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スキーガイド実践マニュアル! 雪崩対策編

この記事は登山とスキー好きな貴方がスキー
ガイドを目指すために必要な知識を学ぶスト
ーリーです。一般愛好家にも役立ちます。
私の信念はガイドを増やすことで地球環境の
保全を実現する事です



「スキーガイド実践マニュアル!雪崩対策編」



<目次>
1現状の課題
2スキーガイドの職能と雪崩リスク
3雪崩の基礎知識
4多面的リスクアセスメントの必要性



1現状の課題
スキーガイドやバックカントリースキーガイ
ドを実行する際、現状の課題としてはまずは
雪崩の予測はかなり難しい
「雪崩は予測できない」という事です

毎年、雪崩事故は起きており、その事故のケ
ースや状況も年々多様化・複雑化しています
特に気象的にも気温差が激しく、その傾向は
さらに拡大すると予想されています

一方でガイドの資格所得検定や養成指導で伝
達されるのは
 「雪崩のメカニズムや分類」
「雪の知識や結晶の知識」
「弱層テストのための方法」
 「雪崩捜索や救助方法」などです
要するに雪崩の知識や観察方法、救助方法は
理解できるが
「雪崩の起きる可能性やそれに伴う決断の基準」
が難しい(分からない)という事です


要するにピットを掘って、弱層を見つけ出し、
コンプレッションテストで試したり、雪の結
晶を観察したところで、
下記の内容の疑問が残るということです

<ガイドの不安>
・「今日の雪質は安全なのか?」
・「今日は雪崩が起きやすいのか?」 
・「ツアーを実行してもよさそうか?」
・「どのような状況でツアーを中止しなけれ
 ばいけないのか?」
・「ツアー中止を決断した際、参加者に示す
 内容はどのような事か?」


職業的なガイドとしては雪崩事故が発生した段
階で判断ミスとみなされ、責任が発生します

雪崩の捜索や救助としてはあくまでも
「対処法」です
ガイドとしては必ずやらなくてはいけない
任務となります

最も重要なことは、実は対処的な技術ではなく
「予防な技術」となります




2スキーガイドの職能と雪崩リスク

最初に理解することは、まずはスキーガイド
の職能です
スキーガイド(1)の職能としては
・森林限界を超えないエリアであること、
・宿泊を伴わないこと      
などがあります。
大まかなイメージとしては、スキー場に隣接
したルートであり、スキー場のリフトやゴン
ドラ又は、圧雪車を利用しバックカントリー
スキーを楽しむイメージです


そもそもそのような内容では雪崩リスクが低
いため、雪崩事故は非常に少ないのが現状で

「スキーガイド1の職能範囲ではそんなに心
配するほどの場所では滑らない」という事
です


現実的には雪崩リスクが高い場所では仕事し
てはいない事になります

一方、スキーガイド2の場合は森林限界を超
えるため雪崩リスクが高く、かなり危険度が
高いです
職業的にもリスクが高い仕事内容になります
要するにスキーガイド2の領域に踏み込まな
い事が重要です

スキーガイド1の職能範囲においては雪崩リ
スクは低いが0ではありません
雪崩リスクは低いが雪崩が発生する可能性も
あるという中で仕事をしています
決断の基準を検討する際の大前提として、
まずは「雪崩を予測するのは難しい」という
事を理解し、その中で決断するようにしまし
ょう

重要なのは「悩んだらやめる」という行動
基準を持つということです

そもそも、雪崩リスクが少ない状況ではツア
ー実行の決断では悩みません。
又、明らかに雪崩リスクが高い場合は素直に
中止の決断をします
その中間の際、ガイドは「悩んでしまいます」
「悩んで中でツアーを実行するガイド」と
「悩んだ中でツアーの中止を決断するガイド」
この二つの差が大きのです


そこで結論としては「悩んだらやめる」とい
う決断をするということになります
その悩みを少しで解決・分析するための知識
や行動を習得しておく事が必要です




3雪崩の基礎知識
 
雪崩とは
「いったん降り積もった雪が重力の作用で低
 い場所へ移動する自然現象である」

<知識・特徴>
・結合力の弱い場所や雪の状態で発生しやすい
・乾燥雪・湿雪どちらでも発生する
・雪崩発生のきっかけはその斜面における雪の
 重さに耐えられる限界点を超えた場合に崩れ
 る自然発生型と何らかの誘発(人や動物、
 車両、爆発や騒音、振動、雪庇の崩落)から
 発生する二つに分類される。
・雪崩には全層雪崩(雪の層全部が崩れる)と
 表層(上部の層だけが崩れる)とに分かれる

「なぜ、雪崩が発生するのか?」
・スラブ自体の上への積載荷重が上昇すると
 雪崩が発生する(その場所へ亀裂が入る)
・弱層がありその上への積載荷重が上昇する
 と雪崩が発生する(弱層が破壊される)
・雪崩が発生しやすい弱層は多くの場合、厚
 みが1cm以下のことが多い


<地形の知識>
(傾斜)
・大まかに45°を超える斜面ではすでに雪
 崩ている
  (滑ることはほぼ不可能である)
 ・30°〜45°の斜面 雪崩が起こりやすい
  (滑ることはかなり困難である)
・25°〜30°の斜面 条件により雪崩が発生
 する(上級者にとっては適度な斜面) 
・15°〜25°の斜面 条件により稀に雪崩が
 発生する(湿雪の表層雪崩が多い)

 ※国内の東日本(日本海側の降雪エリア)の
 ほとんどは雪崩により地形が形成されている
 (アバランチシュート)
 このアバランチシュートでは毎年確実に雪崩
 が繰り返される  


(森林内)
・一般的に森林内では雪崩が発生が低い樹木
 が「クサビ」の役目をしているため
・森林内において発生した雪崩は地表も含む
 全層雪崩となりやすく、崩落となるケース
 が多い


(雪質・結晶)
・雪は温度の変化に伴い、溶けたり固まった
 りする
・雪はお互いくっ付き合ッタリ、ひっぱたり
 を繰り返している
・雪の層は積雪の下部の方が上部からの重さ
 により圧縮される(丈夫に固まる)
・大まかに雪の結晶が小さいほど弱層となる
・春雪であるザラメ雪においても弱層となり
 やすい(結合が弱い)
・雪温が0℃を超えた場合、お互いに溶け始
 めるため弱層となりやすい


(用語解説)
・スラブ(板状の性格を持った雪の層)
・弱層(積雪内において、隣接する層よりも
 相対的に弱い層の事) 
・ウィークインターフェイス(隣接する層同
 の結合が悪い状態) 


「雪崩が起きない条件とは何か?」
・斜度20°以下の斜面
・樹林内
・スキー場のゲレンデ
(クローズされていない斜面)

<国土交通省データより>
雪崩死者数の推移は図 1-3 のとおりで、平成
3 年(1991 年)~平成 27 年(2015 年)の
間における雪崩発生件数は 135 件、死者数
221 件となっており、年平均で雪崩発生件数は
5 件、死者数は 9 人となっている
暖冬のシーズンは死者が少なく、豪雪のシー
ズンは里での事故(道路や住居)が増える
傾向がある
また、死者数が多いシーズンは、複数人が亡く
なる大きな事故が複数発生していることが報告
されている。
図の棒グラフの色分けは活動種別(レクリエー
ション/産 業/その他)を示しており、多くの
年でレクリエーション中の雪崩死者数が多い
http://www.soumu.go.jp/main_content/000477152.pdf

雪崩ネットワーク(雪崩情報)サイト

https://www.nadare.jp/avalanche-info/alert/https://www.nadare.jp/avalanche-info/alert/




4多面的リスクアセスメントの必要性

多面的リスクアセスメントとは、できるだけ
あらゆる視点や情報からリスクを検討すると
いう事です
前項で記載したように近年では想定外のケー
スやメカニズムで雪崩が発生しているため、
できるだけ多面的にリスクを認識・検討する
事が必要となり、有利となります

「できるだけリスクを多面的に洗い出し他方
が決断の基準を設けやすい」
「判断しやすい」
ということになります。

・ルートや地形の分析と決断
・過去のデータからの分析と決断
・当日の気象条件からの分析と決断
・当日の雪質や積雪状況からの分析と決断
・周囲の観察からの分析と決断
・雪崩誘発テストからの分析と決断
・積雪断面観察(ピット堀り)と決断
・弱層テスト(コンプレッションテスト)か
    らの分析と決断
・その他の要因からの分析と決断
・簡易弱層テストの分析と決断

(国内の事情)
国内におけるガイド業界における形態として
は、現地在住でそこを訪れる参加者を顧客と
する現地ガイドと都市部在住でそこからガイ
ドエリアへ顧客を連れていき案内する
(旅行会社が集客するを含む)都市型ガイド
の二つに分かれます
多面的リスクアセスメントを実行する際は、
もちろん現地ガイドの方が情報量の多さから、
有利です

現地に住んでいるためルートや地形を知り尽
くし、過去の雪崩の情報を持っています
何よりも数日前や数週間前の積雪記録や気象
記録を把握しています。
雪崩リスクが高いエリアにおいては現地ガイ
ド以外は、かなり注意が必要です。

都市型ガイドで活動する際は、できるだけ多
くの情報を効率的に集める努力が必要となり
ます

ガイド仲間(ネットワーク)や現地ガイドと
コンタクトを取りうまくコミュニケーション
する必要があります


  


           E N D
    ・・Just Do It・・



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