続くインフレ。イギリス人の生活はどう変わった?
イギリスは今、大変です!
光熱費など日常生活に欠かせないもの全てが値上がりして、急激なインフレーションによる影響を、毎日痛いほど感じています(トホホ)。
前は好きだった買物も、「あ、また値上がりしてる!」「今回は予算オーバーしそう!」と、ビクビクしながらするようになってしまいました。
「みんなどんなふうに生活しているのだろう」。
という疑問がふと湧いてきました。
急激なインフレーションは、イギリス人の生活をどのように変えたのでしょうか。イギリス人の友人に協力してもらい、インフレーションによる生活の変化についてお伝えします。
ショック!イギリスのインフレ率
イギリスでは、物価上昇が続いています。2022年7月のインフレ率は前年同月比10.1%と、過去40年来の最高となりました。記録はさらに伸び続け、同年10月は11.0%。2023年1月のインフレ率は、10.0%でした。
・参照:"United Kingdom inflation rate”
数字でも分かりますが、現地で生活していると物価上昇の凄まじさを身にしみて感じています。
例えば、私がいつも購入しているMorrison’s(モリソンズ)のクロワッサン6個入り。
これを毎朝2~3個とジンジャーハニーミルクティーとともに食べるのが日課です。
インフレ前は1袋99ペンス(約163円。1ポンド=165円で計算)だったのに、どんどん値上がりして今は1.89ポンド(約312円)です!
私も子供たちも好きなので、以前は1週間に6袋くらい買っていましたが、4袋に減らし、さらにセインズベリーのクロワッサン(1.4ポンド)にシフトしました。物価は上がっても食欲は下がらないのがつらいところですね(トホホ)。
「これは痛い!」と感じる値上がり
イギリスで生活をしていて、「値上がりして困った」と思ったものをご紹介しますね。
光熱費(ガス・電気)
光熱費は、値上がりを続けています。
わが家の光熱費ですが、値上がり前(2022年の春頃まで)は月100ポンドいくかいかないか程度でした。ところが、いつもより使わないように気をつけても月120ポンドとなり、さらに2022年10月からは月150ポンド。さらにさらに今年3月からは180ポンドに値上がりです!
House of Commons Libraryによると、エネルギー(ガス・電気)の卸売価格が急上昇したのは、2022年の4月。増加率は54%でした。そこからさらに値上がりしたため、政府は2022年9月に“ Energy Price Guarantee(エネルギー価格保証)”を発表。10月から、年間の光熱費の上限を2,500ポンド(約412,500円)としました。その後エネルギー価格保証は改定され、2023年3月からは上限が3,000ポンド(約495,000円)に引き上げられたのです。
・参照:"Domestic energy prices”
政府によって2022年10月から2023年3月まで400ポンド(66,000円)の光熱費割引措置が取られ、さらに2023年に新たな割引措置が実施されるということですが、値上がりが止まらないことに不安は隠しきれません。
ガソリン代
インフレは、ガソリン料金にも及びました。
私はディーゼル車で、値上げ前は軽油1リットルあたり1.2~1.3ポンドくらいだった気がします(裏覚えですみません)。
それが、タクシーの運ちゃんたちが悲鳴を上げるほど値上がりを続け、一時は1リットルあたり2ポンドに迫る勢いに(汗)。
現在(2023年3月)は落ち着いて、1リットルあたり1.6ポンド(ガソリン価格は、地域によって異なります)からあまり動いていません。それでも、値上がり前よりは高いですよね。
このように、生活に直結しているものが値上がりしてしまい、これまでにないほど“節約”を意識せざるをえなくなりました。
それは、ネイティブのイギリス人も同じ。
例えば、地元のCounty Council(自治体)では、“allotment”(公共スペースを借りて野菜を育てるサービス)を1スロットあたり年間80ポンド(60歳以上と無職の人は割引あり)で貸し出しています。自治体に利用状況を聞いたところ、パンデミックやインフレの影響で、allotmentの利用者が増えたということです。
食費を含む生活日常品
The Office for National Statistics (ONS:国家統計局)のレポートによりますと、2021年12月から2022年12月までに該当する食料品とノンアルコール飲料の価格の上昇率は、16.9%でした。
・参考: “Cost of living: Food price inflation”
食品別に価格の上昇率を見てみましょう。
身近な食べ物の価格が上がっているのが分かりますよね。
インフレーション前のスーパーマーケットでは、「1ポンドぽっきり!」という文字がよく踊っていました。それがインフレ後は「1ポンド35ペンス、お買い得!」です。たかが35ペンスかもしれませんが、日本円にするとおよそ57円。例えば、毎回の買い物で10商品購入したら、570円増です。週に1~2回買物しているので、年間570円×1.5回×52週=44,460円食費増ということになります。
私の感覚からしたら、けっこう大きな出費。
2023年に入っても、スーパーでは毎週何かしら値上がりしています。「値上がりがいつ止まるのかが見えてこない」というのが非常に怖いですね。
私の友人(イギリス人)が急激なインフレで実践している節約術
私の節約術というと、
・余計なものは買わない
・必要以上に電気やガスを使わない
というふうに、誰でも思いつくようなことばかり(苦笑)。
私の友人は、インフレ以降節約を始めたそうです。主なものをご紹介しますね。
①“Cloths airer”(衣類乾燥機)の使用
天気が変わりやすいイギリスでは、洗濯をした後乾燥機で乾かすことが一般的でした。
けれども、光熱費の高騰により、乾燥機を回す代わりにcloths airerという乾燥機を階段付近のスペースなどに設置して乾かす人が増えています。
私の友人は、浴室の天井スペースにcloths airerを設置し、衣類を乾かしているということです。
乾燥機といっても、ハンガーみたいな道具のようですね。
②オイルヒーターの使用
イギリスの家庭では、セントラルヒーティングを使って室内を暖めるのが一般的でした。セントラルヒーティングは、主にガスを使って稼働させますが、ガス代が高騰したことにより、友人はオイルヒーターに切り替えたそうです。
さらに、夕方からは暖炉を使って室内を暖めるようになりました。暖炉には暖炉用の木または石炭を使いますが、セントラルヒーティングを使うよりもコストは抑えられるということです。
猫も幸せ(笑)。
③ディーゼル車から電気自動車へ
友人と旦那さんは1台ずつ車を持っていますが、旦那さんの車をディーゼル車から電気自動車に替えました。軽油よりも充電代の方が安く済むそうですよ。
④光熱費の支払いを夜間割に切り替え
友人が契約したのは、日中40ペンス/時間・夜間12ペンス/時間の夜間割サービス。
それまで日中に電気機器を使っていましたが、夜間に食器洗い機や洗濯機を使うようになったそうです。
あとは、
・車を使わずなるべく歩く
・安い食料品を買う
といったことを実践しているという友人。目新しいことではないものの、コツコツとした積み重ねることで、生活費削減につながっているようです。
節約によって、どの程度光熱費が抑えられたのか気になりますよね。友人によると、これまで月200ポンド(約33,000円)ほどかかっていた光熱費が、約月156ポンド(約25,740円)までに減ったそう。暖房を使う必要のない季節が来たら、さらにコストを抑えられそうですね。
おわりに
急激なインフレが始まり、1年が経とうとしています。
節約することが当たり前のような生活になりつつあり、ややオーバーな言い方になるかもしれませんが、以前よりもイギリス経済の動向に注目するようになりました。また、イギリス人がどのようにインフレーションと向き合っているかについても知ることができました。
これは、急激なインフレーションによる良い側面だと思います。
4月といえば、インフレに関わらず全てのものが一斉に値上がりする時期。
手に取る物、利用したいことのほとんどが値上がりすることが予想されています。
先行き不安ですが、これも節約術を身につける機会だと思って、生活してくのがベストかもしれませんね。
「やっとインフレが終わったー!」と、報告できる記事が書ける日がくることを祈ります!
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