見出し画像

目から鱗のハウツー営業⑩【お客様の『いつでもいいよ』の意味】

私は営業職の皆様に[営業という仕事の真の面白さ]を伝えたいと思っています。
サトミ営業相談所の川端です。

営業職なら誰しも一度は抱える疑問

突然ですが、あなたは見積りやプランの提出、あるいは質問や問合せなどへの回答をどの程度のスピードでお客様に行っていますか?
またはどの程度のスピードで対応していいかいつも自問自答しながらやっている、という方はいませんか?
 
更に言うなら、お客様から「いつでもいいよ」と言われた依頼をしばらく放っておいたら「あの件はまだですか?」と催促されたことはありませんか?
 
営業という仕事において、こうしたお客様からの依頼へのスピード感はかなり重要な部分です。
何故なら、契約への第一歩を刻むことが出来るのか、そのチャンスを棒に振ってしまうかの最初の分岐点になり得るからです。
そのスピードでお客様のあなたへの評価が確定してしまうことも多いからです。
特にこれまで全く取引のない新規客が相手でしたら、その段階で大きな差を生むことになるでしょう。
 
ですので、今回はお客様からの依頼の回答・対応をどのように考え、どの程度のスピードですべきか、「いつでもいいよ」と言われた時にどのように対応すればいいのかについて解説します。

一言で言うなら、早ければ早い方がいい。


まず結論から言います。
お見積りやプランの提出、質問や問合せの回答(お客様から依頼もしくは許可されたモノ全て)は基本的には早ければ早い方が無難です。
勿論、お客様の中には全くスピードを求めていない方もいらっしゃいますし、もともとせっかちなお客様でも依頼の内容によってはスピードを求めないという場合もあるでしょう。
それがタイトルのような「いつでもいいよ」という言葉に繋がる訳です。

 
それでもやはり提出や回答は早い方がいいと思います。
※ここで私が見積りは何日以内、問合せに対しては何日以内という具体的な数字を出さないのは、特に何日という数字に明確な根拠が無いからです。
ですから、早い方がいいと主張するにとどめています。

【待ち時間ゼロが理想だが、そうはならない】と捉える


まずお客様からの依頼(見積り・プランの提出、質問や問合せの回答など全て)への考え方から入ります。
それはたとえあなたが全速力で対応したとしても、必ずお客様を待たせている時間が存在すると認識した方が良いということです。
依頼を受けてからたった1時間で対応したとしても、お客様は1時間もの間待たされているということです。

これは居酒屋で生ビールを注文したお客様がいて、店員が最速でお持ちしてもお客様は数十秒間は生ビールを待っている時間があるのと同じです。
待たせている時間の長短によって、或いは依頼の難易度によって、お客様が受け入れる、不満に思う確率が違うというだけで依頼をした瞬間から、お客様が待っている時間は生じています。
このどんなに急いでやってもお客様が待たされている時間はゼロではないと捉えることから始めてみてください。
そう考えると、理想はあくまでもお客様の依頼や疑問をその場で解決することだという事が理解できると思います。
ですから、営業職としてはかなりスピーディーにやったつもり、というのはお客様には関係ありません。
お客様を基本的に待たせているという認識を持つ、というのは大事なことだと思いますし、だからこそ長い時間待たせる時にはその理由と具体的にどの程度の時間が必要かを丁寧に説明すべきです。
(これもあなたが飲食店に行き、すぐには席に座れないと分かった時にどう思うかを想像していただければ簡単に分かると思います。)
そして出来るなら、時間がかかる場合は依頼を受けた場でそれを説明するのが望ましく、依頼を受けてから時間が経過してから言うのはあまり良くなく、そろそろ回答が来るかとお客様が思うくらいに言うのは最悪です。

安全策


そして更に無難にいくなら、それを依頼したお客様自身がその時点でどの程度の時間で回答が来ると期待しているのかも聞き出す事でしょう。
いずれにしても、お客様の立場に立ち、お客様を既に待たせているという意識を持って対応することをお勧めします。
 
 

少し視点を変えて、論理的に言うと


次に出来るだけ早く対応すべき理由をもう少し違う視点から、論理的に解説します。
それはお客様の多くがせっかちだから、ではありません。
あなたのライバル社、或いは同業者に限らず、そのお客様に関わる営業職の大半が依頼の回答は出来るだけ早い方がいいと思い、それを実践しようと日々努力しているからです。
ですから、お客様の考え方や性格、依頼した内容の緊急度によって、「今回はそんなに急がなくていいだろう」と思い込むのはそれなりにリスクがあると思います。
そう考えてしまうと、お客様が穏やかで優しい性格であったり、「本当にいつでもいいから」「全然急ぎじゃないから」という言葉で、早く出す必要はないと営業職側が思い込んでしまうからです。
しかし、そう思う事は営業活動の本質を見落としていることであり、競争の世界ではあなたを不利にします。
何故なら、緊急度が低い、お客様が素早い回答を求めていない場合にも、同じお客様の同じような依頼にも即座に対応する営業職が必ず一定数存在し、あなたが営業職である以上彼ら彼女らと比べられる宿命にあるからです
この視点を持ち、このことを理解している営業職は少ないと思います。
 

今度は角度を変えて


今度は少し角度を変えて、お聞きします。

根本的な話をします。
見積りやプランの提出の目的は何でしょうか?
質問や問合せの回答の目的は何でしょうか?
勿論全ては契約獲得、もしくはそれに近付くことです。
お客様に怒られないことではないはずです。
お客様に怒られないことは最低ラインであって、目的ではありません。
 
そのためにはお客様から「信頼できる人だな」「こういう人、好きだな」とまずは好感を抱かれることが必要になるとは思いませんか?
しかし、そのお客様の判定は常に相対的なモノです。
ライバル会社の営業職、あるいは同業者(ライバル)ではないが出入りしている全ての営業職と比べて、そのお客様のあなたへの評価が決まっていると考えるべきです。

スピードは契約への情熱を表現しうる


そして、繰り返しますが、多くの営業職は『出来るだけ対応は迅速に、提出物も出来るだけ早めに』を心掛けています。
それは自分たちの意欲、契約への真剣度、お客様への誠実さをスピードで表現できると考えており、またお客様の多くは実際にそのように対応のスピードを評価の対象にしています。
それらと比べて、お客様から時間がかかっているように見えれば「遅い」となり、あなたへの評価は下がる可能性が高いと言えます。
残念ながら、あなたがどれほどスピーディーに対応したつもりかはほとんど関係ありません。
もっと言うなら、あなたが今よりも売上を増やしたい、或いは新規開拓を実現させたいと思うなら、今よりもあなたの評価を上げる必要があり、それには少なくともそのお客様に関わるライバル会社の営業職を出し抜くことが必要であり、逆に避けたい事態は「他の営業職よりショボいな」と思われ、そのレースから脱落することです。
 
結果として、他の営業職がスピードを重視している以上、お客様の性格や言葉、依頼自体の緊急度と関わりなく、スピードが求められるということになります。
このようにお客様のあなたへの評価は、あなたとお客様の一対の関係で完結する訳でなく、常にライバルたちとの相対的な評価によって上がったり、下がったりしているという考えを持つようにした方がいいと思います。
 

お客様の「いつでもいいよ」の意味


そこを踏まえて、お客様からの「いつでもいいよ」「全然急ぎじゃないんだけど」と言われた場合はどう捉えるべきでしょうか?
 
答えはシンプルです。
それでも本来は早ければ早いほどいいということです。
理由はお分かりかと思います。
繰り返しますが、「いつでもいいよ」と言われても、迅速に対応する営業職が必ずあなた以外に一定数存在するからです。
しかし、勿論仕事には優先順位というモノがあります。
全ての依頼に全速力で対応するのも非効率的ですよね。

現実的に、効率的に


そこでここからは、本来は早ければ早い方はいいと理解した上で、優先順位をつけ、現実的に効率的に契約につなげるために具体的にどのようにすべきかを解説します。
 
それはお客様から「いつでもいいよ」と言われた場合に
「承知いたしました。では、いつまでに提出すれば問題ないでしょうか?」と明確に期限を聞いておくことです。(表現や言い方はどのような形でも構いません。)

本当に「いつでもいい」依頼は一つも存在しない


これは当然のことですが、本当に「回答がいつでもいい」依頼はビジネスの世界には一つもありません。
何故なら、本当にいつでもいいなら「回答自体をしなくていい」と同義であるからです。
そのようなことがありえない事は分かると思います。
つまり、お客様の「いつでもいいよ」はお客様自身が引いている期限がその時点で曖昧なだけで、本当に「いつでもいい」訳ではないということです。
 
その上で言いますと、『いつでも』の意味はお客様の性格や機嫌によって、左右されます。
明確な定義がないので、あなたが「一か月以内くらいで対応すれば問題ないだろう」と思っていても、お客様は「いつでもいいとは言ったけどまだですか?」「いつでもいいとは言ったけど忘れているのかな」となることも起こり得ますね。

営業活動の基本的な流れ


お客様を不安にさせない(営業職が忘れているのかも?という不安)
お客様に手間をかけさせない(営業職に再度催促しなければならない手間)
⇒安心して付き合える営業職
⇒信頼出来そうな営業職
⇒契約してもいい営業職
 
この流れは提出物に限らず、営業活動全般において言えることだと思った方がいいと思います。
 
また「いつでもいいよ」から始まった依頼でも、そのお客様が教えてくれた提出期限を超える可能性が生じた時は出来るだけ早い段階で、それをお客様に伝えるべきです。
超えてしまってから、あるいは超えるギリギリで間に合いませんと言うよりは、前もって「申し訳ございませんが遅れます」の方がはるかにマシです。
結果として、間に合ったらそれはそれで良かったと思えばいいと思います。
こうしたことは「遅れますと言ったことでお客様に嫌われたくない」というあなたの気持ちだけでなく、それを待っているお客様の気持ちになれば分かることですよね。
 
また話は少し逸れますが、似たような話も紹介しておきます。
お客様が喜びそうな(満足してくれそうな)回答はすぐに返答するのに、言いにくい(不満を抱かれそうな)回答の時はなかなか連絡しない営業職もしばしば見られますが、言いやすい・言いにくいはあなたの事情であってお客様には関係ありません。
あなたの言いにくさがスピードに影響を与えてはいけません。
それはただの営業職の保身であり、わがままです。
 
ビジネスが自社の利益の為にやっている以上、あなたの会社とお客様の利害が一致しないことがあるのは当然です。
謝罪すべきは謝罪し、出来るだけ丁寧に説明するのは当然ですが、言いにくい話であっても堂々とした態度で臨んだ方がいいと思います。
勿論お客様もその場では不満を口にするでしょうが、堂々とスピーディーに対応した方が長期的にはお客様があなたに信頼を寄せる可能性は高いはずです。
 
全ての基本は
お客様は相対的にあなたを評価していることを理解しておくこと。
お客様が安心して付き合える相手だと認識してもらう事が契約につながること
です。
 
お客様の真意を予測する必要はありませんし、それ自体は不可能です。
でもだからこそ、お客様の立場に出来るだけ立って考えるということを徹底しましょう。
 
 





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?