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その辺にいる魚


その辺にいる魚が好きだ。
フナとかメダカとかタナゴとか。
春から夏にかけて、
ワンコの散歩してると
水辺を覗き込む。
すると、魚が群れになって逃げていく。
かわいいのぅ。

ワテはガキ大将のように娘らを引き連れて、
ちょいちょい魚を捕まえに行った。
自分自身、子供の頃にやり忘れた遊びだった。
子供の頃、ほどよい水辺が近所になかったからだろう。
子供らを引き連れて、
近所の小川、ドブ、池は
大体制覇した。

不思議なもので、
それぞれ近隣ではあるが、
違う場所なら違う魚が生息している。
まー、理屈が分かってる人からしたら不思議はないのだろうが、
フナを捕るならココ、
メダカならココ、
タナゴならココ、
ヌマチチブならココ、
ザリガニならココ、
エビならココと、
自分たちの頭の中に、魚生息ご近所マップが形成された。

その辺にいる魚は
捕まえてきて水槽に入れてみると
そのほとんどはグレーか黒の体色である。
渋い。。。
その地味な色み、
微妙に銀掛かった輝き、
ええのぅ。
形にも余分な装飾などない。無駄がなくシンプルだ。
ええのぅ。
そして、あーだのこーだの、水槽の環境を細かく整えなくてもたくましく生きる。
ええのぅ。
子供の頃、熱帯魚なんかも飼ったことあるが、
その辺にいる魚に
熱帯魚のようなヒラヒラとか 
眩しい彩色はない。
だけれどワテは、その辺にいる魚の方が好きだ。

水族館も然り。
どこか遠い海の
色とりどりの魚のいる水族館もよいが、
その辺にいる大変地味な魚を
一生懸命真面目に展示している
淡水水族館の方が好きだ。
あぁ、よく展示してくださいましたね、と心が躍る。

その辺にいる魚、
ええのぅ。

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