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私が会社を辞めるまで後50日
1、アドバイスが呪いになる日
私はいろんな人のアドバイスと名のつくものを素直に聞いてしまう癖がある。
例えその人、個人の好みレベルであったとしても、アドバイスという名目であれば聞いてしまう。
どうしてその人がその考えに至ったのかということについても深度を下げて考えるし、アドバイスである以上、その人の好意であると思い込んでいたから。
素直に聞くこと自体は悪くはないのだが、人の好みレベルのアドバイスまで吸い上げてしまうのはまずいこともある。
先輩同士の好みの対立に結論がないからである。
どちらかの方法でやると『間違っている、ミスをしている』という認識にもなる。
いろんなひとの『正しい』をインストールしたら、その時に本当に正しいものがなんなのかわからなくなってしまった。
どのデザインに時間をかけて、なんの案件を先にやればいいのか。
そもそも何のために仕事やってるんだっけ。
『誰か』に怒られたくないから?
経験とともに研ぎ澄まされていくはずのカンは、他人の判断と評価に乗っかった私には身につかなかった。
『いろいろ考えて、時間がかかってしまうのなら目先のことを考えたらどう?』
という先輩の言葉は自分にとって、とても残酷だった。
それができたら、とうにやっていたし、
それをするにはこの会社でいろんな人を好きになりすぎた。
2、優先順位をつけた時に起きたこと
流石に優先順位的に手一杯になり、初めて仕事を断った。
どうして受けてもらえないのか、こちらの評価がかかっているのに!と、仲の良かった先輩に逆上された。
今まで自分の評価なんて度外視でその人に尽くしてきたのに、それは相手にとって『あたりまえ』になってしまっていた。
そうさせたのは、他でもない自分だった。
言われたことを思い出しながら、私の仕事の一つである写真のデータの整理をしていたら、キーボードにいつもの水が落ちた。
ちょっと撮影に行ってきます、と。
自分が得意だと思っていたことに力を使えていたときの、あの、満たされている感じを思い出したから。
自分で考えたコレ!というのを仕事にしていたあのとき。
誰のためでもなく、自分が楽しいからやっていた思い出がこの写真たちには詰まっていた。
自転車にのって街を駆けずり回り、その写真がwebに掲載されることを思うと胸が熱くなった。
そして、
『今は写真よりもwebの世界観』
…方針が変わったのだ。
そして私はその変化についていくことができなかった。
会社の中には私の写真を良いと言ってくれる人はたくさんいるし、うちのページは写真だよねって思っている人もいる。
ただ、これは、単なる好みと偏りだということを私は知っている。
写真よりもwebデザイン、つまり動的なデザインやあしらいなどで世界観を出すというのは、うちのwebは写真だと言うのと同じくらい『単なる好みの偏り』といった流行に過ぎない。
けど私は、いままでのアドバイスを無視して、今は写真よりも世界観という『流行』にうまく乗っかることができなかった。
私は、写真もウェブを作るデザインもコーディングも大好きだ。世界観だって時間があればなんだって作れる自信がある。
けど、同時に他の人や先輩に負担をかけて多少はおしのけてでも提案をしていく覚悟もなかった。
(褒められること、言うことをきいて認められることが全てだった)
デザインよりも写真、汎用性のない難しいサイトを作らないという暗黙のルール。
みんないい具合にうまくすり抜けたり破ったりして自分だけのものをつくっていたのに気がついたのは最近のこと。
ルールを守るとかどうしてあの人は守らないんだろうとか、そんなことをぐるぐる考えている場合じゃなかった。
…
『あなたのページは、なんか突き抜けたものがないね。まわりに迷惑かけてもいいから自分の納得のいくものを作ってみなよ。』
会社を一足先に去っていった先輩のことばは、ここ一年こころにトゲのようにささって私をざわざわさせてきた。
この言葉を思い出すと胸のあたりがきゅーっと締め付けられるようで、息苦しい感覚になる。
先輩が私に言いたかったことは、人を困らせない代わりがきく人材っていうのが、組織の中でいちばん価値が低いんだってこと。
迷惑かけない人材が価値なのではないと私に気が付かせるために暗に伝えてくれてたんだと思う。
本当は、へらへら笑ってたけど、わたしにはできないことが悔しかった。
がんじがらめのルールなんて破ってしまいたかった。わがまま言ってくる人の仕事も断りたかった。
私だって、ルールなんかほったらかして、自分勝手に、やりたかった…!
ルールとかめんどくさくないですか?どうしてダメっていわれたらやらないんですかー?と鼻で笑う後輩に(どうしてこんなに人の表情で考えてることがわかってしまうんだろう)、もっと表情に出して怒りたかった。
そんな気持ちに気がつくことができたけど、4年目っていうのは遅すぎた。
新しいことや上司のアドバイスを振り切って新しいことをしていく時間も、もう取り戻す時間も、自信もなかった。
社会に出て、会社勤めをして10年。
感じ続けていた違和感と向き合う時が来たんだと思った。
組織を出て、一人で生きていく。
人の判断に乗っからずに。
人の目を気にせずに。
自分と家族のためにがんばり、自分が判断し、自分の責任をとって生きたい。
嫌われたっていい。
私のはじめての反抗期が始まった。
私が仕事を辞めるまであと50日
あなたさまのお気持ち、しっかり受けとりました!!!😚✨ 差し出がましいのですが、あなたさまのサポートを他の誰かへお願いできませんでしょうか? スキと幸せは世界を救うと信じてる。