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大人ピアノ初心者が1回15分以下の短時間練習で上達するために意識してよかったこと

ピアノ練習したいとは思っているものの、実際のところなかなかまとまった時間を取れないなあ、という人、多いんじゃないかと。

僕もそのひとりだったりします。

「時間はひねり出すもの」と頭では分かっていても、1時間も2時間もコンスタントに設けるとなるとなかなかしんどいと思ってしまう怠け者。

そんな僕が、「ひねり出すってほどでなくても、現実的に取れそうな時間だけ練習しよう」ということで、「1回15分まで」というルールでピアノ練習してきました。
そしたら、なんとかかんとか年明けに練習100日間を達成。

もちろん続けただけで上達してないんじゃ意味ないですが、ある程度は指も動くようになってきました(まだ道のりは長いけど)。

今日は、そんな僕が、15分間という短い時間で少しでも上達率を高めるために工夫したことを紹介します。

「なにを練習するか?」を明確にする

その日の練習の目標をはっきりさせておくほうが集中できます。
人は「意図的な練習」であることがとても大切なので。

たとえば、弾く前に「今回の目的」として

  • 暗譜する

  • 運指をまちがえずに弾く

  • リズムを覚える

  • 原曲のテンポで弾けるようにする

  • 覚えた箇所の表現力を研ぎ澄ます

ということを頭に置いて、意識しながら練習を始めるみたいにするといいってことですね。

さらに、限られた時間であれば、
「今日は○○小節目〜○○小節目までをやろう」
といったように、練習箇所もしぼった方が、その日の上達している感覚はよかったかなという印象です。

練習しはじめの時は、1曲弾き終わらないうちに時間切れになってました。さらに、全体的に弾けないもんだから、練習後に「今日、なにひとつ記憶にのこってないな・・・」という状態でした。

しかし、練習箇所を限定しておくことで、細かい箇所の変化が見えやすくなり、「自分がいまどこにどんな意識を向ければいいのか」がわかりやすくなります。結果、学習効率がアップ。さらに、成長も実感しやすくなるのでモチベーションも続きやすくなりました。

「その日におなじ練習をくり返すよりも、日を分けて全体的に練習したほうが残りやすい」という話もあるのですが、全く弾けないうちから全体練習しちゃうと、難易度が高すぎて練習効果が下がっちゃうと思われ。

なので個人的には、はじめのうちこそ「前に進んでいる感覚を得る」という意味で、断片的に練習するのはいいんじゃないかなと考えてます。

ちょうどいい難易度の練習内容にする

難易度が高すぎると練習効果が低くなる

「練習効果は、課題の難易度が高すぎても低すぎてもさがってしまう」
というのがありまして。

今回の場合、『彼こそが海賊』は僕にとってかなり背伸びした難易度です。
単純に反復練習した場合、難易度が高すぎると感じてしまったようです。
一向にうまくなっている感覚が得られませんでした。モチベーションもだだ下がり。

このため、練習効率を高めるためには、適度にカンタンな課題にする必要がありました。
むずかしい曲であることは変わらないのに、どうやって難易度調整するの?
って感じですよね。

今回僕がやったのは、

  • まずは譜面を覚えることに専念する

  • 1回の練習で弾く小節数を減らす

  • とにかくテンポを下げる

という方法でした。

もちろん、最終的に譜面どおりに弾く(譜面自体をやさしくしない)
というのは譲れないポイントではあるので、難易度調整は工夫が必要です。

はじめから両手で弾いた理由

「”片手ずつ練習する”っていうのはしなかったの?」
と思ったかもしれませんね。

僕は今回、あまり片手練習の時間を割きませんでした。

理由は別の記事で話していますが、人間は「両手で弾く」動作は「2つの片手弾きを重ねる」ではなく「両手弾きを両手で弾く」こととして覚えているから。靴紐結ぶときに片手ずつ練習しないのとおなじですね。

なので僕はいまのところ、片手弾きは
「譜面を覚えることを目的としての片手弾きする」
場合を除いて、基本は最初から両手弾きすることにしてます。

習慣化しやすい環境を整える

15分という時間は、多くの人にとって物理的には捻出できる時間だといえるでしょう。

でも、この15分練習するのすらも挫折しそうな不安をもつんじゃないでしょうか。じつは僕自身も今なお不安でしょうがありません。ふはは・・・。

なぜなんでしょう?

理由は、時間をつくる以上に、
ピアノの前に立つという行動を起こすことにハードルの高さを感じている
からです。

時間捻出より習慣化のほうがむずかしいと感じているってことですね。
なのでもしあなたが時間がある、もしくは捻出できるにもかかわらず続かないという状況であるのなら、まずは習慣づくりを工夫するところからはじめたほうがよいでしょう。

習慣化の方法はべつの機会にかければなと思います。

ひとつだけ触れておくとすれば、とにかく
「自動的にピアノに触らざるを得ない環境にする」
ということでしょうか。

リモートワークの人であれば、デスクの上にキーボードを置いておき、どかさないとPCを開けない状態にしておく、みたいに。
つねに置いてあれば、移動させるついでに1回だけ弾く、というのがしやすくなりますよね。そんな感じです。

時間がないからといって速く弾こうとしない

15分しかない!だからできるだけたくさん反復しなきゃ!
と急いで何回も弾いてもうまくいきません。

音楽学者ロバート・デューク氏らによるピアノ専攻の学生を対象とした研究(*1)によると、
練習時間や演奏回数が多いかどうかはあまり順位に影響はなく、
練習中に正確な演奏をした回数が多いほど本番で良い順位の結果を出した

んだそうです。
反対に、間違った練習をしていたら順位は良くないというけっかになりました。

これは、「はじめからミスせず弾ける人間だった」という意味ではなく、
「ミスした箇所があったら、その部分を正確に弾けるように、”演奏のテンポをゆっくりにする”といった工夫をすばやく行っていたよ」
という意味。

僕も練習時間を制限してすぐは、たくさん練習しようとして一向に修正できないという状態が続きましたが、「今日は指の動きを覚えることに専念しよう」と気持ちを切り替えてから、自然と翌日にはなめらかにミスなくなめらかに動かせるようになっていくのを感じられるようになりました。

おもえば卓球というスポーツをやっているときも、
「とにかく数打てば直る!」
っていう熱血コーチや先輩のいいなりになっていたときは練習時間の割に全然うまくならず、
反対に短い時間、1プレー1プレーを分析修正するようになったほうがうまくなれたなあと。

以上がいまのところいいなあと感じている練習方法です。
また新しい発見があったら報告しますね。

あとはよしなに。

参考文献

*1 It's Not How Much; It's How: Characteristics of Practice Behavior and Retention of Performance Skills
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0022429408328851


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