒に女の人と一緒に歩いていた。 昨日ボーリング場に行ったからか、似たようなレトロな会場入り口までたどり着く。 エントリーフィーを払わなきゃいけないのに彼女(現実世界ではD)が、
 
「ちょっとうちの息子が上で誕生会やってるから入っていい?」
 
とうまいことを言って(同じことが現実に起きた)。 無料で中に入る。上に上がると、とってもきれいな青い空が見える、雲はこれ以上大きくならないだろうというようなくらい、地球を飲み込むように青い空といっしょに広がっていた。
 
そんな美しい空の下に僕らがいることになんだか心が膨れがる感じがした。
僕らはその空に飲み込まれそうな、白い大きなサッカースタジアムの様な建物にいることに気付く。
 
何も考えずに僕は女性についていく、急いだ様子で席を探しているようだ。 ここはイギリスなのかヨーロッパなのか? 日本の様な気もしないでもない。僕らはこの大きなスタジアムの左側の部分をまっすぐ歩く、よくみると観客は女の子ばかりなんで女の人ばっかりなんだろうと不思議に思った。
 
U2のライブらしいんだよねっと観客の一人が僕と同じようにこのイベントがなんだかわからない様に言う。
 
本当にサッカースタジアムみたいな会場で、規則正しくセクションに分かれていて、1つのセクションに階段や柵がある。 バルコニーのような場所に女性たちがコンサートがはじまらないか、ただまっすぐと遠くをみていた。
 
(前の日に自分の家のベランダで作業をしていたからか?)
 
あるセクションの階段をあがり、バルコニーの人が沢山立っている後ろまでいく。 そこでやっと僕らは席をみつける。 僕らの自分らの席を見つけるというより、空いてる席を勝手に取ったと言う感じだ。席と言うよりただのキューブ上の白いそこそこやわらかくないフェイクレザーで覆われた椅子だ。 僕は端にすわり、彼女は僕の右隣に座る。そこで僕はだんだんと一緒にいた女性があの彼女であることに気付く。
 
彼女に会うことは夢のようだ。そうだから夢でしか会えないのだろうか。 
 
僕らの現実的な「問題」をどこかに放り投げて、ただ微妙な空間の中で一緒にいる事に感謝して楽しんでいる
 
それが大人の距離感で緊張感と言うものなのだろうか?
 
なぜ僕たちは子供の時のように、無邪気にすべてをさらけだして、分かち合おうとしないのか?
 
立っている人たちの柵にはハイテクなモニターがあって、誰が演奏するか表示されていた。
 
なぜかスティングも演奏するようだ。 こんな東京ドームみたいなでっかい会場は久しぶりだ。
 
ひさしぶりなので、すこし興奮気味だ。こういうのもかっこいいなと単純に思う。爽快な気分で、誰かと一緒にいて、なにも他の事も考えなくてよくて。 U2も観たことないし。 夢の中ではU2は少し若い時の彼らのようだ。
 
しかし座っていたら前にいる人たちがいて、良く見えない、僕ははじまったら、立って前の方に行って無理やり体を押し込んでみればいいと僕の身勝手ないつもの考えが浮かんだ。
 
ステージは目の前だけど、僕らはステージから見て右側にいる。とっても大きくて僕らは会場から高さ30mくらい、斜めに図ったら70mくらい離れたとこにいる。 不思議なつくりで、ステージの前には大きなビルの通路のようなものがステージと会場を繋ぐように存在してる。
 
いったいこれがスタジアムなのか、ディストピアの廃墟なのか、なんだかわからない。
 
だからステージ真ん中には観客はいなくて、左と右のステージを分割していた。
 
前座のバンドの演奏が始まる。僕らの方に向かってなにやら演奏しているが、音はそんなに大きくない。べつにステージ真ん中でなくてよかったなとほっとする。
 
ステージ側を見るとさっきの白いイメージはなく、その得体のしれない通路もグレーで汚れている。 昔の渋谷のイメージだ。
 
トイレに行きたくなったから、僕は体を方向転換して、建物中に入っていく。 
 
僕は彼女と一緒にトイレに行くことにする。 荷物を置いていったら盗まれる、席も取られるかもしれないとは思った。でもぼくらは気にせずに一緒にはなれたくないがためなのか、暗い建物の中に入っていく。
 
建物の中身はスタジアムっぽい感じはしたけれど、学校の様なオフィスのような、古臭い感じがした、さらに足を進めるとちょっとアットホームな感じな施設にみえてくる。
 
会場の歓声がだんだん消えていく。
 
木造(?)の建物は過去に戻るような雰囲気。夢の中の夢。
 
男性トイレと女性トイレが分かれていた。
 
僕は男性の方に入る。 彼女はその時女性のトイレに入ったように感じたが、僕が入った後に過去の記憶が消され、亡霊のように入っていったような感覚が残る。
 
トイレは少し暗い。 やや象牙色の白いタイルがところどころに敷き詰められていた。壁に、床に。歩く場所は木造の部分がほとんどだったかもしれない。
 
なんだか静かすぎて昔のバイオハザードのゲームでもやっているかのようだ。 (怖さの中の安心感)
 
アンティークな雰囲気だ。だがよくみつめるとアンティーク風にしただけで、最近リノベーションしたようにも見えた。部屋はかなり広くトイレというより普通の部屋で。天井は低い。 誰かの部屋だろうか? 物置だろうか? 左奥にトイレがある。西洋式。 僕はふだん座ってするのに立ってした。 注意散漫なため壁にしてしまう。 
 
綺麗にタイルが敷かれているところを汚す。 「よくできているな」と感心する。
テトリスのように凸凹に組み込まれたタイルだ。
 
左側にもドアがあって和式のトイレの部屋がある。 うす暗い。
 
その隣にはトイレの倉庫みたいなのがあった。 
 
僕は会場に戻る。 この話をしようと戻ると、彼女は本当にあの彼女だった。 後ろから抱きつきたくなったが僕は横に座り、心が通じ合っているのをよく感じて、耳元で話をかわす。
 
会場にはたくさんの人がいる。だけど僕らはお構いなしに僕らの世界を繰り広げられていた。 まるで大きく広がる空は僕らを表しているようだった。 飲み込まれる恐怖はなく、それ自体が自分たちのような気がした。
 
Happiness: 7
Reality: 6
 
分析:暗闇や失態はまだなにかトラウマを抱えているからかもしれない。 女性たちは自分は不特定多数の女性に興味がないという事をしめしているのか? コンサートは一緒になにかを感じあうもの。 ともに何かを感じたいとお互い思っていたことを思い出す。 青い空はとても印象的。白い会場は僕ら側で、ステージは汚かった。 純粋な僕らと汚れた世界を傍観できるようになったか?

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