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あなたもCOVID-19と戦えるのでは?

COVID-19が世界中で猛威を振るう中で、ほとんどの人が生活に不便を強いられていると思います。不安も大きく広がっています。助けを必要としている人も溢れています。

その中で、私は自分にやれることが何かないかと探していました。

今回の感染拡大では、戦いの最前線は病院であって、最も壮絶な戦いの場にいるのは医療者でした。かつては私も脳神経外科医として、病院で働く身でしたが、現在はがん研究者として米国で働いていて、残念ながら医師として患者を直接的にみる立場にはありません。その中で、私に行えることがないかと、模索していました。

その時に思いついたのが翻訳でした。

私が英文で書かれたがん患者向けの情報を日本語訳すれば、日本で困っているがん患者、がん医療者を助けられるのではと思いつきました。

COVID-19は欧州と米国で猛威を振るっています。そのため、日本よりも深刻な状況に置かれた欧米からの英語の医療情報が多いという現状があります。また、日本は政府機関・学会の一般向けの情報発信をする担当者が少ないことから、一般向けの医療情報がリアルタイムに十分提供されていないという問題がありました。

がん患者さんは情報の少なさに不安を覚えていると感じました。もし、海外の文章を翻訳すれば、その情報に助かる患者さんがいるのではと思いました。


同じ意思を持つみんなで集まる

私はすぐに行動に移すことにしました。まず最初に、英国のNHSが出す臨床のガイドラインを、自分だけで訳してみました。

ただ、行ってみてわかったのは、かなりの時間を取られて、普段の業務の中で行うのは、相当に大変だということでした。

そこで、私は仲間を探すことにしました。一緒に医療情報を翻訳してくれる人はいないかと、SNSで呼びかけてみました。本当に集まるかは半信半疑でした。

そうすると、わずか1日で10人以上の方からご連絡をいただきました。これは嬉しかったです。

医師・薬剤師・研究者・がん患者さんなどの、様々なバックグラウンドを持つ7名で構成されたチームはあっという間に完成しました。

実は、第一線で患者を見ている医師からも多数の連絡をいただきました。ただ、医療が逼迫している中で、実際の現場で忙しくしている医師をさらに忙しくするわけにはいかないという思いもありましたので、医師からのお誘いは基本的にお断りさせてもらいました。唯一、海外がん医療情報リファレンスで日本語訳の監修をされた経験をお持ちの、HITO病院乳腺外科の小坂泰二郎先生にのみご参加いただきました。お忙しい中、お手伝いいただき恐縮でした。

もちろん、集まった人の誰一人としてお互いの面識はありませんでした。住んでいるところも、日本やアメリカと大きく離れています。でも、「この大変な時だから、誰かのために何かをしたい」という思いは一緒でした。

そんなメンバーをすぐに集めてくれる。これがSNSのすごいところだなと改めて思いました。

私はこのチームの名前を「翻訳でCOVID-19と戦う集団」としました。翻訳でもこの病気と戦えると思ったから、この名前を付けました。


急ピッチで進める翻訳作業

そんな我々ですが、急ピッチで仕事をしています。困っている患者さんもいっぱいいますので、時間勝負だと思ったので、短期間でどんどん情報提供をしています。

この1週間半ほどで3本の記事の翻訳を終了して、2−3日に一本のペースで記事を追加しています。これまでに、日本語訳した記事を以下に載せておきます。


この翻訳作業には、海外のがん医療情報を翻訳して提供する業務を、普段から行なっている団体である海外がん医療情報リファレンスの、野中さんをはじめとした様々な方々のご助言もいただきました。その点に関しても、この場で感謝させてもらいます。

ぜひ、がん患者さんやサバイバーの方に、我々の日本語訳した情報をご活用いただけると嬉しいです。


きっとあなたにもできることがあるはず

今回、私たちのちっぽけな活動を報告させてもらいました。本当にちっぽけなもので、もっとたくさんの文章を訳されている方もきっといると思います。私達が偉そうに言えるものではありません。

ただ、この記事をわざわざ書いて、我々の活動をご紹介させてもらったのは、伝えたいメッセージがあったからです。

それは、

「きっとあなたにもできることがある」

ということ。

COVID-19騒ぎの中で、困っている人はたくさんいて、その人たちの助けになることを、あなた方もできるかもしれないです。

たしかに、COVID-19の戦いの最前線は病院です。しかし、医療以外でできることもいっぱいあります。翻訳は全く関係なさそうで、これでだって戦うことはできる。

きっとあなたの周りにも何かできることがあって、それでCOVID-19と戦えるのではと思います。ぜひ、探してみて欲しいなと思います。

自分が得意とする専門分野の情報を提供すること、不安な思いを持つ家族・友人に電話して話し相手になること、高齢者や持病を抱える人の代わりに買い物に行ってあげること、自宅待機している子供に勉強をオンラインで教えること、色々と考えられると思います。

スーパーヒーローではないですが、小さなことでも十分だと思います。誰かの助けになれば素晴らしいです。この厳しい状況を変えるための、一つのパワーになると思います。

元の世界と変わってしまった世の中を見て、「元に戻せ」「お前らのせいだ」と非難ばかりしている人も多い。それも必要かもしれない。でも、私個人としては、何だかさみしいなという気がします。

求められているのは、ポジティブに社会を変える力だと思います。アクションを起こすパワーだと思います。

直接的には人に接触はできないですが、SNSを介して、オンラインのZoomで、人と人とは今まで以上に簡単に繋がれます。あなたの身の周りにも社会貢献のタネが転がっているし、どこかに同じ思いの仲間がいるのではと思います。

あなたも一歩踏み出しませんか。

何かの行動のきっかけになればと、私たちの小さな活動を、恥ずかしながらご紹介させてもらいました。読んでくださったあなたに、何かの気づきを与えられて、何かの行動に繋がるようだったら良いなと思っています。この難局をみんなの力で乗り切れればと思っています。

もし、よろしければサポートをお願いいたします!いただいたサポートはがん情報発信の強化のために利用させてもらいます。