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米国ドラマ【BULL】の魅力とアメリカの陪審員制度

2016年からアメリカのCBSで放送しているドラマ『BULL(ブル)』

主人公は弁護士ではありませんが、法廷ドラマです。
今回は、アメリカの裁判の仕組みを通してドラマの魅力を語ります。

ドラマ『BULL』の設定

主人公のドクター、ジェイソン・ブル、3つの博士号をもつ天才心理学者という設定。

心理学ね、あーはいはい。
心理学で犯人を追いつめ、真実を明らかにするわけね。

いいえ、そんなストーリーではありません。

アメリカの裁判は陪審員制度で行われています。簡単に言うと裁判長は判決を下しません。評決をするのは、陪審員と呼ばれる一般の人びとです。この裁判制度は、日本の法廷ドラマとは全く別な物語を生み出します。

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アメリカの陪審員制度とは

陪審員として選ばれた12人の一般市民が、裁判を聞いて有罪か無罪かを決めるというものです。

裁判官は陪審員の「評決(全員の決定)」にしたがって「判決(最終決定)」を下すのが仕事です。裁判官は基本的には陪審員の評決に従います。

つまり、陪審員の評決=判決(最終的な決定)となるわけです。

主人公ブルの仕事とは

主人公のブルは依頼を受け、裁判で無罪を勝ち取る仕事をしています。
とはいっても、ブルは弁護士嫌いのドクターです。

彼は心理学を使い、陪審員たちの心理を読みます。

彼の会社とチームは、実際の陪審員とタイプの似ている「疑似陪審員」を仕立てます。そして、疑似裁判をおこない、どういう弁護で無罪を勝ち取れるかをシュミレートしていきます。

陪審員に接触することは出来ないため、疑似陪審員をとおして、陪審員たちちの心理を読み、無罪を納得させていきます。

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ドラマの視点

このドラマでは、極端に言えば真実を焦点にしていません。
日本の法廷ドラマで「真実が知りたい」というセリフがあります。しかし、訴訟大国アメリカの現実は、そんなに優雅ではありません。

どんなに無罪の被告人でも、陪審員全員が有罪を認めればそれが判決となります。「裁判長!意義を申し立てます」などと言ってる暇はありません。
12人の陪審員を、全員納得させないといけないからです。

つまり、裁判の攻略=陪審員の攻略となります。
ブルの率いるチームの出番というわけです。

エピソード紹介と魅力

旅客機がウインドシアという状態に陥り墜落し、乗客が亡くなります。
奇跡的に助かった女性パイロットが、その責任を問われることになります。

裁判の焦点は、コントロールが効かなくなったとき、彼女がマニュアルに従わなかったこと。しかし彼女には、それをした理由がありました。

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女性への偏見や、マニュアルに従わなかったことで、陪審員の心は動きません。しかし、シュミレーションの結果を活かし、少しずつ陪審員の心象が変わっていきます。そして、残り二人の陪審員が問題となります。

ストームチェイサーと呼ばれる自称「嵐」の研究者。かれは、ウインドシアという現象の驚異は知っています。しかし、偏見が障害となっています。

もうひとりは元兵士。彼も英雄=男性の観念があり、無罪へ傾きません。
二人の何に訴えかければ、無罪を勝ち取れるのか…

といった感じです。

ドラマの魅力とは

真相を求める法廷モノとは、少し違うドラマです。
「真相と評決は別」というシュールな、アメリカの現実ともいえます。

日本も裁判員制度というものがありますが、「裁判官と一緒に審理に参加する」というスタンスです。陪審員制度とは異なるため、このドラマの設定にも馴染みがないかもしれません。

アメリカ人は2~3年に一度くらいの頻度で、招集通知が来るそうです。それだけ、裁判は身近なもののようです。日本でこのドラマがそれほど流行っていないのは、そのせいかもしれません。
しかし、陪審員制度のことがわかれば、このドラマの魅力は増します。
興味をもったかたはぜひ。
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