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スー・レイニー『雨の日のジャズ』

人生に欠かせないオールタイムベストな音楽をいろいろと紹介していきたいと思います。ジャズ、クラシック、ロック、ポップス、歌謡曲、フォーク、J-Popなど、脈絡なくいろいろと。


梅雨の時期になると、思わずかけてしまうアルバム。

スー・レイニーの『songs for a Raney day』。

特に感動するわけでも感心するわけでもないんだけど、年に何度かは必ず聴くお馴染みさんになっている。


そう、わかりやすく題名に引きずられる。

「songs for a Raney day」・・・雨の日のジャズ。

もちろんスペルが違っている。
「rainy」と「raney」。
Sue Raneyの名前と「雨」を掛けている。

そこらへんがなんだか微笑ましくて、というか、ひねりすぎていないでしょ? そういうところがダサ可愛くて、なんとなくかけてしまう。


雨の日、と言ってもまぁいろんな雨がある。

このアルバムが似合うのは「柔らかいやさしい雨」。

パラシュート部隊のようにフワリと軟着陸する雨ってあるでしょ? あれ。あんな雨。


そういう雨を目で確認しながらこのCDを聴くととてもいい。

つまりまだ明るいうちがいいな。
夜になりきらないギリギリの頃合い、細かい雨が夜の気配をより濃密にしていく直前。

そのころの、煙のような雨。

そんな雨を見ながら、聴くとはなしになんとなくかける。
向き合ってちゃんと聴いたことは実はなかったりするんだけど、そんなこんなで飽きずに何百回は聴いているなぁ、と思う。



無名の歌い手というのもいいんだろうな。なんとなく肩の力が抜けて。

メジャーじゃない歌い手、わりと好き。
一時期、CDを買い漁った。

パティ・マクガヴァーン、ロレッツ・アレクサンドリア、マリー・マクドナルド、アビー・レイン、シャーリーン・バートレイ、ゲイル・ロビンス、ヘレン・グレイコ、ジュリー・ウィルソン・・・

BMGのフィーメイル・ヴォーカル・コレクション(マイナーな歌手ものをシリーズ化したもの)が出たときは嬉しかった。



ついでに言うと、このCD、冒頭がいきなり「雷の音」なのもまたいい。



外は柔らかい雨なのに、雷が小さくスピーカーから漏れてくる・・・その感覚が日常をちょっと異化してくれて、とてもよいなぁ、と思う。

そしてそこに、名前から想像されるよりもちょっと野太いスーの声。


時はちょうど梅雨ド真ん中。

「また今日も雨かぁ・・・鬱陶しいなぁ・・・」などと嘆くのはやめて、「今日は雨に似合うジャズでもかけてみよう」などと雨を楽しんでしまうのもまた一興。

雨の夕暮れがかけがえのないものになること、請け合いよ。


songs for a Raney day
Sue Raney

1959年録音/東芝EMI

Sue Raney (vo)
with
Ochestra conducted by Billy Mat




古めの喫茶店(ただし禁煙)で文章を書くのが好きです。いただいたサポートは美味しいコーヒー代に使わせていただき、ゆっくりと文章を練りたいと思います。ありがとうございます。