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終わりなき生産性競争から抜け出すための幸福論
著者 デヴォン・プライス

活動範囲を広げすぎてちぎれそうになっても、身体を引きずってタスクを次々と片付けていた。エネルギー不足で動けなくなって「怠惰」になる自分が許せなかった…「上司の期待を裏切れない」といつも残業を引き受けて長時間労働をしていた。というのは、著者の過去。

もしも、心当たりのある人は、「価値ある人間として認めて欲しいなら、やるべきだ」と社会に教え込まれたことを全部やろうとする。責任感を持って仕事を頑張り、社会問題に熱心に取り組み、友人を思いやり、絶えず学び続ける。自力でコントロールできることは全部制御して、不安を軽減しようとする。そうして自分を追い込んで頑張りすぎる。

どれだけ頑張っても、もう十分できたと満足できず、片時も心は休まらない。私なんてまだ休んでいい立場じゃないと思い込んでいる。「怠惰」はいつだって悪いことだから避けなくては、と信じ続けている。この世界観が、私たちの人生を蝕む。

「自分は怠けている」そう感じてしまう原因とは

怠惰だと感じてしまう原因は、「怠惰のウソ」
「怠惰のウソ」は深く文化に根ざした価値体系で、私たちに次のことを信じ込ませている。

例えば、
・怠惰な自分を克服するために、いつも一生懸命頑張らなくてはいけない。
・自分の価値は生産性で決まる。
・途中でやめてしまうこと、頑張らないことは、不道徳だ。

「自分は頑張りが足りていない」と罪悪感が湧くのは「怠惰のウソ」が原因。身体を壊すまで働きすぎるのも、「怠惰のウソ」に突き動かされているからだ。

休んでもいい。

人がエネルギー切れやモチベーション不足になるのは、ちゃんと理由がある。人が疲れたり、燃え尽きたりしているのは、本人の内面に跋扈する恥ずべき「怠惰」に負けているからではない。

問題は、当たり前の要求をしただけでも非難されるような仕事中毒な価値観が蔓延しているせいで、生きづらくなっていること。身体の上がる非常レベルの音を無視してまで、自分を追い詰める必要はない。

人間はロボットではない。何時間も淡々と同じ作業を続けて同じ成果物を作り続けることはできない。実際のところ、一定のアウトプット品質を保てるのは1日にせいぜい2時間程度。私たちはそもそも1日8時間働けるようにできていない。長時間働いても生産性は向上しない。

*ヘンリー・フォードが従業員の労働時間を週48時間から40時間にしたところ、生産量はむしろ向上している。

質の高い仕事には休息の時間が必要。

働きすぎると…

働きすぎると、健康を害し、認知機能も衰え、人生の情熱さえ奪われてしまう。燃え尽き症候群が働く人々の行動に与える影響を調査した研究結果では、燃え尽き症候群の人は、たとえ長時間働いても、他の従業員よりも生産性が低く、業務への意識も低いことが明らかになっている。また、過労の人々は不安症に苦しみ、睡眠薬や精神安定剤などを使用する頻度が強かった。どうすれば良いか?単に仕事量を減らすことで、解決しない。組織目標が明確ではなく、プロジェクトがいつまでも完結しない職場でも、燃え尽き症候群が多発する傾向があったことがわかった。

「ワーク・ホーム・インターフェレンス」(仕事と家庭の干渉)
スマートフォンなどのITツールが普及したことで、自体は悪化の一途を辿っている。物理的に職場を離れても、リモートで仕事を続けられるのは問題。いつでも業務環境にアクセスできるため、仕事が四六時中、私生活に侵入してくる。

燃え尽き症候群チェックリスト

・もう限界だと感じる。
・朝起きると疲労を感じ、仕事に向かうのが辛い。
・仕事のせいで精神的に疲れ切っている。
・自分の仕事が他者の人生に良い影響を与えている気がしない。
・この仕事で、あまり価値あることを成し遂げていない。

働きすぎない方法

自分の生活や人生が、自分自身が望む軸からブレていないかと判断できる質問に答えて、客観視する。

1、自分が最も本領発揮できるのはどんな時?
2、のびのびと楽しめないのはどんな時?何が怖い?
3、ずっと夢中になれることは何?
4、人生でとても幸せに感じたのはどんな時?
5、一緒に働きたいのはどんな人?
6、身体の健康を維持するために必要なことは?

仕事量を減らすための3つのアドバイス

1、裁量を勝ち取る
自分で優先順位を決めて、好きなペースで仕事をできるような裁量を与えられれば、大抵の人は自発的に良い仕事をする。

2、仕事にかけた時間ではなく、質を重視する
「怠惰のウソ」が支配する組織では、人々は出勤時間を守ることに執着し、早出をしてシフトが終わっても長居をし、他人の勤務態度を執拗にチェックする。これは心理的に不健康で、生産性の向上に全く役に立たない。

3、「仕事と私生活の干渉」のループを断ち切る
朝だけでなく週末や夜もメールに時間を取られている。働きすぎの典型。常に仕事に乗り遅れないようにという強迫観念に駆られる。自分の心身が回復できる時間的にゆとりのある生活を構築するには、デジタル業務時間を大幅削減する必要がある。

最後に

いくら勝利しても、「怠惰のウソ」の命令に打ち勝つことはできない。「怠惰のウソ」は「決して満足するな」と説くため、いくら勝利を連ねても、次々と新いチャンスを求めて走り続けなければならない。

「怠惰のウソ」の感染範囲は、仕事のキャリアを越えて広がっている。
あらゆる領域で達成を目指せと追い込むため、本来はリラックスできる非生産的なはずの行為さえ例外ではなくなっている。そのせいで、ただ楽しく心身が癒されるような活動からも、喜びや安らぎが奪われてしまう。

業績よりも、経験の喜びを深く味わおう。


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