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Re-post Magazine

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リポスト集。過去にポストした詩をマガジン関係なく拾って落とします。
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記事一覧

少女

覗き込むように低く落ちた雲が
あの日と同じ
そんなものであたしを護れるはずないのに

厳重注意なんて聴いちゃいない
はやく窓を開けて
どよめく会場をだまらせて
私が歌い出したら時限装置が発動

指先から髪の毛の一本一本にまで
染みている
私の纏うのは清浄
正義感なんてとっくの昔に歪んでる

しなやかな動作ひとつひとつ
大衆はくぎづけ
途切れぬ視線
さあ、あなたは私を護れるのか

雨音の中で待ってい

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アイドル

わたしのなかに埋もれる
わるい夢を発見してよ
息を止めてくちびる合わせる
そんな遊びに明け暮れた日々

未知のツールで探し出せる
機知の合図で通じ合える
そうでしょ

わたしのなかに埋もれる
わるい夢をほどいてよ
息を止めてくちびる合わせる
そんな遊びすぐ飽きるから

別の名前で呼び合える
アイコンになって狂い始める
待ってよ

それなのに
私の名前をつけた酸素が
君の眼前で燃え尽きる
なぜ救えないの

言葉で繕っても隠しきれない
この夏君に降る雨は
非公式な法でも裁けない
君を守れないの?

上手に大人になったりしないで
抗ってその羽根を守り切って
私の魔法が届いたら
その力を信じればいい

持て余すほどの花束を
君は笑って
夜も朝も吸い込んだ
たどり着いた屋上で
きっと一緒に透明になろうね

無題

健気な肌を裂いて
馬鹿になりたくて死んだ

意図した静寂を裂いて
王子様が来たから死んだ

彼を許す理由を探してた
特許を取り忘れた言葉

みんな、聞いてよ、兎にも角にも
入浴剤みたいなにおいの私

だって今夜が1234番目
何を信じるか選びなよ

有名税払うよ
だから連れて行って傍まで

有名税払うよ
だから甦らせて明後日

私の月が欠けていくのは
貴方が時々感じるむなしさの所為

恋の向こうにあるものが
ただの愛に他ならないと信じているのは誰

肺に咲く睡蓮は時間を知らない
私のための魔法は星屑になって増え続ける

貴方の裏切も燃え尽きて
じきにその目が私の月になる

夢のなかで許される接続
2行目を捨てて
思いつく限りのわがままを並べて怒らせたい

水鉄砲で壊せない
貴方は消費されるだけ

水面下で結ばれる糸
結句を書いて
完璧なまでに嫌になるほど甘やかされたい

掴めるものは何もない
貴方は共有されるだけ

私を安心させるため
時折浮上して息を継いでよ

眠る愛情を浪費して
プライバシーを消費して
私達はひたすらに消耗するだけ

深海で泣いたら私には分からない
地熱みたいな恋を探して色を変える君
疲労する前に見つけるから

だから時折浮上して息を継いでよ
見失って二人はぐれないように

青春

ビニール傘で守れるくらいの物で
あたしは満足できなかった
貴方はいつも優しかったけど
あたしはそれに気づけなかった

ねぇ、もういい、もういい?
聖域はもうすぐ暴かれる

花の蜜を吸って
光を愛して
爛れていく肌を見ているしかなかった
そろそろ飽きたよ

ねぇ、もういい、もういい?
かつて栄えたページ0

あふれてしまったゴミ箱
横目で見ながら胃液を飲んだ
人事部は凄惨な場所
答えなど知らない

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産業が刺さる
野望を持ってるくらいが似合う
全部その手に抱えたままで
待ってて


産業が振り向く
その目が致命傷になる
トラップ仕掛けながら
待ってて


産業が裏切る
痛いの痛いの飛んでけ
伝えに行くから
待ってて

はいはい

うわの空の上で弱音はいたら命に関わるよ
今日もあんたのタバコの煙がゆっくりあたしを殺す
あたしの職業なら女なんて
かっこいいこと言えればまだいいけど
大きな花束がほしいし
引きずるほどのドレスも着たいし

どうせ手に入れれば砕けるような代物だけど
はじめて知る命の温度なら
癖になりそう

つまらない音階と努力を
ばかにするしか脳がない
コンプレックスがかならずしも
他殺に終わるとは信じたくない

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生意気が功を奏して
得てきたものはすべて短命
きちんと眠るたびにすべてが
他人のような顔を見せる気がして
昨日と今日を分けられない

捨てたり拾ったりしながら
浪費癖がどこが憎めなかったり
刹那的な美しさを諦めきれなかったり
嫌われたって構わないけれど
賞賛よりも確かな言葉を

心酔

午前3時の恋しさは
四分の一の人類と黒猫にしか
理解らない

紺碧色のヒーローは
今に狂ってしまうから
何も知らないこの胸に
抱きしめてあげるの

君のために死にゆく天使
数える役目が必要でしょう
君のために売り飛ばす春
文句なんて言えないでしょう

無題

端っこから零れた甘いのを舐めとって
眠れない夜をやり過ごすのに躍起になって
無計画に泣いて笑う
今更どうしたの

千羽鶴を暴いた罪で巡り合った
永遠を騙る人は綺麗だった
感受性なんて無くても
注ぎこまれれば事足りるような恋をするから

東から来るという化け物
西に落ちたらしい天使
奇跡を信じると誓って駆け出す
王子様、私を探して