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言葉のことばかり【お約束】

人間同士の約束

じぶんちの前にイヌの糞があったりすると、
すっごく怒るじゃないですか。
『糞は持ち帰れ』なんて貼り紙したりしてね。

まあ、じぶんちの前って、
自分の顔の前にウンコされたようなもんだから
怒るのもわかるけど、
(もし我が家の前にあったらまあ怒るだろう)
だけど、一瞬
『それってちょっとえらそうじゃない?』
って思ったんだよね。
普段はまったく思わないけど、いきなり思った。

「じぶんち」ったって「そこが自分の土地だ」
っていうのは人間の約束事で、
それって明らかに
「人間こそこの世で一番えらいんである」
ということを前提にしてるじゃないですか。
たしかに金払ってその土地買ってるんだけど。

人間が、いたっていなくたって、
そこに土地はあるわけで、
そりゃイヌには関係ないことだよね。

なのにイヌは自分のしたいところで
ウンコしただけで嫌がられちゃって、
もちろん怒られてるのは飼い主の方なんだけど
なんかヘンな気がしちゃったんだよね。

約束ってそれを交わす当事者としては絶対で
間違ってるなんてカケラも思わない。

なんか世界の真理みたいに思うけど、
意外に半径2mくらいでしか通用しないのかも。

誰もが納得する約束

結局、みんなが納得する約束なんて
この世に無いんじゃないかと思います。
あったら戦争なんて起こらない。

もしこの世にみんなが認める約束が
あるとしたらそれはすでに「お約束」ですね。

そういうもんだと
誰もが決めちゃってる約束。

遅刻しそうな女子高生が
パン咥えて走ってるとか、
バナナの皮に滑って転ぶとか、

なんか逆にありえない
シチュエーションの表現なんだけど、
それを約束って言うのがなんかおもしろい。

約束の信じられないところがわかってるから
そういう言い方をするんだと思う。

ちなみにこの「お約束」ってやつは
ちょっと強迫観念的なとこがあって
目の前にバナナの皮が落ちてると
滑らないといけないような気分になって
一瞬迷ってしまう。

実際に滑る人はほぼいないと思いますが。
気分としてはちょっと追い込まれます。

「お」をつける意味

名詞に「お」をつけるのは、
尊敬や丁寧の意味を付与するのが一般的。

位の高い人が自分の扱うものを美化して言う
ってケースもある。(てか昔多かった)
「私、おフランスに行きましてよ」みたいな。

この辺がギャグっぽく扱われて
「お」をつけると馬鹿にしてる、みたいな
ことになってるんだとは思う。

ところが逆もあるんだよね。
「お」を使うことで救うってニュアンス。

それこそ「馬鹿」に「お」をつけたら
「おバカ」になって、
これは馬鹿をかわいく見せる効果がある。

そんなのおバカタレントくらいしか
使わないと思ったら、
「もう、お馬鹿さんね」みたいな言い方は
昔っからある。
♪ 私バカよね〜 お馬鹿さんよね〜である。

まあ共通してるのは、
過剰に丁寧にするとギャグになる。
ってことですかね。

チンチン電車に「お」を…
やめときましょう…。

ちなみに「おみおつけ」って
味噌汁のことですが
漢字で書くと「御御御付」。
こうなるともう元が「つけ」しかない。

室町時代、宮中に仕える女房たちが
使っていた隠語がもとらしい。
ある意味バカにしてた可能性もあるね。

次回の言葉は「話せばわかる」です。

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