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アメリカ赴任になったときにしたこと

アメリカでジョイントベンチャーを立ち上げるために渡米したため、手探りでいろいろなセットアップを行いました。まとまった情報があったら便利かもしれないので備忘録的に残しておきます。

前提

日本よりも移民にオープンなアメリカは、基本的に移民向けの資料を政府がわかりやすく公開しています。下手に駐在員のこういう資料を見に行くより、政府公開資料をちゃんと読みましょう。じゃあなんでこれ書いているんだということですが(笑)。政府資料も可能な限りリンクしておきます。

また、僕はニューヨークに行っていたので、その州の事情が色濃く反映されています。他の州の事情は知らないのでご注意ください。州をまたぐと法律が変わるので、基本的に他の国にいくようなものです。

自分と配偶者のビザの取得

僕は国外に出るつもりが全然なかったので知識ゼロだったのですが、ほとんどすべての国では、外国人が労働するためには特別な権利を取得する必要があります。一般的には「ビザ」と呼びます。アメリカの場合は旅行者ビザすら有償取得が必要です。

旅行者ビザでは労働は認められないため、労働をする人は労働者ビザを取得する必要があります。

1. 移民弁護士等に相談してビザ申請書類を作成する。

ビザ申請書類はかなりの量になるため、社会人であれば移民弁護士等専門家にお金を払ってお願いするのが吉です。会社が払ってくれることもあります。大概の人は「Lビザ」という駐在員用のビザをとることになるかと思いますが、これは1年以上日本の企業に勤務している必要があります。他には特殊技能(博士号レベル)を必要とする「Oビザ」、抽選の「Hビザ」、投資家用の「Eビザ」等があります。それぞれ滞在可能期間や更新可能回数が異なります。

ちなみにかなりの書類を用意する必要があるので、入念に準備しましょう。抜け漏れがあると困るので、書類リストは書きません。政府のサイトや弁護士さんが用意してくれたチェックリストを利用しましょう。

アメリカの場合、申請書にDS-160、I-797、I-129Sといった名前がついています。これを覚えると便利です。

意外?なところでは、学位証明書や成績表の提示が必要な場合があります。東京大学の場合は英語でも即時発行できますが、他大学は大学に問い合わせて早めに行動しましょう。

2. 大使館で面接する。

面接と言っても個室で話すわけではなく、映画館の切符を払う場所みたいなところでいくつか質問を受けて答えるだけです。申請書類に嘘がないかチェックされているので、場当たり問答はやめたほうが良いでしょう。申請書類に目を通す程度の準備をすれば楽勝ですが、落とされると旅行者ビザもとれなくなる(ハワイすら一生いけない)場合すらあるので、なめてかからないことです。

大使館には携帯電話などは持ち込めません。最低限の荷物で行く必要があり、リュックサックなど大きなものは持ち込めません。ここらへんは公式ビデオを見ておきましょう。

昨今の状況だとどうだかわかりませんが、2017年時点では予約すらなかなかとれず、いそいでいたので東京から大阪まで新幹線で行ってVISA取得しました。日帰りだったので荷物を小さくするのが大変だった・・・w 駅のコインロッカーに預けました。

3. ビザが日本に郵送されるので、規定の期間内に渡米する。

ビザは発行後すぐに渡米することが原則のため、あまりウカウカしていられません。ただ、逆に勢い勇んで賃貸解約をしてしまうと、国際郵便が遅くて意外と待たされることもあるので、ビザが来るまでは家を解約しない方が良いです。(僕は解約が早すぎたため、しばらくホテル暮らしをしました。)

ちなみにですが、ビザを更新するときも一旦アメリカを出る必要があるので、そのタイミングで帰国することになります。余裕のある人はカナダ観光をしながらビザ更新したりするらしいです。

配偶者の就労権(EAD)の取得

ビザの種類によって配偶者が働けるかどうかが決まります。例えば先ほどでた「Lビザ」の配偶者ビザ(L2と言います)は働けますが、そのためには別途申請が必要です。就労権のことをEADと呼びます。Work Permitと呼ぶこともあります。(EAD = Employment Authorization Document)

何をすべきかの確認は、やはりGovernmentのサイトを見に行きましょう。ちなみに「結婚証明書」というのがくせ者で、日本にはないものです。これを取得するには「戸籍謄本」を米国の日本大使館に持って行って、婚姻証明書を有償発行してもらう必要があります。戸籍謄本を携えて渡米しましょう。

家探し

「アメリカに行ったら、アメリカ人の友だちをたくさん作るんだ!日本語はなるべく話さない!」という気持ち、よくわかります。立派だし、その心がけは大切です。

でも、家は別です。めちゃくちゃ住みやすい家に住むか、ストレスだらけの家で我慢するかは、米国生活そのものの善し悪しに大きく影響します。

悪いことは言いません。日本の不動産エージェントに探してもらいましょう。日本語をしゃべるから手数料が高いか、というと、現地料金と一緒です。そして、日本人エージェントはすごくよく働いてくれるし、日本人が知らない現地事情を教えてくれます。水圧が弱いとか、電気が高いとか、治安が良くないとか、スーパーが高いとか、冬寒いとか。電気料金が地域によって変わるなんて、普通思わないでしょう?

僕がお世話になったのはニューヨークエイブルです。

ちなみに、実は僕も最初は現地エージェントにお願いしたのですが、散々な目に遭ったのです。まず、全然働かないし、急いで決めないといけないのに紹介してくれる数が少なすぎるし、時間通りに来ない。わからないことは聞けば教えてくれるけど、知らないことを聞くのが難しいので、何の役にも立ちませんでした(怒り気味)。海外で家が決まらない期間は本当に不安なので、日系エージェントにお願いしましょう。

契約周りでも、途中解約条項とかいれるのは交渉が必要な場合があるので、信頼できるエージェントは使った方が良いです。ここでケチるとろくなことになりません。

住む場所は、お子さんがいる場合は学校の近くにした方が良いでしょう。スクールバスで通うことになる(か、毎回送り迎えする)ので、便が良いところが良いです。

お子さんがいない場合は職場の近くが良いですが、電車が縦横に走っていますので、電車一本でいける場所なら意外と通勤は不便ではないです。僕は Queens の Long Island City に住んでいましたが、閑静できれいな住宅地でとても気に入っていました。職場へも一本でした。

社会保障番号(SSN)

家が決まったら次は社会保障番号を取得しに行きます。これがないと銀行口座が開けません。銀行口座がないのに賃貸料金どうするの?ということですが、僕の場合はクレジットカード払いできました。賃貸料金は手渡し(チェック)の場合も多いので、そういう場合は知人に借りるか大量に換金しておくしかないです。

さて、SSNは専用のカウンターに行って発行してもらいます。数週間で発行されます。SSNの発行に手こずることはないので気楽にいけば良いです。混むとか混まないとか言いますが・・・まあ、予測不可能です。僕は日中にめちゃくちゃ待たされたし、知人は土日に一瞬で終わってました。

ニューヨークの場合はここに行きます・・・と書こうと思ったんですが2017年から変わっているみたいなので政府のサイトへGO。昨今の状況でオンライン発行になったのかもしれません。Social Security Officeならどこでも良いわけではなく、発行できる場所は限られているのでよく調べてから行きましょう。

ちなみに、SSNは郵送先があればどこでも良いので、友人の家にしたり、オフィスにしたりする人もいます。僕の知人はこれでSSNを紛失していたので(大きいオフィスビルでどこかに行ってしまった)心情的におすすめしませんが、そういう手段もあります。

銀行口座開設

基本的にATMが一番たくさんあるところにすれば良いでしょう。NYで2017年付近だったら Chase Bank でした。西海岸だと違うのかもしれません。

実はHSBCも使っていたのですが、本当にサービスもひどいしアプリも使いにくいし良いことがなかったので、Chaseを激推しします。海外のネットサービスはマジで助かります。テレフォンオペレーターは英語非ネイティブがやっている場合が多くて、何を言っているのがさっぱりわからないので、ものすごいストレスになります。ネットで完結するに越したことはないです。

口座開設はアメリカ人ならネットでできますが、移民でしかも渡米間もない人はネットでは普通できないので、支店に行きましょう。予約を取った方が良いです。必要書類も銀行によってちょっと違うので、確認しておきましょう。

日本で口座開設するのに予約を取るなんてまずしないでしょう。でもアメリカで移民ならするのです。気をつけてください。

配偶者がいて、配偶者の税金もまとめて申請する場合(普通そうすると思います)、連名アカウント Jonit account にしておくことをおすすめします。この場合、配偶者の書類も必要になるので注意してください。

連名アカウントにしておかないと、年末調整で返ってきた税金が連名で記載されていると、デポジットできません。これで僕は銀行口座を2個持つ羽目になりました。別に2個持てば良いだけの話ではあるのですが。

クレジットカードの作成

クレジットスコアというお金にまつわる信用度がアメリカでは数値化されます。この数値をためないと、水道ガス電気のパイプラインやネット回線の契約などで、いちいち deposit (保証金)をかなり払う必要があります。普通返ってきますが。

このスコアをためる一番簡単な方法がクレジットカードを利用することです。ちゃんと使ってちゃんと返済すれば、スコアは勝手に上がっていきます。特に気にしなくても Excellent と呼ばれるスコアまで上がるはずです。

が、このクレジットスコアがないと米国クレジットカードが作れません(笑)。そこで、大抵の日本人は ANA Card USA というカードをまず作成します。JALもあります。これは日本人として審査してくれるので審査が通りやすく、使い続けるとクレジットスコアがちゃんと上がります。

僕はそのあとAMEXを使うようになりましたが、マイルがたまるのでそのまま ANA Card USA を使っても良いでしょう。僕はアプリの出来具合が気になってしまうので解約してしまいました。

米国の雑感

・人が明るい、前を向いて生き生き歩いている

とにかく明るいです。良い靴とか履いているとよく褒めてくれます。ありがとう!と返すと、その日一日良い気分です。そんな街です。

・ワインが安い

ワインがとっても安くておいしいです。ウィスキーとかは意外と高かった。

・結構きれい

ニューヨークは結構きれいで、良い意味で驚きました。

・トイレがあんまりない

どこにトイレがあるかすぐ頭に入るぐらいトイレがないです(笑)。

・事務仕事が壊滅的

後から電話します、とかは信用しちゃだめです。自分から電話すること。いろいろ間違いがあって当たり前、病院で手違いで3時間待たされるとかも普通にあります。余裕、大事。

・経済成長とはこういうことか、と実感する

物価上昇に合わせて給与が勝手に上がります。お金を出せば良いサービスが得られる、ケチればひどいサービスになる、という当たり前の世界があります。賃貸料金も年々上がります。

Enjoy your USA life!

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