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ロンギヌスの投げ槍

犬と散歩に出かけると、不可避の出来事が起きる。
不可避ではあるが、予兆がないわけではない。

クンクン匂いを嗅いだり、電柱に向かって脚をあげて用をたしたりする。そういった準備運動のあと、その時はおとずれる。静かに。そして容赦なく。

それが「ファーストウンパクト」だ。

ファーストウンパクト
散歩中であれば…そう、時と場所を選んではくれない。ウンパクトの瞬間、運命の糸で繋がれた僕らは目と目が合う。彼(彼女)たちはまるで、予知などできなかったと訴えているようにみえる。愁いを帯びた瞳が何かを伝えようとしている。僕は一歩も動けない。立ち尽くすことしかできない。

わずかな平穏
どんなに酷いで出来事も、過ぎ去ってしまえばまた平穏な時間が戻ってくる。何事もなかったかのように。そして、しばらくその平和な時間は続くものだ。そう信じていた。あの時までは。

「2度目はない」なんて誰も保証してはいない

セカンドウンパクト
「新鮮さ」といってしまうと不謹慎かもしれない。容赦なく現れるそれに慣れることはない。いつだって生まれたてのようにそれは。

やはり不謹慎かもしれない。僕ら飼い主に抗うすべはない。その色や形、温度や匂いまでも。眼の前の現実をただ、受け入れるしかないのだ。

ロンギヌスの槍
どんな旅にも終わりはある。近所の散歩程度のものだって例外はない。道中どれだけ多くの選択、予想不可能な出来事があったとしても。どんな旅にも終わりはある。

タイトル回収を忘れていたとしても、終わりはやってくる。いや、終わらせなくてはならない。それが飼い主の義務だと僕は思う。実のところとても億劫に感じる。なんだか投げヤリな気分にすらなってくる。
やれやれ(槍槍)

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