5月12日 損することで得すること それに慣れること

 疾病利得という考え方がある。
 自分の障害や病気によって 利益を得ようとする考え方だ。
 簡単に言うとそうなんだけど これにはちょっと切ない事情もある。
 支援してる人と 病院に行った。そこの先生は 精神科医には珍しく本人と かなり 突っ込ん だ話を長くしてくれる先生で、その中で 疾病利得の話になった。
 その方は 身体障害と精神障害 知的障害、 3種類の障害のある方だった。
 社会的に人間関係など対応できないことも多く、自分自身にも 対応できないという 感覚がある様だが その理由までは深められないような感じの方だった。
だから、その感覚と理由の幅を埋めるために、その方の中ではっきりしているのは、自分は身体障害があるから色々とうまくいかないんだということ。
だから 人間関係の うまくいかなさまで 自分は体が不自由だからという言い方をして 原因を自分の中で 作っていた。
 だけど先生はそこに目を当てて 人間関係のうまくいかなさは身体は関係ないということ 精神的な障害や 知的障害から、空気の読めなさや言葉の理解ができないことが原因になっていること を説明してくれた。 
 ただあなたの場合はうまく社会になじめないことの 言い訳を 誰もあなたに教えてくれなかったから 身体障害のせいにするしかなかったんだろうけど 。
ただこの言葉も つけたしていた。
うまくできないということは 必ずしも 本人だけのせいではないということ。 これは前提としておきたい。
 いろいろな苦手 感や障がいを抱えていても 環境がそれに合わせて変更していけば、どんな人だって 環境に馴染んでいけるのだ。
 そして 環境を整えてあげることは ある程度の人間にはできるはずなんだ。
 けど 今まで 彼にはそういう人が周りにいなくて 環境に馴染めないことを 本人の せいにされてきていたんだろう。
 だが本人は 自分が悪いということはなんとなくわかっているけれど 自分の中に障害があったり なぜ どういう理由で自分がそこに馴染めないのかということを きっと誰もただしく教えてくれなかった。
 だから彼がたった一つ 理解ができる身体障害の せいにするしかなかったんだ と思う。
 だけど 身体障害のせいにしていたら 社会に なじめないという困難は 解決していかない。
 例えば 彼が今 体の不自由がなくなったとしても 環境になじめない、 人間関係がうまく 紡げないという 問題は解決しない。
 それはまた別のアプローチが必要だ から 。
彼に なぜ そこが苦手なのか を伝えて 一緒に理解して考えて 精神や 知的障害の方の対策をしたり、 どうしても苦手な部分は 環境に訴えかけたりして変えていくことでしか その苦手 感は克服されない。
どうか、もちろん私を含め 彼を取り巻く環境が 彼の 苦手 感について 彼のせいだけにせず 彼の内部にまで そして環境にまで 眼差しを 向けてくれる人たち であることを 願う


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