「夢」を「目標」に変えた人から、大人になっていく。
去年、転職で悩んでいるという若い人の相談に乗った。
昔の仕事仲間だ。
学生のころからずっと「ひとつの夢」があるんだけど、いまの会社ではそれは叶えられない、だから転職したい、みたいなことだった。
でも、ご両親から「なにガキみたいなことを言ってんだ」「社会はそんなに甘くない」「早く大人になりなさい」とか言われてしまい、話しすらほとんど聞いてくれない、と悩んでいた。
いや、自分の人生だから、最終的には親とか無視してもいいんじゃない?って言ったら、一人っ子だし、親にはちゃんと納得してもらいたい、ということだった。
「なるほど、ちなみにその夢って何? 差し支えなければ教えてくれる?」
「ええと・・・ちょっと恥ずかしいんですけど」
その夢は、確かにとても大切なことだけど、ちょっと理想が高すぎてふわっとしてた。
自分が何かになりたい、とかいう夢ではなく、世界がこうなるといい、という社会変革的なことで、そのこと自体は素敵なんだけど、アプローチの仕方すら見えていない。
そして、なぜその会社に転職したいのか、の理由も薄い。
「たぶんその会社だったらそういうことが出来るだろう」みたいな甘い観測。
親がそう言うのも無理ないな。
その夢はまだなんにも具体化されておらず、ただただ「こうしたい」「こうなるといい」と語るばかり。
典型的な「ワナビー」(I wanna be)に見えた。
なので、率直にそう伝えた。
「・・・やっぱりそうですよね」
ごめんね、ポジなこと言えなくて。
「おお、すごいじゃん、夢に賭けてみなよ!」って勧めることもできるけど、さすがに無責任すぎるからね。
で、ひとつだけサジェスチョンをした。
夢を夢のまま語っているうちは大人は聞いてくれないよ。
その夢を「目標」という言葉に変えて、それをクリアする方法を具体的に説明してみるといいよ。
そうであれば、少なくともマジメに聞いてはくれると思うから。
たとえばスポーツ選手が若くして大人びて見えるのは、漠然とした「夢」をきちんとした「目標」に変えて、一歩一歩実行に移しているからだ。
夢は、夢のままだと叶わない。
目標にして、クリアする方法をしっかり考え、実行しないと、叶わない。
で、「夢」を「目標」に変えた人から、大人になっていく。
先週。
久しぶりに彼女からメッセージがあり、ZOOMで1時間ほど話しをした。
「あれからいろいろ調べたんですが、転職してもきっとダメでした(笑)。その節はすいませんでした。でも、目標を達成する方法は見えてきたので、ちょっとロードマップを見てくれますか?」
そして、パワポで作ったスライドを見せてくれた。
あぁ、なるほど、具体的にそういうことがしたいのね。
だからそういう道を辿るのね。
なるほどなるほど。。。
具体的に方策が示されているので、「ここはどうするの?」「これってそんなに簡単にできることなの?」とかいろいろ指摘することができた。
「あー、確かにそうですね。なるほどなるほど。ここ、考え直してみます」
とか独りごちる彼女は、少しの間にずいぶん大人びて見えた。
ちゃんと人生の優先順位を設定しなおし、諦めるものは諦め、やるべきことはすでに始めていた。
しっかり前が見通せている説明だった。
OKしてくれるかどうかは別にして、これならご両親もきっと話しを聞いてくれるだろう。
「ところでご両親の性格ってどんななの?」
「お父さんとお母さんのどっちがそういうの理解してくれそう?」
「どっちを先に説得するとうまく行きそう?」
いくつか質問していっしょに策を練る。
そう、あとは「伝えたい相手」のことをよーく知って、ちゃんと伝わるプレゼンをすることだ。
その辺のことなら本業なので、いくらでもサジェスチョンするよw
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