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レジスタッフのいつもの風景

その1  酔客

レジをしてるといろんな人をみます。
服装とかはもちろんですがそんなことで?と言いたくなる方も。おもしろいので独り占めせずおすそ分けしていこうかな、と。

年齢は40代くらいの女性。夕方5時くらいだというのに結構呑んでらっしゃるのか足元が危ない。あっちへフラフラこっちへフラフラ。なかなかレジにたどり着けません。狭い店内だから数分かからないのに、なんて考えてました。

店内にお客様はその方だけ。いつもなら忙しい時間帯なのですが珍しく入ってきてません。
なので他の作業しつつなんとなくその方をみてました。

『ハイ!お願い!』
やっとたどり着くとレジ台にカゴを放りだしました。中には数点の品物。うち始めるとスッといなくなりました。どうしよう?って考えていたら戻ってきて
『後ろのおいちゃん、先に打っちゃり』
………?。私には見えないですがいます?
『もうお客様の分をしてますから』
『融通聞かんね。ごめんね、おいちゃん』
誰もいないハズ、の後ろを向いて謝る。
いるの?など考えながら打ってましたが数が少ないからすぐ終わります。

『×××円です』
金額を告げると不機嫌な表情に。
『待って』
言うとレジ周りの品物を物色し始めて。
このときから不穏な空気が漂いだし。
数分後
『なんぼ!』
再び先程の金額を告げ、モニターを指さし。
『テメエ、いくらかっち聞きよろうが』
再度同じ動作の私。
目が座ってるお客様。

『足りろ?』
言われても、ねえ。投げ出したのは10円………
『全く足りません。申し訳ないんですが』
モニターをさす。
『どこが足りてないんかい(怒)』

納得いかない感じでしたがきちんと支払いを済ませ帰るとき。ドアから出かけて立ち止まり。
数分考えて振り向く。近づく。息を吸い込む。
(あっ、罵声がくる)
予感がありました。

『あんた!名前なん?教えリ!』
名札を掲げ名前を告げる。静かに、冷静に。
そして
『お買いあげありがとうございました。またお越し下さい』
ニッコリと。
内心2度と来るなですが。
『しっかり覚えたきね。大概にしな!』
後でなんとかとか言いながら出て行きました。

イチャモンつけにくるお客様は多いですが新手のパターン、でした。



作品は観る者がいないと成立いたしません。観る者が1人でも成立いたしますが多ければそれだけ物書きという者ははりきるのです。観る者が育てるという役を選んでくれたなら物書きは安心して書くができるでしょう。