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【さとのば大学のキャンパス紹介】宮城県女川町が地域留学先になったワケ

こんにちは、地域を旅する さとのば大学 編集部です。

さとのば大学では、学生は1年ごとに日本各地の「連携地域」に留学しながら、プロジェクト学習を実践して学んでいきます。連携地域は現在15カ所あり、それぞれの町ならではの特長や良さ、そして課題が存在しています。

この連載では、地域事務局としてさとのば大学と連携しながら、ともに学生を支えてくださっている各地のキープレイヤーを取材。地域づくりにかける想いや、さとのば大学とともに目指していきたい未来についてお話を聞きます。

初回の取材先は、宮城県女川町で復興まちづくりに取り組む特定非営利活動法人アスヘノキボウの代表理事 後藤大輝さんに聞きました。

後藤 大輝(ごとう・たいき)さん

女川で夢を育む、さとのば生の挑戦

ーアスヘノキボウを窓口として、昨年度初めて、女川町にさとのば生を受け入れていただきました。

4名の学生が女川町で暮らしながら学んでくれました。

2年生の光竜君は、1年目の岐阜県郡上市での滞在を経て、女川へ。彼は女川で暮らしながら、「4年生で自分の事業を持ちたい」という夢に向かって学びを深めました。

震災後、多くの起業家が生まれた女川は、「自分で何かをやりたい」という光竜君のような人にとって、まさに理想的な環境と言えるでしょう。

夢の実現のために、2023年7月にオープンしたばかりの地域のスパイスカレー店で開業前からアルバイトをしながら、暮らしの中でどっぷり学び、「修業」に励んでいました。カレー店のオーナーは長年大手の食品開発に在籍していた方で、第2の人生として、女川に移住し、自分のお店をオープンしました。その方のもとで創業期に携わり、飲食業や接客のプロから直接指導を受けられるというのは、光竜君にとってかけがえのない経験になると思います。

実業から学ぶので、もちろんいいところだけでなく厳しい側面もあります。「ごっこ」では許されないわけで、時にいろんな壁にぶつかりながらも、大きく成長したのではないでしょうか。

ー後藤さんは、学生に女川町でどういったことを学んでほしいと考えていますか。

一つは死生観について考える機会です。ここは、東日本大震災で壊滅的なダメージを受けた場所。女川は震災で827名(当日の人口の約8%)の方が亡くなり、家族や親戚、ご友人など大切な人を失った方が多くいます。その中で生き残った命を何に使うか、真剣に向き合い、考えている方が多いと感じています。

「人は必ず死ぬ、人生は一回きり、人はいつ死ぬか分からない。」

命、そして生きることに真剣に向き合う姿勢を地域の人たちから学び、死ぬまでに何をしたいのか、今日が人生の最後の1日だとしたら何に情熱をささげたいかを考えていってほしいと思っています。

女川では「あたらしいスタートが世界一生まれるまちへ」というスローガンを掲げて、ゼロからまちづくりをしてきました。スタートに対して応援し続けられる町でありたいと、私自身も考えています。

ここにきてくれる学生も、一人一人が自分にとってのスタートをきり、地域にいる方々からのフィードバックをもらいながら、「まずはやってみる」を大切にしながらも、「なぜ自分はこれをしたいのか?」についても考える時間を持ってもらえたら嬉しいと思っています。

女川でともに目指す未来。さとのば大学とアスヘノキボウの挑戦

ー地域事務局として学生の学びを支えてくださっていますが、具体的にはどういったサポートをしてくださっているのでしょうか?

高校卒業後、一人暮らしに初めて挑戦する1年生を多く受け入れていることもあり、まずは生活の基盤づくりができるように目をかけています。ダブルスクールの学業を始め、地域行事、アルバイト、親元を離れての1人暮らしなど、スケジュールを立てたり、またはそれらを実行するための食事や睡眠など、リズムを作るところから始まります。

月に1、2回はマンツーマンでメンタリングをしながら、今何を考えていて何に困っているのか、互いにフォローアップできる機会を設けています。

学生と交流する後藤さん

あとは普段から、僕たちが運営しているコワーキングスペース「女川フューチャーセンターCamass」でさとのば大学のオンライン講義を受けたりもしているので、日々声を掛け合いながら過ごしていますね。

学生たちは日々、それぞれがまちに出かけていろんな人と繋がったり、自分の活動のヒントや仲間集めをしたりしています。その手助けになるように僕たちのリソースも提供しながら、実生活の中で学びを深められる環境づくりをサポートしていきたいと、伴走しています。

ー学生を受け入れたことで、後藤さんやまちに変化はありましたか?

はい。女川町には大学だけでなく、高校もありません。さとのば生はこの町で一年間暮らすなかで、地域の例大祭に参加したり、お祭りの実行委員や町民会議などの様々な企画に参加するなど、地域活動に参画していろんな影響をもたらしてくれています。

学生に期待するだけでなく「滞在期間中に地域として若者にどんな機会を提供できるか」を地域側が考えるようにもなりました。日々営まれる地域の経済活動や文化活動が、どんな学びの機会として捉えられるかという視点を持つようになりましたね。

また僕たちアスヘノキボウとしても、例えば「一緒に働きたい」という学生も見えてきました。そういう出会いも生まれてくると、さらにさとのば大学を地域で取り組む価値が高まると感じています。

ーそもそもどうしてさとのば大学の連携地域になっていただいたのでしょうか?
一番初めはアスヘノキボウを創業した小松洋介と、さとのば大学の発起人 信岡さんとの出会いがきっかけでした。

信岡さんの「地域で人を育てていけないと日本の未来はない」という思いに共感し、さとのば大学の前身となった地域共創カレッジの一地域として参画することに。そこから長年にわたり協業しています。

アスヘノキボウは「女川町の社会課題解決を通じて、日本・世界をより良くする」を目標に掲げて、地域課題の解決策になる事業づくりを行っています。

例えば活動人口を増やすための活動として、団体設立当初からさまざまな企業や事業の立ち上げを支援してきました。業種は宿泊施設や飲食店などいろいろですが、その数は女川町内で約15社、町外で40社ほどに上ります。新しいチャレンジに取り組む方をサポートすることで、女川エリアでの活動量を活発にしたいと思ってのことです。

また今までとは違う層を呼び込むために、お試し移住や学生団体との連携なども深めています。

10代〜20代の多感な時期に、自分が何をしたいのか、どうありたいのかを考える機会が作りたいという想いがあります。女川と接点を持ってくれた学生が将来、地域を自分の生きる場所として選び、その活躍に少しでも貢献できていれば嬉しいですね。

地域は価値のある学びの場、さとのば大学への期待

ー最後に、さとのば大学や学生へメッセ―ジをお願いします!

「地域は価値のある学びの場」。さとのば大学は改めて地域という場所を再定義してくれたと思っています。

さとのば大学の卒業生が、地域での留学や活動を通して『自分の使命』や『情熱を注げること』を見つけてくれることに期待していますし、そんな状況が日本各地で生まれていくことを楽しみにしています!


日本各地には素敵な人がいる地域やコミュニティがたくさんあります。暮らしながらどっぷり地域に溶け込んで、あなたも学びある時間を過ごしてみませんか?

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