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引きこもりが全員生活保護になるとGDPが増える?

GDPとは市場での取引量である

ここ数十年、日本のGDPの伸びは他の先進国に比べて劣っていると言えるでしょう。ただ、GDPが大きいからと言ってその国が良くなっているのかというとそれは違うと思います。

なぜならGDPとは簡単にいうと市場における取引の量だからです。市場で物を売り買いされた量が多ければGDPも大きくなるという理解で大丈夫です。

日本の場合は家事を外注している家庭が少なく、専業主婦も比較的多い国ですから、市場での取引(ここでは家事を外注すること)が少ないのでGDPも少なく換算されやすいのです。

日本に比べて欧米などは家事をヘルパーに外注していたり、赤ちゃんの世話をベビーシッターに外注していたりして、市場での取引量が大きくなりやすいと言えます。

なのでそうした欧米の国でGDPが大きくなりやすいのは当然と言えます。

引きこもりが全員生活保護になればGDPは増える

つまり日本においてGDPを増やすには日常のありとあらゆるものをサービス化し、市場の取引を増やせば良いことになります。

日本において一番簡単なGDPの増やし方は「引きこもりを全員生活保護にする」ことです。

今の日本は引きこもりが多く、その人が必要とする家事は家族が行っているので、それらは市場での取引に乗ってこないことになります。

引きこもりを生活保護によって自立させ、家事を訪問看護の人に任せれば、それは市場での取引に乗ってくるのでGDPの向上に貢献することになります。

GDPを増やすことは正解なのか

ただ、何でもかんでもGDPを増やせば良いのかと言われると微妙なところです。

さっき言ったように、引きこもりを全員自立させればGDPは増えますが、それを望んでいる引きこもりの数は少ないと思います。

また、行動の全てを市場での取引に変換すればGDPは増えることになるのですが、それは大きな社会的コストを払うことにもなります。

例えば一人暮らしをしてる人が自分の部屋を自分で掃除する分には税金もかからないし、労務や法務も必要ありません。

しかし、ひとたび掃除を家事使用人を雇ってやらせれば貨幣による取引が生じて、もちろん税金などを払う必要も生じてくるし、きちんと労働法が守られているかをチェックする必要も生じます。

それらのコストは全て社会に降りかかってきます。そのコストは社会から豊かさや治安の安全性などを奪っていきます。

またさっきの引きこもりの例で言えば、引きこもりはニートを家族で支えている構造なので社会におけるコストというのはとても小さいのです。

ニートを無理に自立させることによって、GDPという数値は増えるのかもしれないですが、一人暮らしをしてありとあらゆるサービスを使うのですから社会のコストを大きく消費することになります。

なのでまとめると、GDPを増やそうとすると社会が背負うコストが大きくなり豊かさが失われ、一方でGDPという数値を気にしなければ社会のコストは小さくなり豊かさが保たれるのです。

現在の日本は経済成長を犠牲にして社会の豊かさを保っている状態だと言えます。ここから日本社会がどういった方向に進んでいくのかは神のみぞ知ることでしょう。

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