だが、情熱はある 【第9話・どんな明日が見えますか?】
若林と山里、『たりないふたり』の物語
『たりないふたり』の半生を描いたドラマ
だが、情熱はある
の第9話です。
『たりないふたり』というのはオードリーの若林正恭と南海キャンディーズの山里亮太によるユニットの名前です。
ともにネガティブな性格で暗い青春時代を過ごし、売れてテレビに出るようになってからも相方の方が人気がある、いわゆる
じゃないほう芸人
としてコンプレックスを抱えていたふたり。
何か面白い化学反応が起きるかもしれないと直観した日本テレビのディレクター安島隆氏が二人を引き合わせます(ドラマの中では薬師丸ひろ子さん演じる『島貴子』という女性として描かれています)。
第9話のあらすじはこちらの記事で紹介されています。
本題とは逸れますが、このドラマは同じシーンでも複数のバージョンを撮影しているみたいですね。予告にしか使われないシーンがあったり、全く同じシーンでも予告と本番で少し違う場合があるんです。スタッフにも情熱があるから、いろいろ試しているということでしょうね。だから、予告の動画も繰り返し見てしまいます。
若林の発明『ズレ漫才』と『春日』
『ズレ漫才』を閃く若林
春日の住む、『むつみ荘201号室』にお客さんを呼んで開催する小声トークの動画を分析する若林は、春日が上手いとは言えないツッコミに対して若林がツッコんだ瞬間に大きな笑いが起きていることに気が付きます。そして、ついに若林は閃きます。
そうだ!これを、オードリーの漫才の形にすればいいんだ!!
普通のことを話す若林に対して春日がズレたツッコミをする、そのツッコミに対して若林がツッコむ。これが後に『ズレ漫才』と呼ばれるフォーマットです。この漫才でずっと売れなかったオードリーは成功への道を進み始めます。
『春日』を創る若林
岡本太郎の言葉
『同じことをくりかえすくらいなら、死んでしまえ』
に触発された若林は、『春日』というキャラを作りこみます。
ピンクベスト
7・3分け・テクノカット
ゆっくり登場する
アメフト部の掛け声だった『トゥース』を春日専用の持ちネタにする
今、誰もが知っている春日を創ったのは2005年から2006年あたりのことです。
ズレ漫才と春日のキャラ。この2つの武器でオードリーは戦い抜き、文字通り天下を取ることになるのです。
2つの別れ
2008年のM-1グランプリ敗者復活では、オードリーと南海キャンディーズが同じブロックで戦いました。この『運命の日』に至るまでに、ドラマのなかでは若林、山里ともに不遇の時代を支えてくれた大切な女性とのお別れを経験します。東京に進出するか悩む山里亮太は花鈴ちゃんから、
私、イタリアにお菓子の勉強をしに行きます。
と別れを告げられます。東京に行くかどうか悩む山里の為にあえて嘘をついているようにもとれるような、含みを持たせた演出でした。顔見知りの警官役の柳沢慎吾さんは、山里に対して
いい夢見ろよ!あばよ!
持ちネタ 笑 を披露する場面がありました。多分、柳沢慎吾さんは今回が最後の主演なんでしょうね。
若林の方も、支えてくれた『好きな人』智子さんとの関係がギクシャクしてしまい、2008年のM-1グランプリ敗者復活の日まで長いこと会っていない期間があったような演出でした。
谷ショー(まえけん)の分析
周りからの冷ややかな目に惑わされずにズレ漫才を続けたオードリー。徐々に頭角を現し、2008年のM-1で準決勝に進出します。決勝を控えた若林は先輩芸人である谷ショー(前田健さんがモデル)に疑問をぶつけます。
自分たちはずっと同じスタイルで2年ほどやっているのに、なぜ今になって急に評価され始めたんだろう?
谷ショーさん(前田健さん)は少し考えた後、言います。
ネタが人になじむ
ということについて。つまり、年齢や見た目、声の出し方、表情など、言葉では説明できないほどの微小な差によってネタは面白くなったり、スベったりすると。オードリーのネタが2人になじんできたからこそ、世間から評価されるようになってきたのではないか、と言う分析です。
これはとても示唆に富んだ見方だと思います。会社員など一般の仕事でも同じことが言えるかもしれませんね。
同じことを発言しても、その人の人生経験によって言葉の重みが全然違うということを私たちは普段よく見聞きしているのではないでしょうか。
もう一人の『恩人』、渡辺正行さん
前回、第8回では放送作家の藤井青銅さんが若林のラジオパーソナリティとしての才能をいち早く見抜いた場面がありましたが、今回はオードリーにとってのもう一人の『恩人』、渡辺正行さん(通称:リーダー)の有名な話が描かれていました。
若手発掘のためのオーディションでズレ漫才を披露したオードリーは、渡辺から
これはM-1の決勝を狙えるネタだ。一緒に頑張ろう。
と激励されます。渡辺は若手芸人に対して厳しいことで有名で、つまらなければネタの途中で止められてしまうこともあったほどです。そんな渡辺から褒められた若林は、帰り道、嬉しくて泣きながらバイクで帰ったそうです。
伝説の2008年M-1グランプリ
そして、ついに迎えた2008年のM-1グランプリ敗者復活戦。この時代は東京の品川区にある大井競馬場で敗者復活戦が行われていました。
同じブロックで戦った南海キャンディーズとオードリー。
ドラマでは4分間の漫才をフルでやっていました。
高橋海人さんと戸塚純貴さん、凄すぎます。
そして、運命の結果発表。
4431番、オードリー!
会場が熱気に包まれ、オードリーコールの中、タクシーで六本木のテレビ朝日まで向かいます。ドラマの中ではここでずっと会っていなかったと思われる若林の好きな人、智子さんが遠くからタクシーの中の若林に向かって
面白かったです
と口の形で伝えます。実際、ドラマの中でも智子さんの音声はなく、口の形だけで伝える手法を取っていました。今回、一番エモいシーンだと思いますので、是非ご覧ください。
スタジオに到着したオードリーは敗者復活戦と同じネタを披露して、何と1位で最終決戦に進みます。
最終的に2位になりましたが、オードリーが世間に与えたインパクトは強烈で、翌年2009年はオードリーブームが巻き起こりました。
2008年のM-1グランプリ決勝は2人にとって人生が一変した
運命の1日
だったのです。
来週はいよいよ、たりないふたりが結成され、Creepy Nuts(クリー・ピーナッツ)も登場します。楽しみですね。
『だが』は東京ドームライブへの振りなのか?
オードリーは来年2024年2月18日(日)に
東京ドームライブ
を行います。
5月5日からはHMVでも配布が開始された告知用ステッカーは即日なくなるほどの人気でした。
私は5月5日の夕方あたりに新宿でもらおうかな、と思っていたのですが、時すでに遅し。東京ドームのように何日か配り続けてくれるものかと思ったのですが、見通しが甘かったですね 笑
そして、6月3日からはTシャツやヘアバンドなどグッズの販売が始まりました!今度こそは無事、購入できました! 嬉
オードリーのオールナイトニッポンを聴くと、『だが・・』の話題が出てくるので、とても面白いですよ。
来週も感想を書こうと思います。