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目から鱗のハウツー営業④【忘れられないお客様の一言】

突然ですが、私は営業職の皆様に[営業という仕事の真の面白さ]を伝えたいと思っています。
サトミ営業相談所の川端です。

今回は私が営業マンとしてデビューしてすぐに経験した事、その当時感じた事、そして今の私がその経験を振り返って考察したことを解説します。

経験談とその時感じた事までが前半、今の私がその経験を振り返っての考察が後半という二部構成となっており、前半は無料、後半は有料です。
量・質ともに前半は40%、後半が60%とお考え下さい。

このように分けた理由は以下3つです。
❶後半の方がより価値ある情報が詰まっていると感じたから
❷それを読者に伝えるには後半のみを有料とするのがベストだと思ったから
❸私の記事自体は長く、全文を一気に読むのは時間もエネルギーもかなり使うという意見を多数いただいており、短時間でサッと読み切りたい方にとっての利便性を考えたから。

この記事を読んでみて、出来れば皆様がそれぞれの感性で営業という仕事の本質と面白さを実感して欲しいと思います。
勿論、無料版のみでも十分それは可能です。

さかのぼること21年前・・・

大学を卒業し、社会人一年目の新入社員として営業活動に奔走していた時の話です。
勿論、営業職としてもデビューしたばかりの頃です。

私は北陸ローカルの出版社に入社し、その福井支店求人広告部門の営業グループに配属されました。
そして配属先である福井支店の責任者A支店長と出会いました。
A支店長は根っからの営業マンで、部下からも経営陣からも一目置かれる存在でした。
A支店長は他の新人営業職と比べて個性も強く我流の色が強い私の一挙手一投足全てにダメ出しを連発しました。
特にロープレ(A支店長がお客様、私たち新人営業職がそのまま営業職の役を演じ、お客様の事務所の入り口のドアをノックする場面から商品説明を終え退出するまでの行動・動作全てをチェックする模擬トレーニング)においては徹底的にダメ出しをされました。私は同期の前で誰よりもボコボコに言われていたのです。正直今も尚あの時の記憶は鮮明に憶えています。

営業は入り込みが9割

A支店長の持論は「営業は入り込みが9割」という事でした。
※A支店長の主張する入り込み:お客様の事務所に入って挨拶から始まり、丁寧な態度・言葉遣いでお客様に接し、そして最後に退出するまでの一連の基本動作』
スマートな営業テクニックや提案力やプレゼン能力ではなく、この入り込みという基本動作がお客様の心象を決定づけ契約の成否を決めるということでした。

『お前はお辞儀からして出来ていない。』

私は当時、その指導内容に内心強く反発していました。
何故なら、私はA支店長から「お前はお辞儀からして出来ていない」と再三再四厳しく指摘されていたからです。

逆に新人ながらも、自身の説明の仕方や相手の反論への切り返し(いわゆる話の巧さや営業テクニック)には絶対の自信を持っていただけに「営業は入り込みが9割」は当時の私にとっては完全な否定に感じました。

「営業ってもっとカッコいい仕事だと思っていたのに、こんなに地味で退屈な仕事なのか?」と失望しながらも、『でもやるからには他人からスゴイ営業マンだと尊敬されるようになりたい』と思っていた私は「必要ならやるしかない」と気持ちを切り替えて、真面目に素直に取り組んでいました。

そして、徐々にA支店長が指摘してくれた基本動作が出来るようになっていきました。しかし、やはり内心では「本当にそんなに大事なことなのかなあ」とずっと疑問を持っていました。

思い出の人、Z社のBさん登場


ところが、A支店長が言っていたことの本当の意味が分かる時がすぐに来ました。
ある中古車販売店Z社を担当していた時のことです。

Z社は、慢性的な人材不足で営業職や整備スタッフを常時募集しており、大手求人広告誌Ⅾ社で求人広告を常に出していました。
いわゆる需要の高い顧客です。
ただ、我々にとってのライバル社である大手求人広告誌Ⅾ社のみの掲載で、我が社はその時点で一度たりとも契約を取ることが出来ませんでした。

しかも、この会社の担当者Bさんはとても厳しい人で、うちの数々のエース級の営業職の誰が担当しても、全くその糸口すら見つかりませんでした。
そればかりか何かにつけてピシャリと厳しい指摘をする営業職泣かせの人でもありました。

当然の結果としてBさんは「取れればデカいんだけど、あの人は無理だよ」という社内では有名なお客様担当者だったのです。

私の直属の上司であり、またA支店長から最も信頼されていた営業職でもあるⅠ課長は、自分が担当しても全く駄目だったにも関わらず、何故かその担当を私に指名しました。

私は喜び勇んで、早速顔を出し、あらゆる手段を講じました。しかし、さすが厳しくて有名なBさんです。噂以上の人でした。いつも不機嫌で、棘のある言葉、嫌み、皮肉の連続でした。
「ウチのエース達がみんな諦め、行くのが嫌になるのは分かるなあ」と思いながら、訪問を繰り返していました。
今思えば、『誰も攻略できない会社を攻略して大金星をあげたい』、その一心だったと思います。

しかし、どんなに説明を尽くしても、客観的なデータを見せても、あらゆる提案をしても、Bさんの眉一つすら動かすことができませんでした。
それでも、私は色んな理由をつけ、顔を出し続けました。

そんなBさんがある日突然、耳を疑うような一言を放ったのでした。

「川端くん、君のところで求人広告を出そうと思うんや」

私は丁寧にお礼を言った上で、驚きと動揺を必死に隠しながら契約書類の作成を進めました。

そして契約の書類を交わした後、「こんなことを聞くのも変だと思いますが、どうしてウチと契約してくれたんですか?」と恐る恐る聞いてみました。

すると、「川端くんは俺がどんなに厳しいことを言っても、帰り際のドアを出る時に毎回きちんとお礼を言い頭を下げて帰っていった。それに感心したから他社から切り替えたんや」と平然と答えたのでした。

その時、営業職一年目の私が感じた事


私はBさんにはもちろん、A支店長にも激しく感謝しました。いやそれ以上に「顧客が契約する時は純粋にメリットを感じるから契約をするものだ」と思い込んでいた自分の浅はかさを恥じました。提案力や話す技術が営業職のレベルを図る唯一無二の指標だと思い込んでいた自分の愚かさを反省しました。

そして、営業という仕事の奥深さ、面白さを実感しました。
何故なら、自分自身がそうであったように「営業は営業テクニックや話術が優れた者が勝つ」という世間一般で思われていたことがウソであるということがよく分かったからです。
今思えば、不思議ではありますが、営業職なりたての自分がたった一言でその営業の本質が大きく分かった気がしたのです。
だからこそ、こんなに知的で面白い仕事はないだろうと思いました。

一方で冷静に振り返ってみて、この奇跡を実現したのは、A支店長の粘り強い基本動作の教育と私の高いモチベーションの両方があったからだとも思いました。

何故なら、私がこうした事を話しても私の同期は誰もこのことに気付いていないどころか、大半が営業という仕事が嫌になって早々に退職していたからです。(終)
↑↑ここまでが新人営業の私が感じたことです。


さて、皆さまはどのように感じましたか?
そして、どんなことに気付きましたか?
勿論、この一つの話が営業という仕事のすべてを物語る訳でありませんが、実に色んなことを教えてくれるとは思いませんか?

お気づきのように、私が現在「営業テクニックやプレゼン能力などそう大した影響力がない」と主張しているのは21年前の自分の全否定です。
そして、そのきっかけを作ってくれたのは間違いなく、A支店長であり、Bさんです。
では、その後私は営業テクニックや話し方の研鑽を止めたのかというと、そうではありません。
影響力は小さいながらもそれが問われる瞬間は当然来るので、研鑽や工夫を重ねてきました。
ですが、誰かに教える時には「その優先順位は低いから、そんな必要はない。もっと簡単で効果的な方法がある」と提案します。

どの程度の影響力を持っているのかを知っていて訓練するのと、それらをよく理解せずに無条件で必要だと思い込んでいるのではまるで意味も結果も異なります。
そのように一つ一つ考えていくと、営業という仕事はどの営業職にとっても可能性に溢れていて、魅力的でクリエイティブな仕事だと思います。

後半

ここから先が後半部分であり、有料版です。
前半だけでも十分読み応えがあったのではないでしょうか?
ここから先は、大半の営業職がまだ到達していない営業の本質を少しでも知りたいという方だけがお読みください。
そうでない方は読むのがただただ大変であり、混乱するだけなのでお勧めしません。

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