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ほめるを深める(3)

前回、
2.「具体的にほめる」ことの大切さと、「ほめる」ことに加えて添える
一言の有効性について、
具体的にほめるところを見つける目とそれを伝える言葉の力、そして親の持つ人間としての信念や子どもに伝えたいメッセージを言葉にする力を、子どもと一緒に成長しながら学んでいきましょう、と結びました。

今回は、 
3.「ほめられて」育った子の「自己肯定感」向上と親子関係について
考えていきます。 


3.「ほめられて」育った子の「自己肯定感」向上と親子関係


自己肯定感と親からのメッセージ

「自己肯定感」とは、何でしょうか?
「ありのままの自分を肯定する、好意的に受け止めることができる感覚」のこと。他人と比較するのではなく、そのままの自分を認め、尊重し、自己価値を感じることができる心の状態を指す。
人間関係やパートナーシップ、仕事や自己実現においても、「自己肯定感」が土台となり、幸福に大きく影響する感覚。
 
他人からのメッセージ、特に親や先生、友達や指導者からの言葉や態度は
成長する子どもにとっては、何よりの栄養源だと思います。
とりわけ家族の雰囲気があたたかく受容的な環境で育った子どもは、前向きで明るく他人にも優しい性格が多い、という傾向にあります。
その理由は言うまでもなく、あたたかい雰囲気の環境には、必ず「ほめる」という行為、メッセージがあるからです。
お手伝いをすれば、「ありがとう。助かったよ。」
兄弟で仲良く過ごせば、「仲良くできてえらいね。」
自ら進んで宿題や明日の準備をすれば「きちんとできたね。えらい!」
そういった一つ一つの親子のやりとり、親からのプラスのメッセージは、子どもにとって最高の心の栄養であるといえるでしょう。
自己肯定感の向上は、「親からの絶え間ないプラスのメッセージ」と最も関係があると確信しています。

私はできてませんでした・・・

もちろん、上手くいくことばかりではありません。
親も、仕事や人間関係でくたくたになって家に帰ると、子どもが予想外に良くない状態(兄弟げんか、宿題まだ、散らかし放題、ゲーム三昧・・)でいることも多いのが現実です。
思い出せば、私も2人の子どもが幼い頃、叱りすぎて申し訳ないことをしてしまったこともあります。
ほめるどころか、月曜から金曜は、子どもが起きている時間に家に帰っていない状態がほとんどでした。
土日にも仕事に行ったり、一日中布団に転がっていたりした時期もありました。子どもをほめるどころではない。
ましてや一言加えたことがあったのか、とさえ思います。
ここで、偉そうなことは言う資格があるのか、と自問自答してしまいます。
私の場合、子どもの思春期の時期こそ仕事に追いまくられて、「そういえばあの子たちは大きな反抗期があったのかな?」といった無責任状態でした。
妻や祖父母のおかげで、無事2人の子どもたちはよく育ってくれましたが、長女などはこの文章を読んだら「はあ?なにこれ!」といって苦笑することでしょう・・・・。(泣)

それでもあえて、親の皆さんには子どもをしっかりみて、具体的にほめ、心に届く一言を与え続けてあげてください、と言わせていただきます。
大そうなことでなく、「今日も一日元気で過ごせたね。えらいね!」だけでもいいと思います。
帰りが遅い時には、寝顔を見て、ほっぺたを撫でながら、「今日もお疲れ様。明日も元気で。」と言ってあげてください。
私の子どもたちは、子どもに十分かかわっていない父親だったにもかかわらず、良い大人になってくれて本当に感謝!です。
でも一つ間違っていたら、と思うと反省しきりです。
その償いの思いを、この文章に込めて、ただいま子育て真っ最中の親の皆さんに伝えたいです。

一言添えてあとは見守る

プラスのメッセージに溢れている子どもにも、もれなく思春期が訪れます。「今まであんなに優しく、聞き分けが良かった子なのに・・・。」といった状況にとまどったり、困惑したりする親は多いと思います。
ただ、これから小学校低学年、中学年の子どもをもつ保護者は、まだまだ時間がたっぷりあります。
特に思春期を意識してということではなく、今現在できる限りのプラスのメッセージを与え続けてあげてください。
将来は誰にも予想できません。
しかし、プラスのメッセージ「ほめる、具体的に、一言添えて」の基本を繰り返し、継続すれば、あとは子どもの成長を見守るだけです。
将来、子どもが親に見事に結果を教えてくれるはずです。

親子関係はお互いがこの世に生きている限り続きます。
今振り返ってみると、「我が子と過ごす時間は、思っているよりもはるかに少なく、貴重な時間だったな。」ということをつくづく思い知らされます。この文章を読んでくださる皆さんは、それぞれ全員が違う環境、状況です。誰一人、どの家族をとっても唯一無二の存在です。
しかし、原則は変わらずに存在します。

子どもに寄り添った願いをもち、できる範囲での環境を整え「ほめる、具体的に、一言添えて」の基本を、反復、継続して、子どもの意欲、能力を伸ばすとともに、良い家族関係・親子関係を築いていただけたら、これほどの喜びはありません。

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