【詩】美しい想い出

君とのもっとも美しい想い出は
夕飯を共に食べていた

あのひととき

君が僕に贈った
いちばん素晴らしいもの

返事もできぬほど疲れ切った日
君が何も言わずに買ってきた

あのひと切れのケーキ

それ以上のなにも
ありようがないから

この想いと共に
静かに水底に沈んでいよう

それ以上のなにも
ありようがないから

手のひらにあふれる涙は
海に浮かべて溶かしてしまおう

言葉や慰めはいらないんだ

僕らが失ったものは
何処にもないって知ってるから

いつか取り戻せるものなら
こんなにも哀しくはないのだから
だけど僕らただひとつの星で
瞬きながら輝く事しか知らないんだ

健気に命を燃やすことしか
ゆるされてないみたいに


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