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ゴッサムシティと広島県

自分が奉仕している教会のある広島県の福山市がゴッサムシティと姉妹都市提携しています。架空の町とは言え、あんな怖ろしい都市と提携しても大丈夫なのでしょうか。実は福山市の市章がコウモリを象ったものだからが理由のようです。なぜコウモリかは背景があって、福山城が位置する山がかつて蝙蝠山と呼ばれていた逸話から。

それで納得がいったのは、福山には「ばらの町福山ミステリー文学新人賞」という賞があって推理小説が募集されていること。これは作家、島田荘司の出身地が福山だからという理由が大きい。市として推理小説を選考する企画は全国的にも珍しいと思って注目するのだが、コウモリのイラストがあつらえられているのだ。ミステリーのイメージからコウモリなのかと思っていたが、そんな単純な話ではなく、福山城のある蝙蝠山が由来かと得心した次第。

ゴッサムシティの由来となったのは、イギリスのノッティンガムシャー地方にあるゴータム村(同じ綴りだがイギリスではこう発音)。英語の古語で山羊の家を意味する。山羊飼いの住む村という意味だったのか。この村はマザーグースにも登場して、ゴッサムの愚か者という印象が定着する。真逆のゴッサムの賢者という語もあるが、愚者と賢者はどこかで紙一重という理解もできましょうか。

時代は下り、19世紀アメリカで活躍した作家ワシントンアービングが皮肉を込めて、ニューヨークのことをゴッサムシティと呼ぶ。これをバットマンの原作者ビルフィンガーが採用したという流れですね。そういう意味ではニューヨークがゴッサムシティのモデルのひとつとは言えるか。福山大学に山羊がやって来たというニュースもあって、まさかゴッサムシティを意識しているわけでもないだろう。

そう言えば、スケープゴートという言葉も山羊に由来しますが、旧約聖書レビ記16章にある贖罪の日に荒野に放たれる山羊から。山羊が罪を背負うわけだ。教会ではキリストこそ全世界の罪を背負い、ゆるす存在だと語られる。

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