マガジンのカバー画像

Re-post Magazine

100
リポスト集。過去にポストした詩をマガジン関係なく拾って落とします。
運営しているクリエイター

2014年11月の記事一覧

豪雨(どしゃぶり)

夏のお客さま
もうすこしお待ちになって
現金還元能力など
持ち合わせてはいないから

ひっくり返した海の
水のにおいを嗅ぎ分け
あなたは求める
優しいだけの何か

捕まえた腕があまりに細くて
ひるんだのが分かった
怖がらないで
わたしは消えないでここにいる

傘も持たず
行き当たりばったりの今日は
まさしくわたしの人生の構図
ほら、楽しいでしょう
雨に濡れるたび忘れてしまうから

無題

あらゆる手段で忍び込むから
可愛いもので武装しなきゃ
細胞レベルで破綻する
あなたの弱さが死因となる

わたしの偏屈と理不尽が
愛しいと言って
わたしに巣食う泣き虫も
愛しいと言って

名声を持て余す
プライベートを頂戴
逃避行を繰り返す
どこへも行けない君と

救えないという絶望を
灰になるほど忘れて
細胞レベルで恋をする
わたしのキスが死因となる

無題

人の言葉であふれたわたしは
どう、かがやいている?
おもむろに歌いはじめたあたしはどう?
黄色い人魚は眠らない
アタシは今日知らない音楽を回したまま
死ぬだろう

失っていく感覚には
もうずっと前から触れていた
だめなものはだめ
あたしは蝕まれる
他殺なんて出来ない

こうして楽しめないあたしはきっと
可笑しいぐらい人が好きなんだろう
それでいまあたしは
脳が沸くほどの寂しさに絶望しているんだろう

もっとみる

過眠

寝ぼけまなこで追いかけていた
触れたとたん散った

嘘泣きなんて容易い
そう言い切って花の中
少女の太ももが白いうちに
解いておくべきだった嘘

言葉を覚えてうわの空
シャボン玉がはじけ飛んで爆死
天国は屋上にあるって知ってた?
だから駆け上がった夏

切り取って
愛を施して、オンラインに浮かべて
君で遊び尽くす
どうにも無邪気な乙女たち

仕方ないの一言で片付けてよ。

無題

甘い匂いがして振り返る
タイトルを付ける作業に時給は付かない
そこに辿り着けないならいっそ選ばない

甘い匂いがして狼狽、

得手不得手を数えて夜が明ける
左肩をさすって信じる
いつかのフラミンゴ、飛んだかな

わたし、わたしは、

タオルケットに守られる
ひみつきちへおいで
瞳の奥、くちびるのあいだ、背中の傷
言葉まで探し当てて
ひたすらに夜を渡れよ

少女

覗き込むように低く落ちた雲が
あの日と同じ
そんなものであたしを護れるはずないのに

厳重注意なんて聴いちゃいない
はやく窓を開けて
どよめく会場をだまらせて
私が歌い出したら時限装置が発動

指先から髪の毛の一本一本にまで
染みている
私の纏うのは清浄
正義感なんてとっくの昔に歪んでる

しなやかな動作ひとつひとつ
大衆はくぎづけ
途切れぬ視線
さあ、あなたは私を護れるのか

雨音の中で待ってい

もっとみる

社会人

満員電車が君を連れ去る
容赦ないコンクリートの塊

「ねえ
大人みたいなことを言うのね、今さら
私たちは、生き残ったのよ。」

この森は小さい
だけれど悪意はそこらじゅうに充ちている
クリエイティブでない奴らなんて
即刻排除の命なのだ

隠していたけれど
ぜんぶ嘘なんだよ
春夏秋冬も2時も3時も
私の悪意から早く逃げて

満員電車が君を連れ去る
ギャンブルが人を駄目にする
そんなに賢くなってどうす

もっとみる

大事にしてね
この世界で正しいのは私だけ

分からなくなってきたわ
空腹と寂しさに
大した差なんてないわ

大事にしてね
どこにでもいて
どこにもいない私

ちいさな獣

隣で眠っていても
同じ夢をみられないのに
鼓動を欲しがる小さな獣と化す

例えばすべてを捧げても
得られないもののために生きてるのは
一体どういう理屈なんだろう

夜が来るたび悲しくなるのは
いつも季節の所為
始発の音を聞きたくて
プラットホームさまよう

例えば私が野良猫で
誰彼かまわず甘えて媚びてみて
誰が責められるっていうんだろう

離れて眠っていても
夢で逢ってるのに
いつも会いたい小さな

もっとみる

無題

ずっと個性に飢えた人を見てた
陶酔の懸念は当たる
書き順間違えたから帰れない

知り過ぎた弱音が
イメージを蝕む
誰も興味が無い
君の底に広がる不味い霧

嘘を重ねた土曜日を終えて
明日で帳尻合わせるわ
減刑も免罪も要らない

その窓で
その駅で
その道で

成長を騙る奴等の総てを疑え
甘い罠仕掛けてウォッチング
片足突っ込んでハミング
まだ息があるサラリーマン
世の中ってどこ?

無題

すかすかの脳に
数字とクッキーとコーヒーを出来るだけ詰め込む作業

こっからどこへ
どっからここへ
迷信を信じていたんだ
いつも報われたくて

いつかそうしようと
明日会いに行こうと
その日を祝おうと
形を変えたら愛せないものたち

本能で知っている
言葉は生きている
明日が狙ってる
ほくそ笑む春

Mr.Someone

ぜんぶ分かってしまえば
途端に退屈に思えるから
大きな秘密を抱えたまま
白い海で重なり合おうよ
ミスター・サムワン

隠れたスペルミスみたいに
雑踏の中で出会って
絡まりあったまま
このまま息を潜めていたいの
ミスター・サムワン

不確かなアルファベットふたつ
不釣り合いでも不格好でも
わたしたちは出会ってしまった
ねぇ、ミスター・サムワン

赤い糸を信じる?

噂の永遠を見に行こうよ
半狂乱の人々の間を縫って
空の色を塗り替えた罪はどの位重いの
その答えがこわい


何かを思っているうちに
馬鹿みたいに大きくなった羽根を
蓮華でも摘むように手折って
やっぱり噂の永遠を見に行こうよ
手堅い野次馬根性で