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【レコード道】SPU Royalに至る道

順調にレコードにハマって、ついにラインコンタクト針に手を出すことになりました。
コツコツとお金をためて、年末ぐらいに買えればよいかな、くらいのペースで考えてたんですが、9月の車検がめちゃくちゃ抑えられたので前倒しで購入を決断しました。
私の針遍歴は
DP-400の付属針→2M BlueDL-103RSPU#1E、そして今回のRoyal G MKII
おそらく向こう数年はこのまま落ち着くと思います。
レコードの導入経歴について、まとめてなかった気がするので、日記代わりに書いときます。
ついでに同じような経歴を辿っている方への道しるべ(背中の後押し)になれば。


MC型は早期に導入予定はなかった

もともと、レコード自体にそこまで投資する予定ではなかったです(どの口が言うか)。
DP-400については以前もnote書いてますが、これが初級モデルにしては相当いい音出してまして、しかもユニバーサルトーンアーム採用してますから、針交換すれば全然数十年戦えるモデルです。

2M Blueというのもなかなかにすごい針で、どのレコード聞くにもまず不満はないレベルです。
2M Blueは楕円無垢ダイヤモンドなので、SPUグレードで言えばClassic GE相当。
しかもDP-400は内蔵フォノイコライザーも大変優れてます、「あ、こりゃCDより全然いい音じゃん」って聞けば大体の人が思うのではないかと。
ただ、将来的にはMCカートリッジが聞きたくなるかもなぁ、各種レビューでもクラシックならMC型というコメントも目立っていたので、いつかはMC針、と見越してフォノイコライザーであるTEAC PE-505を買ってしまうのでした。

PE-505の音がおかしい!?→MC針買わなきゃ(なんで)

PE-505はフォノイコライザーですが、MM針に対しても負荷容量切り替えに対応しているので投資自体は無駄にならないと考えてました。
で、購入したところ、めちゃくちゃ音がおかしな状態に。
すごい曇って、低音も出ず、「これが20万のフォノイコライザーの音なのか…?いやありえないだろ…」と狼狽する羽目に。
自分の耳がおかしいのか?と、DP-400の内蔵イコライザやmarantzのフォノ接続で試したら、それはちゃんと普通の音。
そもそもPE-505買うような人でMM針しか使わないことを想定してないのか…やっぱりMC針を買うべきか?と、ここで謎の追い詰めをしてしまったわけです(?)
ちなみに、私と同じ現象に合っている人が、yahoo知恵袋で質問してましたが、回答者が軒並み知恵袋クオリティ炸裂というか…見てて胃がキリきりするやりとりです、閲覧注意😓

ちなみに私はこの件を価格comの口コミに出してますが、この現象は説明書に記載されているファクトリーリセットで解決します(「METER」ボタンを押しながら電源ON、3秒間「METER」押しっぱなしでファクトリーリセット)

TEACにもともと問い合わせしていたのですが、その回答が来たのは、DL-103Rを購入した日の夜でして。
ファクトリーリセットした後には、2M Blueも素晴らしい音で鳴り始めましたし、DL-103Rもそれはそれは感動したものでした。

MC針はやっぱりすごい!

DL-103RはMC針の中では入門機とも言えますが、永遠の名機としても語り継がれてます。
まあレコード持つ者、とりまDL-103は部屋のどこかに置いてる、くらいな勢いで語られてますね。
丸針なので、MC針の繊細さはあまり活かされてないんですが、何せレコードを語るにおいて大体DL-103ありき、なところもあり、この音を知っていればいろんなレビューでも対比しやすいんですよね。
実際のところ、クラシック再生が多い私も、2M Blueの再生は必然と減っていきました。

DL-103Rを久々に鳴らしてみました。これはこれですごく素直ないい音。

DL-103のほうが、「レコードらしさ」が出ているんですよね。
レコードらしさってなんやねんの言語化が難しいんですが、レコードってデジタル音源よりも音の生々しさがあると思うんです。
例えば弦楽器は鳴っているのではなく「擦っている」、金管楽器も鳴っているのではなく「震えている」感がスピーカー通して伝わるんです。
2M Blueだと、音として良く聞こえるけど、この「擦っている」「震えている」感が出ない、デジタル音源に変わらない感じなんです。
MC針はデジタル音源では聴けない音が出せるな感は、DL-103でもすごく実感できて、必然とMC針に興味がわいてくるわけです……

フォノイコライザーあるなら、フォノイコ内蔵してないプレイヤー使えるじゃん

PE-505が無事に稼働したことで、DP-400はフォノイコライザーオフで使用することができます(内蔵フォノイコライザーONにしてMCのフォノイコライザー使ったらヤベェことになります、1回やりました)

内蔵フォノイコライザーONでMCフォノイコライザー通したときのイメージ図

こうなると人間欲が出るもので、「内蔵フォノイコライザーいらないターンテーブルにしてもいいんじゃね?」と思ってしまう物で。
で、結果手にしたのは、ターンテーブルといえばレコードに疎い私ですらその名を知っていたTechnicsのSL-1200シリーズ。
本当はがっつりとリファレンスモデルが欲しかったんですが、Technicsって販路が特殊で、ネット通販できないんですよね。
これのカッコいい調達方法がわからず、価格も手ごろでなんかカッコいいじゃんと思ったSL-1200MK7のブラックが、今、私の手元にあります。

将来DJプレイもやるぜ、とか現時点でも毛頭なく、単に見た目カッコいいと、たまたま店頭在庫があったという理由だけなんです。
不純ですが、「見た目がいい」はオーディオ選定で結構大事だと私は思ってます。
ぶっちゃけ、オーディオのカタログスペックって私的には半信半疑なところがあり、見た目のカッコよさで興味惹かれることはまあまああります。
誰かに披露したりするならともなく、オーディオなんて完全に自分の世界だけなんで、自分が納得して精神的な安寧があれば十分なのです。

SL-1200シリーズは、Ortofon SPUが使える「権利」を得られる

SL-1200は、めちゃくちゃ有名ではありますが、これを鳴らすには結構地道な活動、そこそこの投資が必要なのも有名です。
例えば、アーム高さを変えられるとはいえ、最低位置にしても普通のプレイヤーよりちょっと高く、DL-103とかもちょっと針の入りが甘くなるんですよね。
このあたりは、有名なのが、東京防音のターンテーブルマットとの合わせ技。

私もこのターンテーブルマットに、さらにコルクの2mmの安いマットで底上げしてます。
セッティングもシビアで、低音ハウリングが抜けねぇ→壁と接触して共鳴していた、なんてこともありました。
SL-1200MK7は、微細な制震に弱いみたいなことは、ところどころのレビューで見たことがある気がします。

SL-1200MK7があると、できるようになることの一つとして、OrtofonのSPU針が、重りをつければ使えるようになるという点です。
さて、ここでSPUの名前がようやく登場するわけです……
SPUを知ったきっかけはもうちょっと後に書くとして、SPUはMC針の中でも特殊なもので、めちゃくちゃ重いんですよね(これはSPUが重いのではなく、後続が軽い針になっていった、がより正しいでしょう)
なのでSL-1200MK7のデフォルトだとゼロバランスが取れない。
でも、SL-1200MK7だと純正の重りをトーンアームにつけることでSPUが使えるようになるのです。
…ただ、純正の重りは既にTechnicsからは出ていません。
その代わり、同じ仕様でベルドリームから復刻モデルが出ています。

SPU以外の重りの活用方法を私は知らないんですが、これでSPUという針を使う権利が得られることになります。
ちなみに他のレコードプレイヤーの場合、SPUを使える権利=ヘッドシェル30gが可能な機種となると、量販店で売ってるモデルじゃつかえないんですかね…?
そこは調べたことないのでわかりませんが……

OrtofonのSPU、めちゃくちゃカッコいいじゃん!

ここで出てくるOrtofon SPUですが、DL-103を知っていくと必然的にSPUを知る人が多いのではないかと思います。
日本ではNHKが採用したことで業界標準のレコード針ともいえるDL-103ですが、じゃあこのDL-103がなぜ登場したかと言えば、そこにはいち早くMC方式を実用化したSPUがあった、というのは有名な逸話です(Ortofonの試聴会に行ったときにOrtofonの担当者の方にそのように説明されたので、そのまま受けウリです。まあ、ネットでもそのような記載はいくつか見られますね)
もともと、Ortofonの2Mシリーズとかが、「ザ・レコード針!」みたいな感じじゃないデザインが私自身は結構好きだったんですが、SPUもまたあの無骨な感じ、めちゃくちゃカッコいいじゃないですか!がきっかけなんです…スマン…
もともと私自体はヘ音楽器出身ともあり、オーディオには低音の質を求め続けていたので、SPUの音自体も私が追い求めてた音なんですよね。
多分、SPUじゃなければ、ヘッドホンでもお世話になったGRADOに行ったのではないかな…くらいに。
丁度SPUいいかも…とか悩んでいた時に、Ortofonのレコード針試聴会に参加する機会があって、めっちゃ高級機材で再生するSPUを聞いて…でも聞く機材が高級すぎて比較にならないから、申し訳なさげに、2M Blueも鳴らしてもらうことで比較し、ああ、SPU全然行けそうだな、と言う感覚をつかんだのでした。
ただ、SPU針もMCの中では主力ラインは10万超え。
高い買い物して、やっぱ違うかも…となるのは怖いので、とりま身の丈に合った購入したのがSPU#1E。

丸針はDL-103で使ってるから、ここはもうちょっと頑張って楕円針かな、と選んで、まあぴったりフィットしましたね。
低音が図太いのはMC針としては異端かもしれませんが、私には全然これで一生戦えるなくらいで、今でも全然「お前はSPU#1Eしか使っちゃダメだ!」と言われても十分耐えられるくらい、SPU#1Eは土台が良くできた針だと思いますよ。

SPUドリームを掴め!ハイグレードモデル選び

もちろんSPU#1Eでも全然満足しているんですが、ちょっとお金入ったらアップグレードしてもいいな、は正直考え始めていました。
現行のSPUは、以下のようなグレードとなっていて、私がネットでかじった独断と偏見を交えると以下の通り。

  • SPU#1S=接合丸針、約8万円。SPUとしては一番安い、MC針としても入門として妥当…だけど取り付けられるターンテーブルに条件有り。

  • SPU#1E=接合楕円針、約9万円。ちょっと音が良い入門。

  • SPU Classic G=無垢丸針、約12万円。SPUの正統がこれっぽい。

  • SPU Classic GE=無垢楕円針、約15万円。クラシックとかジャズならこっちかも。

  • SPU Ethos = 無垢楕円針、約13万円。世界限定発売なのにオークションに未開封新品がよくいる印象

  • SPU GTX(G/E) =無垢針+昇圧トランス内蔵なのでフォノイコライザーいらないMC針。GT自体は昔にもいましたが、GTXは最新作、今まさに旬なイメージ

-- ここからはハイエンドライン --

  • SPU Synergy = 無垢楕円針、約28万円。音がデカいので頑張ればフォノイコライザーいらないと噂。比較的在庫があり手に入りやすい。

  • SPU Meister Silver=無垢楕円針、約28万円。金ピカじゃないハイエンドで渋み。パワーよりも繊細らしい。やや入手しにくい気がする

  • SPU Royal G=オルトフォンレプリカント100(ラインコンタクト針)、32万円。SPUの現状新品で手に入る最上級モデル。結構入手しにくい気がする。

今どきで、かつ、私の音の傾向からもSynergyを選んだほうが相性はいい気はしたんですが、100万円超の高級機でも使われてるオルトフォンレプリカントは聞いてみたいっ…という欲から逃れられず、しかも入手もだいぶ難しい感じなので、清水の舞台から飛び降りるがごとく、今回SPU Royalを手に入れたのであった…
オルトフォンレプリカントの説明は、この動画が一番わかりやすいです

どうよ、SPU Royal?

Ortofon SPU Royal G MKII

8万円のSPU#1Eから一気に最上級のSPUであるRoyalまで吹っ飛んだわけですが、基本的な音作りは大きくは変わってないと思います。
もちろんグレードは格段に上がってるんですが、図太い低音は残ってるというかむしろ#1Eより強くなってる感があります。
音量が増えたのではなく、パワーが強くなった感じ。
最初の出音は「あ、低音控えめな上品な感じなのね」と、針圧を少し強めに持って行ったんですが、慣らし運転していくうちにみるみる低音が増えていってヤバい感じになったので、針圧は今はむしろ既定3gより少し抑えて2.8gにしてます。
それでも#1Eより低音量既に多いです。
まだまだこれから増えていくんだろうか?
ただ、私もこれまでハイエンドヘッドホンなどを聞いてきたので、オーディオ機器として正統なハイエンドだな、という意味では想定の範囲内です。
すげぇ音だ、びっくりして腰が抜けた!なんてことはなく、むしろ費用対効果出たよね…?でハラハラしながら、いまのところこの性能ならしっかり元が取れそうだという感じに落ち着いてます。
しかし、レコードって本当にデジタル音源には比べ物にならないくらい情報量があるな…と改めて痛感してますが、逆に何で一回レコードは下火になったんでしょうね?
もちろん、草の根でずっとレコードのほうが絶対いいよ!と言い続けた人がいたからこそ、今この時代でも私はレコードを聞けてるんだと思いますが、いうてもCDの便利さ・手軽さは商売的にも、そして利用者の精神衛生的にも多くの人たちを虜にしたんでしょうね…。
それに、情報があふれてやりたいことにあふれたこの時代で「むしろ音楽に向き合うだけの時間がなによりも贅沢」と気付くまでに、ここまで時間がかかったのかもしれません。
なんにせよ、現状考えうる最高の再生環境がほぼ出来上がったので(その代わりお金は飛んで行った)、ぼちぼち、楽しく音楽を聴きながらの在宅勤務に今後も励んでいこうと思います。
※色々なことがあって、在宅勤務が一般的な時代になり、学生時代でもできなかった好きな音楽聞きながら8時間以上デスクワークするなんてのも、ある意味では夢見た未来がやってきたのかもしれません。

おまけ:レコード蒐集はどんなもん?

レコード再生の管理台帳。

主にベートーヴェン以降マーラーぐらいまでの主要ロマン派交響曲全曲をメインにほぼほぼ欲しい曲は集まってます。
枚数にして110枚。ただし、ダブりもあるので純粋な曲数で言えば100曲に届かないくらい。
これを今だいたい20日間周期でローテーション。
在宅勤務日は6~7枚聴けるものの、出社日もあるのでその日は1~2枚。
SPU#1Eでは延べ500時間ぐらいは再生したと思いますが、全然音の衰えすることなくRoyalにバトンタッチしました。
SPU#1Eは今後は何かあった時の予備として一旦は暗所保管です。

レコードについては、置き場所的なことで言えば130枚くらいまでは増やせるものの、積極的に増やすつもりはないです。
これまで全く縁がなかったシベリウス・ラフマニノフ・ブルックナーあたりに手を出すか?まあ縁と興味があれば手を出すかな、と言う感じで。
FranklinMintのGreatest Recordingは現在6本あります。50本コンプリートは無理にしてもオークションで見かけたら都度検討しようかな、程度に。
ちなみに絶対に欲しいレコードは「持田ヨシ子/こども盆踊り唄」。1年に1回ぐらいはオークション出てくるはずなんですが…。来るのを待ってます。

おまけ2:ラインコンタクト針といえばラッセル車ばりの埃除去装置

数枚の再生で埃的なものが針にたっぷり…

スマホカメラにルーペ付けてるのでうまくピントあわないんですが(そのほうがよいかも?)、さすがはラインコンタクト針、相当美品の盤だろうと、数枚再生すると針に埃がこんもり載ってきます。
もちろん、毎回再生前に盤面にクリーナーをかけて、これです。まあ、音溝に入り込んだ埃はクリーナーじゃ取れませんから…
こういうのもあるので、手に入れたレコードはまんべんなく再生し続けたいんですよね。ワンチャン、パチパチ音が抜けないレコードもいつかきれいな音になるのかしら。

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