笑顔は感染する!(滋賀県長浜市高月・保延寺阿弥陀堂の阿弥陀如来坐像)
英語を読んだり聞いたりしていると、日本語では発想しにくい考え方に出会うことがある。コロナ禍が始まった頃に見かけたのが、The crisis brings out the best and worst in us. という一文だ。
確かに、コロナによる健康面や経済的社会的な苦しみがある一方で、苦しむ人を助けようと奔走する人々もいる。もともと社会に潜んでいた問題と良心が、危機的状況下で一気に表面化するのかもしれない。
恥ずかしい話だが、私はThe crisis brings---という一文を見た瞬間、「良い人でありたい」「良いことがしたい」と思った。自分でも笑ってしまう。私のようなちっぽけな人間が一人で何ができるというのか。灼熱のサハラ砂漠にポトンと一粒、水滴を落とすほどにしかならないだろうに。それでも、阿弥陀如来様が喜んでくださるような行動をできる限り取っていきたいと思ったのだった。
そして、コロナが始まってから半年ほど、自分なりに悪戦苦闘した結果、わかったことがある。水滴ひとつ落とすだけでも、かなり疲れるのだと。
だから、なるべく笑うことにしよう。そう思った。セルフケアにもなるし、笑顔は感染するのだから...。
英語で聞くのが、Smiles are contagious. Be a carrier! という表現だ。「ウィルスと一緒で、笑顔は感染するよ。だから、笑顔の保菌者でいましょう!」という感じだろうか。なかなか日本語にしにくい。英語ならではのシンプルで、パンチの効いたフレーズではないか。
アメリカのミドルクラスの家に飾ってありそうな一言だ。よいと思う。私は仏像好きの日本人なので、笑顔の阿弥陀如来像の写真をここに貼っておく。長浜市高月の阿弥陀如来坐像。コロナに限らず、これまでも辛い時に写真を引っ張り出してきて眺める阿弥陀様である。
【拝観案内】
滋賀県長浜市高月町保延寺地区にある阿弥陀堂に、阿弥陀如来坐像が3駆並ぶ。3駆それぞれに表情は違っているのだが、地方仏師によるためだろうか、ヘタウマな感じがとてもよい。特に、中尊の優しい笑顔に癒される。左の像が江戸時代の作で、それ以外は室町。
保延寺地区には、小さな観音堂もあり、そこに、小さな小さな千手観音立像がおまつりされている。こちらも地方仏師によると思われ、そのスーパープリティなお姿に悲鳴を上げるほど驚いた。こちらも観音様もぜひ合わせて拝観されたい。阿弥陀堂、観音堂、いずれも拝観には予約が必要。「観音の里ふるさとまつり」(毎年10月に開催)で公開されることもある。本稿の写真はいずれも2017年10月筆者撮影。
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