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目から鱗のハウツー営業㊿【イケメンであることは営業力なのか?】

私事ではありますが、
この【目から鱗のハウツー営業】シリーズが、
遂に記念すべき50回目を迎えました。

連載開始当時は、
ここまで長く続けることが出来るとは思っていませんでした。
50回目を迎えることが出来たのは、
読んでいただいている方の
「面白かった」
「目から鱗が落ちた」
「とにかく分かりやすい」
「今まで腑に落ちなかったモノがスッと腑に落ちた」
こうしたご感想のおかげです。
改めて御礼申し上げます。

本音です


確かに、私にとって文章で自身を表現するのは楽しい作業です。

文章を書きながら頭の中が整理され、
自身の頭の中から新たな発見があるからです。
とはいえ、文章にして発信するのはやはり骨の折れる作業でもあります。

上手くいかないこともあり、
時間だけがただただ過ぎてしまう、そんな時もあります。
そんな時に支えとなったのは読者の皆様を
「あっと驚かせたい!」
「『こんな考え方、初めて聞いた!』と唸らせたい!」
という私の欲であり、虚栄心です。
これらを結果として駆り立ててくれた読者の方に改めて御礼申し上げます。
本当にありがとうございます。
 
そこで今回は、その読者の方へのお礼として、
そして50回目の記念として、
営業という仕事においてあまり語られることのない、本質的問題について、
解説したいと思います。

営業力ってなんだろう?


『それは【営業力】とは何か?』
『【営業力】をどう定義するべきなのか?』
という事です。
 
まずは、恒例の検索です。
【営業力】で検索すると
やはり、
『営業力とは、
交渉力、知識、コミュニケーション能力、思考力、
或いは人間力である』という意見に集約されています。

さて皆さんはこの検索結果に違和感を覚えないでしょうか?
私はこの時点で非常に違和感を抱いています。

まずは例え話から・・


例えば、『【創造力】とは何でしょうか?』
と聞かれたら、
多少の表現の違いはあっても、
まずは『新しいモノを生み出す力』と多くの方は答えるはずです。

『正解のない課題に自分なりの答えを見つけ出す力だ』と真っ先に答える人は少ないはずです。
 
つまり、
【創造力=新しいモノを生み出す力】であり、
『新しいモノを作りだす力とは何だろう?』という問いが出て初めて
「正解のない課題に自分なりの答えを見つけ出す力」がその一つとして挙がってくるという順番のはずです。

営業力の定義の異常さ


ところが、
営業力についての議論は
創造力における「新しいモノを作りだす力」のようなモノ、
つまり根本的にどういうことを言うのか、
つまり定義が最初から吹っ飛んでおり、どこにも見当たりません。

その上で、
創造力における「正解のない課題に自分なりの答えを見つけ出す力」のようなモノである、交渉力、知識、コミュニケーション能力、思考力、人間力などをそれぞれが営業力として挙げている
のです。
そして、この事に大半の方は気づいていないように見受けられるのです。
 

確かに、営業力という単語が非常に単純な単語であり、
「営業する力でしょ?」程度に聞こえることも一因としてはあります。
しかし、こうしたことが営業力の実態のみならず、
営業という仕事の本質をも見えなくしているのではないかと私は思います。
 
まずは、創造力における『新しいモノを作り出す力』のようなモノを、
営業力においても定義する必要があるのではないでしょうか?

そこでまず私からの提案でです!


ここからは私の持論であり、あくまで一つの提案です。

営業力とは
『その人がお客様と商品やサービスの間に入ったことによって、
契約や注文の確率・量がUPする、それを生んだ力、または要素・原因

このように定義してはいかがでしょうか?

イケメンである、ことは営業力なのか?


このように言うと
『それじゃあ例えば「イケメンである」ということは営業力なんですか?』
とこんな素朴な疑問を抱く人がいるはずです。
 
はい、その通りです。
勿論見た目の良さは間違いなく、営業力の一つです。
素直に自然に考えれば、
『イケメンである』ということは
実際にそうした理由で契約や注文の確率が上がるという事実があるので、
立派な営業力の一つです。

その他、
「スーツの着こなしがお洒落である」
「身だしなみに清潔感がある」
なども同様でそれ自体が営業職の印象を上げ、
契約の確率を上げる効果があるのは明白であり、
それ故、
「イケメンである」
「お洒落である」
「身だしなみに清潔感がある」
これら全て営業力そのものである、と考えるのが妥当です。
 
このように最初の定義をきちんと行い、
それに該当するか否かという基準だけで判断すれば
何が営業力に該当し、逆に何が該当しないのかが分かります。
そして、どれが営業力としてより威力を放つのかも
簡単に答えを出すことが出来ます。

営業の世界の現実


さて、こうした営業の世界の現実を、
【営業力=交渉力、知識、コミュニケーション能力、思考力、人間力】
という図式で説明がつくでしょうか?
私は全く出来ないと思います。
 
現実には、交渉力、知識、コミュニケーション能力も思考力も乏しい、
だけど営業成績は何故か優秀、
こんな営業職はどこの業界、どの企業にも必ず一定数います。

 
いやむしろ優秀な成績を収める営業職の大半は、
巷で営業力とされているモノがあるというより、真面目で誠実な凡人
です。

プライベートで知り合っても、
その方が優秀な成績を上げている営業職だと到底気付かない、
そんな人も数多く存在します。

人間力を語る難しさ


そして、こうした矛盾、説明のできない状況を
説明するのに利用されているのが【人間力】です。
 
「あの人は平凡だけど、人間力が高いから客がついてくるんだろうな」
このような感じです。
 
しかし、そもそも人間力という言葉に明確な定義はなく、
人間力を測定する技術も手法もありません。
測定できないモノが誰かに備わっているか否かなど誰にも分かりません。
(何かを定義する時に、
定義が曖昧で測定できないモノを物差しとして使うことは出来ません。
何故なら、どこまで言っても、
「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」としか言えないからです。)

一方で、
ビジネスの現場で人間力があると評価されている人は、
ほぼ例外なく、既に結果を出している人間であり、
これは人間力があるビジネスパーソンが例外なく結果を出せる、のでなく、
結果を出した人間に後付けで「人間力がある」という評価を下している、
と考えるのが妥当でしょう。
「あの人は結果こそ出ていないが、人間力はある」と評価される人がほとんどいないのも、このように考えれば説明がつきます。
 
このように考えていくと、
交渉力、コミュニケーション能力、などの能力があるように見えないのに、
営業成績が良い営業職が存在した場合に、
その要因を人間力があるからだとこじつけているように見えます。
繰り返しになりますが、
これらは人間力という言葉に明確な定義がなく、
人によってイメージするモノが少しずつ異なる事によって生まれた現象と言えます。
 
【具体的理由が見つからないがその人が好きである】という状況に対して、
「不思議な魅力がある」と表現しているのとよく似た構造だと思います。

勿論、中にはご自身の中で、
『人間力とは〇〇なことである』と明確に定義している人もいるでしょう。
その人の中だけでなら、それで問題ありません。
何よりどのように考えるかは、
人それぞれ自由なのでそれ自体を否定するつもりはありません。

しかし、『営業力とは何か?』について多くの人々の間で議論するのに、
定義の曖昧な単語を利用する、
こうした定義なき議論が、営業という仕事の実態から目を背けさせる効果があるのは事実だと思います。

定義なき議論の副産物


何より、こうした議論の中では、
どうしてもすっぽりと見落とされている点が放置されたままになります。

それは、
「このお客様は、本当は何故この営業職を支持しているのだろう?」
⇒「これはお客様に聞いてみた方がいいな」
という視点・発想です。
 
この質問を投げかけて、
お客様が
「それはあの人がイケメンだから」
「いつもカッコイイスーツを着ているから」
と答えたら、見た目の良さが営業力そのものだと素直に思えばいいのです。

我々がそれを納得して受け入れるかどうかは、
あくまで私たちの受け取り方・価値観の問題であって、
それが事実であるかどうかとは何の関係もありません。
 
現在の議論ではこうしたことが実際にあるにもかかわらず、
「見た目の良さは営業力ではない、営業力として認められない」
という奇妙かつ根拠なき決めつけを施し、
「あの人、営業力はないけど、見た目がいいから契約取れちゃうんだよな」という自分勝手かつ強引な解釈をしている方が大半
ではないでしょうか?
【見た目の良さより、交渉力の方がレベルの高い要素である】という前提を置いているからこのような結論になるのでしょう。
 
しかし私はこのこと自体には何の根拠もなく、
見た目の良さと交渉力の間に優劣はないと思います。
どちらも営業力の中の一つである、という位置づけであり、
それが最も無理のない自然な解釈であると思います。
 
こうした自然な解釈を妨げているモノこそが、
交渉力などの能力向上ばかりを推進してきたビジネス書の刷り込みであり、
営業職から営業という仕事の面白さや奥深さを奪った要因です。
 
それよりは
『イケメンであることは営業力である。
何故ならそれによって契約を押し上げる効果があるのだから』
こちらの方が余程納得しやすく、無理のない解釈です。
 
『見た目の良さなど営業力であるはずがない』という前提でモノを考えれば、

「交渉力、知識、コミュニケーション能力、思考力」のない営業職の成績の良さをどこまでいっても説明できません。
 
 
イケメンであることが契約を生んでいるのならば、
交渉力や知識やコミュニケーション能力の向上に取り組むよりも
見た目に磨きをかけた方が効率は高く、
本人も仕事に前向きに取り組みやすいはずです。
少なくとも、営業職それぞれの選択肢は拡がるのではないでしょうか?
 
イケメンであることは営業力とは呼ばない、
顧客との交渉力、知識、コミュニケーション能力、思考力以外は営業力と認めない、という強引な解釈、定義付けはこうした矛盾と弊害を生んでいるのだと思います。
 
 
 
まずは契約を上乗せする要素はこれ全て営業力である、
このようにとシンプルに素直に定義するところから始めましょう。

営業力は見る人によって変化する?


次に押さえておくべき事は
営業力はそれを見るお客様によって変化する、ということです。

それは前提として、
お客様にも好みがあり、
どの営業職を気に入るか、どんな営業職を評価するのか、
或いはどんな仕事のやり方をする営業職と波長が合うのか、
という点に違いがあるからです。
 
ここも思い込みだと思いますが、
【万人に通用するモノが真の営業力】だとどこかで思ってはいませんか?

恐らくそうした前提があるから、顧客との交渉力、知識、コミュニケーション能力、思考力のみを営業力だと位置づけてしまうのです。
 
確かに全ての人に好かれる人柄であるに越したことはないでしょうし、
交渉力などはどの相手にも通用する要素に見えるかもしれません。
 

しかし、営業活動のおいて全員に好かれることは必須などではありません。

全てのお客様から評価される必要などない


全てのお客様に評価される必要など最初からないのです。
そうでなく、少数のお客様から徹底的に好かれてもいいのです。

そう考えることが出来れば、
お客様によって好みが異なる
⇒営業力はそれを評価するお客様によって変化する
⇒評価してくれないお客様がいること自体は問題ない
⇒お客様全員に好かれる必要などない。
全員に認められる必要などない、
と捉えることが自然と出来、無意味に悩むことも減るでしょう。
何より自身の選択肢が拡がり、
結果に向かって直線的に行動することが可能になるはずです。

お客様から優秀だと認められる必要もない


更に言うなら、お客様から優秀だと認められる必要も無いのです。
「営業マンとしてはイマイチだけど、なんか好きだなあ」
「特に仕事ができるって訳じゃないんだけど、とにかく一生懸命だしね」
そういう評価をしてくれるお客様を複数作る事で売上は十分に作れますし、
そんな営業職は数多く存在します。


さて、いかかだったでしょうか? 
皆さんの中の営業力の定義を今一度見直してみてはいかがですか?

そうすることで
皆さんの選択肢や可能性が大いに拡がり、
営業という仕事の面白さもまた拡がっていくと思いますよ。
 
 

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