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子ども食堂と子どもの貧困

住友 最近各地で増えているんだけど、「子ども食堂」って知ってる?
三井 知ってるよ。地域の子どもたちに食事を提供する社会活動のことでしょ。
住友 あ、三井さんでも知ってるんだね。
三井 「でも」って何?
住友 三井さんなら、子どもが経営する食堂って言うのかと思ってた。
三井 住友さんなら、子どもを料理する食堂って言うでしょ。
住友 うん。
三井 やっぱり。
住友 子ども食堂は、この十年間に急速に全国に広まっているんだ。
三井 具体的にどんな活動をしてるの?
住友 毎日の食事を十分に摂ることができない子どもたちのために、ボランティア団体やNPO法人や飲食店が協力して、栄養バランスのよい美味しいご飯を食べてもらう活動をしているんだ。地区センターなどの公的な施設を利用することもあれば、飲食店が場所を無償提供してくれることもある。ほとんどの場合は、食事が無料で提供されるか、有料であっても子どもに負担がかからない程度の低料金なんだ。
三井 なぜそういった子どもたちが増えているんだろう?
住友 原因は、「子どもの貧困」だとよく言われている。日本の社会も次第に貧富の格差が拡大している中で、現在では6人に1人の子どもが貧困状態にあると推定されているんだ。
三井 そんなに子どもたちの生活はたいへんなの?
住友 小学生の中には、一日の唯一の食事が学校給食だけというかわいそうな子もいる。もちろん全ての子どもたちが、そこまで悲惨な状況というわけではないのだけれども、親の収入が少なくて十分な食料を得られない子どもたちや、親が夜遅くまで働いていて家族一緒の食事ができない子どもたちもいる。だから満足な食事が摂れない子どもたちが少なくないんだ。
三井 そういう子どもたちにとって、子ども食堂は必要不可欠な場なんだね。
住友 その通り。単にご飯を食べてもらうだけでなく、子どもたちと交流を深めることも目的としている。たとえば、子どもたちと一緒に料理を作ったり、後片付けを手伝ってもらったりしながら、食事の楽しさと大切さを体験してもらうこともできるんだ。
三井 いわゆる「食育」だね。
住友 さらに学童保育やフリースクールとしても機能しているんだ。
三井 フリースクールって?
住友 いじめなどのさまざまな理由で学校に登校できない子どもたち、虐待や育児放棄で家庭にいられない子どもたちを受け入れてくれるボランティア活動の学校のことだよ。
三井 素晴らしいね。
住友 でも、子ども食堂にもいくつか問題があるんだ。
三井 どんな?
住友 あまりにも子ども食堂の印象が、子どもの貧困と結びつけられていること。
三井 どういうこと?
住友 子ども食堂を運営しようとすると地域住民が反対することもあるんだ。
三井 なぜ?
住友 その地域が貧困だと思われてしまうから。
三井 なるほど。
住友 利用する子どもたちが躊躇してしまう事例もある。
三井 貧困の家庭だと思われてしまうから?
住友 そうなんだ。子ども食堂は貧困救済だけを目的としているわけではないことがよく知られていないんだ。
三井 もっと子ども食堂の役割が理解されることが必要だね。
住友 そして、もっと子ども食堂を利用しやすい環境を作ることも必要だ。
三井 たまには住友さんもいいこと言うんだね。
住友 「たまには」って何?
三井 子ども食堂のことは、ぜひ受験生にも知ってほしいね。
住友 そうだね。ちゃんと食事できて勉強に専念できることに受験生は感謝しよう。
三井 受験生の皆さん、頑張ってください。
住友 頑張ってください。


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