井上尚弥vsノニト・ドネア~ドラマ・イン・サイタマ2の展開~
ドネアには決めパンチと決めパターンがあり、ボディを除き、すべてのKOはこのパターンによる。
決めパンチはご存知、右ストレートと左フック。決めパターンは、前回のドラマ・イン・サイタマで、井上尚弥にフックを当て、鼻骨及び眼下底骨折に追い込んだ体験を通して、または、12ラウンドに渡る激闘を身体に染みこませた中で、次の闘いでの、井上尚弥攻略のパターンとKOパターンがハッキリと見えたのだと思う。以来、そのイメージは彼のメディアコメントにもよく、現れている。
「ハント(狩り)に行くだけだよ。モンスターを狩るには罠をしかけて仕留めるんだ」「今回イノウエが対処できないもの? 全てだ。私の才能、スピード、パワー、そして、何よりも今回投入することになる戦術だ。勝利に向けた最大の財産になるだろう」
さて、どのようなパターンか。
それは、ロープ際に追い込み、身体を放し際のアッパーに近い角度からの左フックだ。
初戦では2ランウンドにこのパターンで井上の鼻骨と眼下底を粉砕し深いカット傷を与えている。以後、リング中央でドネアは、再び同じパターンを試みたが、井上はありえない反射神経で、しかも片目で、綺麗にハメた左フックを回避している。従ってドネアは、身体で押し込み、よりパンチの軌道が見えにくいロープ際での罠のイメージが出来て、それを研磨しながら練ることとなった。
井上がウバーリのようにKO負けを免れた理由は、寸でのずらしにより顎での被弾を免れたことにある。次戦ドネアはそうさせないために、身体の密着をより低くし、パンチの軌道を下げ、顎が回避する方向にパンチを繰り出すこととなる。
井上尚弥にとってドラマ・イン・サイタマ2における鬼門は、早い回のロープ際。従って背負わされる前に左に脱出する。間違っても前へ出て押し戻そうとしない。そのために、ガードを固めたプレスにも決して後ろに下がらず回る。リングの中央でパンチ交換をする。そうすれば、試合の結果はドネアのイメージと真逆になる。
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