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ワクチン特需はいつまでつづくか、モデルナ「MRNA」の事業構造とmRNA技術の次の狙いを解説。【米国株長期投資】

コロナワクチンの影響もあり、モデルナという会社は世の中のほとんどの人が知ることになりました。同社は、mRNA技術をつかった創薬、医薬品開発、ワクチン技術に特化しています。ちなみに、モデルナのティッカーシンボルはMRNAです。

モデルナの株価・四半期業績チャートを見てみましょう。

モデルナ「MRNA」株価・四半期EPS推移チャート

2018年12月NASDAQ上場以来、業績はふるわず赤字の決算が続きました。その後、コロナ特需が同社の業績に影響を与え、株価、業績ともに急上昇したことは皆さまご存じの通りかと思います。

私が今回このチャートをみて思うのは、業績は右肩あがり、純資産も増加傾向であるにも関わらず、株価は2021年中盤あたりをピークに急落していることです。直近決算2022年3月期(第一四半期)のPERはなんと5.02倍。これは、投資家が、同社の好業績はコロナ特需によるもので、特需は長くは続かないとみていることが考えられます。

さて、モデルナの業績は今後下落傾向となってしまうのでしょうか?

このブログでは何度か紹介しましたが、私は、Windows95を開発した、伝説のエンジニア、中島聡さんのメルマガを購読しています。

彼は、メルマガの中で、何度もモデルナの事業経営について、mRNA技術について、エンジニアの観点から解説をしてくれています。ここではその一部を時系列で取り上げたいと思います。

結論からいいますと、モデルナは、コロナ特需で終わる会社ではなく、今後大きな可能性をもった会社だといえます。

以下メルマガからの引用です。

この手の勉強をしたい場合、中途半端な記事を読むよりは、その研究をしている会社のWebページで情報を探すのが一番です。Moderna は米国で認可された二つの COVID-19 ワクチンの一つを開発した会社ですが、この会社の「The Science and Fundamentals of mRNA Technology」は、mRNA を使った医療の仕組みをとても分かりやすく伝えているのでお勧めです。
mRNA が意味することは、「遺伝子情報さえ分かっていればどんなタンパク質でも作らせることが出来る」ことを意味しており、医療に大きな革命をもたらすことは確実です。COVID-19 ワクチンは「最初の一歩」でしかなく、今後、これまで難しかった、癌・アルツハイマー・リューマチなどの治療に応用されることが期待されています。

週刊 Life is Beautiful 2020年1月12日号

先日、知り合いの医者と夕食を食べたのですが、その時に mRNA ワクチンの話題が出て、二人で熱く語り合ったので、今週はその話をまとめます。
彼曰く、mRNA ワクチンの本命は癌の治療だったそうですが、これまでのワクチンとは全く異なる手法であるため、業界では、実用化はかなり先のことになると見られていたそうです。しかし、新型コロナに向けのワクチン開発が世界中で積極的に進められた結果、mRNA を活用した BionTechとModerna ワクチンが米国で承認され時計の針が一気に進んでしまったそうです。
これにより、本命であったmRNAの癌治療への応用も一気に進む可能性があり、「5年以内に実用化されても不思議ではない状況だ」と彼は主張します。
 
中略
 
なかなか認められなかった Katalin Karik? が本格的に(十分な研究開発費で) mRNA 医療の開発に関われるようになったのは 2013年にドイツの BioNTech に引き抜かれてからのことで、その成果が、米国で接種が始まり、日本でも使われている Pfizer-BioNTech ワクチンです。

 中略 

一方の Moderna は、2010年に Harvard Medical School で研究者をしていた Derrik Rossi によって作られましたが、Karik? 氏の2005年の論文を読んだ彼は「これはノーベル賞に値する」と直感するほど感動したそうです。
 
中略
 
Moderna は、上場前に $1 billion 以上の資金を集めてユニコーン(株価総額が $1 billion を超える未上場ベンチャー)になり、2018年に上場しました(MRNA、株価総額は現時点で $83.28 billion)。

週刊 Life is Beautiful  2021年6月22日号

Moderna gains access to Autolus' binder technology for mRNA immuno-oncology targets
Moderna が Autolus という会社が開発した技術をライセンスし、癌を退治する mRNA ワクチンの開発に応用すると発表したという記事です。
 
中略
 
デルタ株などの変異株が次々に出来ていること、世界規模で言えば、まだワクチンの接種率は10%にも至っていないこと、ブースターショットも必要になりそうなことを考えれば、Modernaの現在の業績は一過性のものではないと考えても良いし、この記事に紹介されているように、医学会の「Holly grail (聖杯)」とも言える「癌ワクチン」の開発をしていることを考えれば、伸び代も十分にあるように私には思えます。

週刊 Life is Beautiful  2021年8月10日号

Golden jabs: how the vaccine giants are cashing in on Covid
ワクチンの効果が証明され、各国で接種が進む中、Pfizer や Moderna が値上げをしている、という報道です。

中略

それを反映して、第二四半期の売り上げは $4.35 billion、利益は $2.78 billion でした。去年までは赤字を垂れ流している企業だったことを考えると、この成長は前代未聞と言えると思います。

週刊 Life is Beautiful  2021年8月24日号

読者からの質問
mRNAワクチンの開発の要となっている2社、モデルナとバイオエヌテックについてどのように考察されておりますでしょうか?
 
中略
 
この分野には大きな期待を寄せています。必ずしもこの2社だけに限られた話ではなく、ライバルが躍進してくる可能性も十分にあるとは思います。しかし、この2社には「他の会社よりも先にmRNAの医療への応用を研究した」という先行者利益があるだけでなく、COVIDー19ワクチンの提供により、莫大な利益を上げた結果、他のベンチャーには到底出来ない規模の莫大な研究開発費をmRNAの癌治療への応用などに投じることが出来る点が、大きな差別化要因になると私は観ています。

週刊 Life is Beautiful  2021年11月9日号

全文を読んでみたい方は、バックナンバー購入をお勧めします。すでに顕在化した財務諸表や株価の分析情報だけではなく、潜在的技術ポテンシャルを評価し将来性に投資を検討する際に大きなヒントを得ることができると思います。

モデルナ「MRNA」株価・四半期EPSチャート
https://www.tenq.cc/stocks/MRNA

米国代表500社の株価・四半期業績連動チャートが確認できます。

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